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第8話 辺境の町エベレスに向かうヒカル
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ヒカルとメイリーンは魔法学校に行くためにイッパンの町を離れる事を決めた。今日は旅立ちの日だ。
「ヒカル忘れ物はない?武器は持った?食料も大丈夫?」
「大丈夫だよ。ちゃんと準備してるから。」
「メイリも大丈夫?」
「大丈夫よシスターモネ。」
ヒカルとメイリーンは孤児院の人達に見送られながらイッパンの町を出た。
「エベレスまでは1週間ぐらいよね?」
「ああ馬車で3日の距離って言ってたから歩きだと1週間ぐらいだろ。」
「本当に馬車に乗らなくてよかったの?」
「少しでも節約しないとな。それに道も1本道だから迷う事もないし。」
「護衛依頼とか受けれたら移動しながらお金も稼げたのにね。」
「それはしょうがないさ。俺達の冒険者ランクはFだぜ。この前ようやくGからFに上がったばかりなんだ。Fランクの冒険者に護衛を依頼するようなモノ好きなんていないだろ。」
ライトとメイリはこの日の為に色々と準備していた。夜営する事になるので、泊まりで魔物討伐に出かけたり、簡単な料理を作れるようにシスターモネに料理を教わったり。
今は2人とも大きめのリュックに荷物がパンパンに詰まっていた。と言ってもリュックの中身は簡単な調理道具に寝る時の毛布、それに1週間分の食料と、もしもの時用のポーションが入っているだけだ。
「エベレスってどんな町かな?」
「どうだろ?図書館があるぐらいだから大きい町なんだろうけど全然想像できないな。」
「人もいっぱいいるよね?」
「そうだな。」
そんなたわいない話をしながら、道中魔物を見つけては魔法で倒しながら進んで行った。もちろんMPはたえず気を付けながら・・・
「メイリ。そろそろ暗くなってきたし今日はここで休もうか?」
「わかった。じゃあ料理はどうする?」
「ああ俺がするよ。メイリは先に身体を洗ってくれていいぞ?」
「そう?じゃあお言葉に甘えるね。水を出すから温めてもらっていい?」
「わかった。」
(お湯で身体を拭けるのはありがたいよね。始めは熱すぎたり、桶を破壊したりと苦労したけど今なら慣れたもんだもんな。それに鳥すらさばいた事なかったのに、今ではスモールラビットの皮を剥いで内蔵を取り出して丸焼きにできるまでになったもんな。やってみれば案外できるもんだよな。)
ライトはメイリが出した水桶にファイヤーボールを放った。まだ無詠唱では火を出す事は出来なかったが、大きさを意識しながら詠唱する事で出る魔法のサイズを変える事ができるようになっていた。
ライトは手際よく、食事の準備をしていく。石で場所を作って木を組んで火をつける。もちろん威力を弱くしたファイヤーボールだ。火の生活魔法は存在しない為、普通は火付け石を使うのだが、ライトはファイヤーボールで火をつけた。
火がつくと鍋に水を張り火にかける。それに固形スープの素を入れればスープは完成だ。固形スープの素と言ってもコンソメスープのようなシャレたものではない。出来上がるのは、野菜のくずが入った塩味スープだ。
(塩味しかしないスープにも固いパンにも慣れてしまったな。早く塩以外の調味料がほしいぜ。胡椒があれば最高なんだけどな。せっかくのウサギ肉なのに、塩だけじゃあな~。欲を言えばパンだって柔らかいパンが食べたい・・・。)
そんな事を思いながらスモールラビットを解体し火にかける。
(味はともかく、お腹いっぱい食べれるのは救いだな。)
メイリと交代して、ライトも身体を洗い二人で食事をする。食事が終われば後は寝るだけだ。
と言っても一緒に寝る訳ではない。ここは魔物溢れる異世界だ。見張りも立てずに寝ていると朝には魔物のお腹の中なんて事がざらにあるからだ。
「どっちから見張りする?」
「俺からするからメイリは先に寝てていいよ。」
「りょ~か~い。」
そう言ってメイリーンはその場で毛布にくるまった。ライト達はテントを持っていなかった。いや正確には、テントを持って来なかった。
(は~。異世界なら夜営はテントでって思ってたけどあんなもん担いで移動してたら夜までもたないわ。テントがあんなに重いとは・・・。)
そう。キャンプをした事がある人ならわかるだろう。簡易的なモノだろうがテントはとても嵩張るのだ。カプセルをプチっと押して投げたらコテージが出てくるような便利なアイテムなんか存在しなかった。
(コーヒーでもあればゆっくり見張りもできるんだが・・・スマホもマンガもない世界ってみんな見張り中は何してるんだろ?)
