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第2話 はじまりの街 アサガオ
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ファイブファンタジーは、主人公が勇者、聖女、賢者、剣聖を仲間にし、魔王を倒すオーソドックスなRPGだ。
勇者ボルテックス
聖女ローズマリー
賢者マジカルシュート
剣聖ガウラス
の4人に主人公レイドールを入れた5人で魔王倒すのだが、悠人は聖女を外した4人で魔王に挑んだ。
単純に人数が少ない方が経験値効率が良いからと言う理由だったが、それが原因でバットエンドになったと言う事に悠人が気づくのはもう少し先になる。
「ここは・・・」
魔王城から転移ゲートを使って移動した先は悠人のよく知る村だった。
「どこじゃ?ここは・・・」
「アサガオ。始まりの街だ。でもどうしてここに・・・」
「あ奴らはいないようじゃの。とりあえずどこかで休まぬか?」
「そうだな。」
俺はアサガオの街に入り、宿屋に向かった。アイテムなどは全て奪われていたが、宿に泊まるだけのお金は残っていた。
血まみれだった服は魔王城に捨ててきたので、宿に着くとすぐに眠りについた。
すると・・・
「やあ。」
俺の目の前に、レイドールとファーラミストが立っていた。
「えっ?」
「お主がレイと融合した者か?」
「ミスト・・・」
「悠人君、ファーラミストさん、僕を助けてくれてありがとう。と言っても僕の魂はもうじき消える。だから二人にお願いがあるんだ。」
「お願い?」
「復讐か?」
「違うよ。でもボルテックス達を恨んでいないといえば嘘になるから。ボルテックス達に封印された僕の相棒達と、ローズマリーにミュラ王女の事を頼みたいんだ。」
「相棒とはあの聖獣達じゃな?ローズマリーとミュラ王女と言うのは?」
「全く僕も迂闊だったよ。死んでほしくないからローズマリーを最後の戦いに連れて行かなかったのに、それがまさかこんな事になるなんて。思えばあの時、ボルテックス達も妙に僕の意見に賛成してたんだ。今思えばあの時から僕を殺そうと計画してたんだろうね。」
おいおい。それってもしかして今回のバットエンドの原因って聖女をパーティーに入れてなかったからか。5人で挑んでいたらハッピーエンドだったって事か。
「ボルテックスは僕の力とか、ローズマリーやミュラ王女と仲良くしてるのを妬んでいたからね。」
いやいやそんなサイドストーリー知らないぞ?レイドールとローズマリー、ミュラ王女の仲が良いなんて・・・
「僕が消えたら僕の記憶は悠人君の中に入るけど直接伝えたくてね。」
「どうするのじゃ?」
「・・・わかった。どこまでできるかわからないけどレイドールとして頑張って見るよ。」
「なら妾もそれに付き合うぞ。」
「ありがとう悠人君、ファーラミスト。」
そう言ってレイドールは消えていったのだった。そして翌朝、レイドールの記憶を受け継いだ俺は、
「ミストおはよう。」
「おはようなのじゃ。悠人?レイ?」
「レイだ。俺は今日からレイドールとして生きていく。」
「わかったのじゃ。聖獣と女を助けに行くんじゃな。」
「まずは現状把握と情報収集だな。今すぐ助けに行きたいけど、俺の今の実力じゃ、そこに行く事すらできない。」
「そういえばレイは今、クソ雑魚ナメクジじゃったな。」
「ナメクジ言うな!」
だけどミストの言うように今の俺は最弱だ。ゴブリンぐらいなら倒せるだろうが、オークなんかに出会ったら即死だろう。まずは強くならないとな。
「折角、妾の魔法が使えるのに今のレイには宝の持ち腐れじゃな。」
「うん?ミスト、魔法って?」
