烏と春の誓い

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最終章：因果は巡る

掴まるサトシ

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　先日気に入っていたキャバ嬢のミカに進められ、サトシはミカたちの店の近くにある【ＭＩＲＡＧＥ】と言う店に来ていた。

　そして入った途端に後悔した。

　何故ならばそこは普通の店ではなく、オカマバーと呼ばれる場所だったからだ。

　サトシは別にそう言った偏見は一切持たないが、自身は全く興味がない。

　店内へと足を踏み入れた瞬間に、うるさくない程度に聞こえてくるサウンドと共に歓迎の声に迎えられた。

　低めの声を聴いた瞬間には何となくおかしく感じていたが、ミカが教えてくれた所だから変な場所ではないだろうと信じてそのまま入った結果――サトシは何故かオカマの店員ではなく謎の美少女に迫られていた。

『どうも初めまして、鈴木サトシ。私たちは貴方に会うために遠路遥々イタリアからやって来ました。大切なお金を盗まれて仲間が悲しんでいます。落とし前、付けてください』

　隣に座った美少女が突然イタリア語で話し始めたと思えば、サトシはその内容を聞き、スゥッと身体の体温が下がっていくのを感じる。少女の言った内容は身に覚えがありすぎたからだ。

　でもまさか―――。

『まさか……追いかけてくるとは思わなかった？あのお金は大事なものなの。返してくれないかしら』

「ひっ」

　まさか、こんなところまで追いかけてくるとは思わなかった。

　なにより、あれがマフィアに関係するお金だなんて一ミリも思わなかったのだ。

『ただの一般人があんな大金をカバンに入れて運んでいるわけないでしょう？少し考えればわかると思うのだけれど……でも安心して？お金、返せるように手伝ってあげる』

『え』

『働けばいいんだから。それで完済したらちゃんと日本に帰してあげる。こういうの、いんがおうほうって言うんでしょう？』

　完済など絶対に無理だ……ッ、今までにいくら使ったかなど覚えていない。

　次第に自分の仕出かしたことの大きさに、顔が青ざめていく。

『顔が青い人ってこう言う感じなのかしら！初めて見たわ』

　すぐ近くに立っていたラッキーがそっとシャルロットの耳元で注意する。

『シャルロット、あまり遊ばないで下さい』

　わかってるわよ、と注意を聞き流すと、サトシの方を向いた少女はきっと何も知らない人が見れば天使の微笑みとでも言うだろうと思えるほどにっこりと微笑み、しかしその口で吐きだした言葉は地獄への誘いだった。

『それまで生きてればの話だけど』

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