そんな事を考えながら、ライトはひたすら魔力操作の練習をしながら時間を潰した。いきなり魔物が襲ってくる可能性もあるので無駄にMPを使う事もできない。
コーヒーもなければ、紅茶も持っていないので火をずっと眺めて癒されるような、一人キャンプも出来ない。
できる事は、ぼ~っと火を眺める事か、魔力操作だけだった。
(魔法学校に行く為に金は必要だけど、生活の向上にもお金を使わないとな。せっかくの異世界なんだ。楽しまないと損だもんな。まあその為には、地道な努力だな。は~。魔力操作がんばるか。)
途中、見張りをメイリーンと交代しライトは眠りにつく。何かあればすぐに起きないいけないので旅の間は寝る前のMP消費作業も出来なかった。
そんな旅を1週間続けて、ライト達はようやく目的のエベレスの町へと辿りついたのだった。
「ヒカル忘れ物はない?武器は持った?食料も大丈夫?」
「大丈夫だよ。ちゃんと準備してるから。」
「メイリも大丈夫?」
「大丈夫よシスターモネ。」
ヒカルとメイリーンは孤児院の人達に見送られながらイッパンの町を出た。
「エベレスまでは1週間ぐらいよね?」
「ああ馬車で3日の距離って言ってたから歩きだと1週間ぐらいだろ。」
「本当に馬車に乗らなくてよかったの?」
「少しでも節約しないとな。それに道も1本道だから迷う事もないし。」
「護衛依頼とか受けれたら移動しながらお金も稼げたのにね。」
「それはしょうがないさ。俺達の冒険者ランクはFだぜ。この前ようやくGからFに上がったばかりなんだ。Fランクの冒険者に護衛を依頼するようなモノ好きなんていないだろ。」
ライトとメイリはこの日の為に色々と準備していた。夜営する事になるので、泊まりで魔物討伐に出かけたり、簡単な料理を作れるようにシスターモネに料理を教わったり。
今は2人とも大きめのリュックに荷物がパンパンに詰まっていた。と言ってもリュックの中身は簡単な調理道具に寝る時の毛布、それに1週間分の食料と、もしもの時用のポーションが入っているだけだ。
「エベレスってどんな町かな?」
「どうだろ?図書館があるぐらいだから大きい町なんだろうけど全然想像できないな。」
「人もいっぱいいるよね?」
「そうだな。」
そんなたわいない話をしながら、道中魔物を見つけては魔法で倒しながら進んで行った。もちろんMPはたえず気を付けながら・・・
「メイリ。そろそろ暗くなってきたし今日はここで休もうか?」
「わかった。じゃあ料理はどうする?」
「ああ俺がするよ。メイリは先に身体を洗ってくれていいぞ?」
「そう?じゃあお言葉に甘えるね。水を出すから温めてもらっていい?」
「わかった。」
(お湯で身体を拭けるのはありがたいよね。始めは熱すぎたり、桶を破壊したりと苦労したけど今なら慣れたもんだもんな。それに鳥すらさばいた事なかったのに、今ではスモールラビットの皮を剥いで内蔵を取り出して丸焼きにできるまでになったもんな。やってみれば案外できるもんだよな。)
ライトはメイリが出した水桶にファイヤーボールを放った。まだ無詠唱では火を出す事は出来なかったが、大きさを意識しながら詠唱する事で出る魔法のサイズを変える事ができるようになっていた。
ライトは手際よく、食事の準備をしていく。石で場所を作って木を組んで火をつける。もちろん威力を弱くしたファイヤーボールだ。火の生活魔法は存在しない為、普通は火付け石を使うのだが、ライトはファイヤーボールで火をつけた。
火がつくと鍋に水を張り火にかける。それに固形スープの素を入れればスープは完成だ。固形スープの素と言ってもコンソメスープのようなシャレたものではない。出来上がるのは、野菜のくずが入った塩味スープだ。
(塩味しかしないスープにも固いパンにも慣れてしまったな。早く塩以外の調味料がほしいぜ。胡椒があれば最高なんだけどな。せっかくのウサギ肉なのに、塩だけじゃあな~。欲を言えばパンだって柔らかいパンが食べたい・・・。)
そんな事を思いながらスモールラビットを解体し火にかける。
(味はともかく、お腹いっぱい食べれるのは救いだな。)
メイリと交代して、ライトも身体を洗い二人で食事をする。食事が終われば後は寝るだけだ。
と言っても一緒に寝る訳ではない。ここは魔物溢れる異世界だ。見張りも立てずに寝ていると朝には魔物のお腹の中なんて事がざらにあるからだ。
「どっちから見張りする?」
「俺からするからメイリは先に寝てていいよ。」
「りょ~か~い。」
そう言ってメイリーンはその場で毛布にくるまった。ライト達はテントを持っていなかった。いや正確には、テントを持って来なかった。
(は~。異世界なら夜営はテントでって思ってたけどあんなもん担いで移動してたら夜までもたないわ。テントがあんなに重いとは・・・。)
そう。キャンプをした事がある人ならわかるだろう。簡易的なモノだろうがテントはとても嵩張るのだ。カプセルをプチっと押して投げたらコテージが出てくるような便利なアイテムなんか存在しなかった。
(コーヒーでもあればゆっくり見張りもできるんだが・・・スマホもマンガもない世界ってみんな見張り中は何してるんだろ?)
そんな事を考えながら、ライトはひたすら魔力操作の練習をしながら時間を潰した。いきなり魔物が襲ってくる可能性もあるので無駄にMPを使う事もできない。
コーヒーもなければ、紅茶も持っていないので火をずっと眺めて癒されるような、一人キャンプも出来ない。
できる事は、ぼ~っと火を眺める事か、魔力操作だけだった。
(魔法学校に行く為に金は必要だけど、生活の向上にもお金を使わないとな。せっかくの異世界なんだ。楽しまないと損だもんな。まあその為には、地道な努力だな。は~。魔力操作がんばるか。)
途中、見張りをメイリーンと交代しライトは眠りにつく。何かあればすぐに起きないいけないので旅の間は寝る前のMP消費作業も出来なかった。
そんな旅を1週間続けて、ライト達はようやく目的のエベレスの町へと辿りついたのだった。
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