「なんじゃ?気づいておらんかったのか?妾と同化した時にレイは、妾が使える魔法が使えるようになっておるぞ。」
「まじで?」
「まじじゃ。」
朗報だな。ミストの使ってた魔法はどれも超強力だった。今の俺のレベルなら全く使えないだろうけど、元々レイドールは魔法が一切使えなかった。それが使えるのはでかいな。
「ならとりあえず、その辺も調べないとな。どちらにしても今日泊まる金もない。レベル上げと金稼ぎをしながら今後を考えるか。」
⭐︎⭐︎⭐︎
一方、
勇者ボルテックス達は、魔王を倒しファンドラ城へと帰還していた。
魔王討伐は瞬く間に広がり、ファンドラの都市は歓喜に包まれていた。
城に入ると、出迎えるのは聖女ローズマリーと王女ミュラ。
二人は勇者ボルテックスを迎えるが、待っていた者がいない事に気づく。
「ボルテックス。レイは?」
「レイは・・・死んだ。」
「「えっ?」」
「レイは俺達の為に聖獣達と力を出し切って死んだんだ。アイツがいたおかげで魔王を倒せた。だけど・・・」
「「そんな・・・」」」
「これ・・・あいつの遺品だ。」
「これは・・・」
「レイの聖獣だ。魔王に封印されて珠になってるがな。」
「レイ。そんなレイ、どうして・・・」
泣き崩れるローズマリーとミュラ。ボルテックスは聖獣の珠をローズマリーへと渡し、城の中へと入って行った。
「マリー・・・」
「ミュラ。レイが死んだなんて嘘よね。あのレイが死ぬなんて・・・これは何かの間違えよね。」
「・・・」
・
・
・
「ボルテックスよかったのか?聖獣の珠をローズマリーに渡して」
「ああ。聖獣は封印してるからしゃべれない。俺達の事がバレる心配はないさ。それに聖獣の珠は全部で4つ。一つぐらい渡しておかないとリアリティがないだろ?」
「そう言う事か。」
ボルテックス達が魔王を倒し、喜びに浸っている頃、ローズマリーは部屋で憔悴していた。腕の中には、レイの遺品である聖獣の珠を抱きしめて。
勇者ボルテックス
聖女ローズマリー
賢者マジカルシュート
剣聖ガウラス
の4人に主人公レイドールを入れた5人で魔王倒すのだが、悠人は聖女を外した4人で魔王に挑んだ。
単純に人数が少ない方が経験値効率が良いからと言う理由だったが、それが原因でバットエンドになったと言う事に悠人が気づくのはもう少し先になる。
「ここは・・・」
魔王城から転移ゲートを使って移動した先は悠人のよく知る村だった。
「どこじゃ?ここは・・・」
「アサガオ。始まりの街だ。でもどうしてここに・・・」
「あ奴らはいないようじゃの。とりあえずどこかで休まぬか?」
「そうだな。」
俺はアサガオの街に入り、宿屋に向かった。アイテムなどは全て奪われていたが、宿に泊まるだけのお金は残っていた。
血まみれだった服は魔王城に捨ててきたので、宿に着くとすぐに眠りについた。
すると・・・
「やあ。」
俺の目の前に、レイドールとファーラミストが立っていた。
「えっ?」
「お主がレイと融合した者か?」
「ミスト・・・」
「悠人君、ファーラミストさん、僕を助けてくれてありがとう。と言っても僕の魂はもうじき消える。だから二人にお願いがあるんだ。」
「お願い?」
「復讐か?」
「違うよ。でもボルテックス達を恨んでいないといえば嘘になるから。ボルテックス達に封印された僕の相棒達と、ローズマリーにミュラ王女の事を頼みたいんだ。」
「相棒とはあの聖獣達じゃな?ローズマリーとミュラ王女と言うのは?」
「全く僕も迂闊だったよ。死んでほしくないからローズマリーを最後の戦いに連れて行かなかったのに、それがまさかこんな事になるなんて。思えばあの時、ボルテックス達も妙に僕の意見に賛成してたんだ。今思えばあの時から僕を殺そうと計画してたんだろうね。」
おいおい。それってもしかして今回のバットエンドの原因って聖女をパーティーに入れてなかったからか。5人で挑んでいたらハッピーエンドだったって事か。
「ボルテックスは僕の力とか、ローズマリーやミュラ王女と仲良くしてるのを妬んでいたからね。」
いやいやそんなサイドストーリー知らないぞ?レイドールとローズマリー、ミュラ王女の仲が良いなんて・・・
「僕が消えたら僕の記憶は悠人君の中に入るけど直接伝えたくてね。」
「どうするのじゃ?」
「・・・わかった。どこまでできるかわからないけどレイドールとして頑張って見るよ。」
「なら妾もそれに付き合うぞ。」
「ありがとう悠人君、ファーラミスト。」
そう言ってレイドールは消えていったのだった。そして翌朝、レイドールの記憶を受け継いだ俺は、
「ミストおはよう。」
「おはようなのじゃ。悠人?レイ?」
「レイだ。俺は今日からレイドールとして生きていく。」
「わかったのじゃ。聖獣と女を助けに行くんじゃな。」
「まずは現状把握と情報収集だな。今すぐ助けに行きたいけど、俺の今の実力じゃ、そこに行く事すらできない。」
「そういえばレイは今、クソ雑魚ナメクジじゃったな。」
「ナメクジ言うな!」
だけどミストの言うように今の俺は最弱だ。ゴブリンぐらいなら倒せるだろうが、オークなんかに出会ったら即死だろう。まずは強くならないとな。
「折角、妾の魔法が使えるのに今のレイには宝の持ち腐れじゃな。」
「うん?ミスト、魔法って?」
「なんじゃ?気づいておらんかったのか?妾と同化した時にレイは、妾が使える魔法が使えるようになっておるぞ。」
「まじで?」
「まじじゃ。」
朗報だな。ミストの使ってた魔法はどれも超強力だった。今の俺のレベルなら全く使えないだろうけど、元々レイドールは魔法が一切使えなかった。それが使えるのはでかいな。
「ならとりあえず、その辺も調べないとな。どちらにしても今日泊まる金もない。レベル上げと金稼ぎをしながら今後を考えるか。」
⭐︎⭐︎⭐︎
一方、
勇者ボルテックス達は、魔王を倒しファンドラ城へと帰還していた。
魔王討伐は瞬く間に広がり、ファンドラの都市は歓喜に包まれていた。
城に入ると、出迎えるのは聖女ローズマリーと王女ミュラ。
二人は勇者ボルテックスを迎えるが、待っていた者がいない事に気づく。
「ボルテックス。レイは?」
「レイは・・・死んだ。」
「「えっ?」」
「レイは俺達の為に聖獣達と力を出し切って死んだんだ。アイツがいたおかげで魔王を倒せた。だけど・・・」
「「そんな・・・」」」
「これ・・・あいつの遺品だ。」
「これは・・・」
「レイの聖獣だ。魔王に封印されて珠になってるがな。」
「レイ。そんなレイ、どうして・・・」
泣き崩れるローズマリーとミュラ。ボルテックスは聖獣の珠をローズマリーへと渡し、城の中へと入って行った。
「マリー・・・」
「ミュラ。レイが死んだなんて嘘よね。あのレイが死ぬなんて・・・これは何かの間違えよね。」
「・・・」
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「ボルテックスよかったのか?聖獣の珠をローズマリーに渡して」
「ああ。聖獣は封印してるからしゃべれない。俺達の事がバレる心配はないさ。それに聖獣の珠は全部で4つ。一つぐらい渡しておかないとリアリティがないだろ?」
「そう言う事か。」
ボルテックス達が魔王を倒し、喜びに浸っている頃、ローズマリーは部屋で憔悴していた。腕の中には、レイの遺品である聖獣の珠を抱きしめて。
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