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第三章
実感
しおりを挟む デザート・ハウンドを倒した俺たちは改めて依頼を完遂した。
おかげで戦利品をみすみす置いてけぼりにせずに済んだし、奥の武器庫を調べられるようになったのだが。
「……まあ、部屋の名前には負けちゃいない有様だな? まさに武器庫だ」
無人兵器とテュマーが仲良くしてた場所へ踏み込んで出た言葉がそれだ。
広々な周囲には壁やラックにこれでもかと敷き詰められた無数の銃器。
開いた軍用のケースが弾薬箱を晒し、古びたボディアーマーが積み重なってる。
そこに錆や埃や湿気がまとわりついてるとなると状態は「お察しください」だ。
「ああそうだな、150年前だったら値打ちも健在だったろうさ」
実際、タカアキが錆びだらけの銃を弄繰り回しながら残念そうだ。
「保存状態が最悪だな。で、どうする? この中から使えそうなものでも発掘するか?」
「これ以上疲れるのはお兄さんごめんだ、使えそうな弾薬以外は分解しちまえ」
「オーケー、人間リサイクル施設の出番だな。資源になるだけまだマシか」
「武器庫っていうかさあ……もう廃墟じゃん、これ?」
興味深そうにやってきたフランすらそう言うぐらいだ。
その言葉に相応しい保存状態だった。
雑に放り出された沢山の武器は濃い錆がこびりついて、薬莢も色あせてる。
「お上品に言うなら骨董品ってところだな。値打ちがない方の」
「つまりゴミの山じゃないですか……」
セアリのセリフも良く刺さる。素人が見ても本当にゴミの山なのだ。
むき出しの手榴弾の山なんて不発弾さながらに不安を振りまいてもいる。
「このエレベーターはなんだ? ずいぶん大きいが……」
みんなで遅る遅るその様子を伺えば、エルが奥を訝しむ。
どうにもご立派なエレベーターが待ち構えてた。
ここの広さと地上の屋敷を比べて考えれば外側に繋がってるみたいだ。
「これって、さっきのロボットが入りそうですよねー……?」
その巨体が収まるサイズに、リスティアナがてくてく近づいて見上げた。
デザートハウンドの大きさと比べれば用途もなんとなく計り知れる。
「もしかしてこれで運んだのかな? でも、それならどうしてこんな場所に入れたんだろう……?」
「戦前の奴らの思考からしてどうせしょーもない理由だと思うぞ」
ミコの首の傾げ方に俺から口に出せるのは「ウェイストランドだから」だ。
例えばどこぞの大廃墟じゃ『軍から横流しされた無人兵器いじって都市壊滅』だぞ?
となれば、こんな屋敷の地下にある理由もくだらないものに違いない。
「フォート・モハヴィとかがそうだったもんね……」
「……まあとにかく、そうだな、そこらへんの爆発物を片っ端から分解しとくよ。不発弾みたいなの残したまま依頼達成だなんて後味悪いだろ?」
「……うん、そうだね。そのまま放っておいたら危ないし、お願いできるかな?」
「了解、リーダー。帰る準備でもしててくれ」
とりあえずやることは一つ、この大量のゴミをこの世からなくすことだ。
さっきのテクニカル・トーチで分かったがここの保存状態は劣悪だ。
特に木箱いっぱいの手榴弾やらはそろそろ人間とのつながりを忘れてる頃かもしれない。
「ゴミのお片付けどころか不発弾の処理ができるなんて多芸になりやがって、紛争地帯とかいったらヒーローになれそうだなお前」
「どっちのだ?」
「敵ぶっ殺すほうじゃねーぞ、爆発物処理的なほうだ」
「爆発物持った馬鹿をぶちのめすのも得意だぞ」
「そりゃあ頼もしいことで、その素敵なパワーでさっさと消してくれ」
幼馴染も50㎜ロケットでいっぱいの箱をずりずり押してきた、片っ端から分解して資源に回す。
「いったいなんなんですかね、ここ……シェルターにゾンビに白き民にロボットに……セアリさん今日一日でお腹いっぱいなんですけど」
「こういう奇妙な建物は時折見るが、中も相応なものだな……ひどい場所だった」
「ていうかあのロボットなんだったのさ? 機関銃で撃たれるとか団長初めて!」
「フランメリアなのにウェイストランドに戻っちゃった気分だよ……」
「それよりもですよミコさん、なんて無茶するんですか!? いちクンもそうですけどあんなのに変身して飛び込むなんてどうかしてますよ!?」
「……リスティアナのスペシャルスキルの威力は確かにすごいが、だからといって貴様ら三人でああもリスクを負うのは私もどうかと思ってたところだ。心配したんだぞ?」
「ご、ごめんなさい……でも、早く倒さないと余計に状況が悪くなると思って……」
「でもいい連携だったじゃん。発動のタイミングとショート・コーリングをあわせて間合いを詰めるなんてミコ天才か……? リスティアナちゃんもあんなの倒すとかどーなってんの?」
「えへへ、ミコさんが私の剣を信じてくれましたから! あのロボットが動いた時に、どうにか私が一太刀打ち込めないかって思いついたんですよー?」
「う、うん……引き寄せの呪文の使い勝手ならけっこう分かって来たから……いけるかなーって思ったの」
ヒロインの皆さまはかわいい顔に疲れを浮かべて戦利品へ戻ったらしい。
今日もまことに申し訳なく思いつつ、部屋の内装を大分すっきりさせていくと。
「……ご主人、見回りしてたらこれ見つけた」
50口径の薬莢と戦利品に埋もれた通路からニクが帰ってきた。
「これ」と差し出されたのはメモリスティックだ、たぶんいわくつきの。
「どうも、メモリスティックか。どこにあった?」
「トイレの死体のポケット」
「ってことはここの事情が分かるだろうな。見せてくれ」
目ざとくトイレまで漁ってくれたらしい。グッドボーイ。
入手先の衛生状態はさておきPDAで読み込むと――動画ファイルがある。
サムネイルにはきれいな頃のここの通路が映ってるが、これはもしや。
「ご主人、何かあった?」
「動画だ。もしかしたらこうなった原因が分かるかもな」
たぶん戦前の様子だ、中身を確かめようと手が進むも。
「なるほど、記録媒体か。だったらもっと大きな画面で鑑賞といかねえか?」
『反乱軍』すらも片付いた大部屋からタカアキが「来い」と指で招いてた。
ちょうどよく食堂の壁に埃だらけのディスプレイが張り付いてるようだ。
PDAには同期可能と確かにある、どうせなら大きく見ようぜってことか。
「さーて、これで二万メルタゲットです。しかも戦利品も無事持ち帰れますからお財布が熱くなっちゃいますね!」
「これほど収穫があったのは私も驚きだな……フラン、取引は貴様が頼りだぞ」
「団長は抜かりありません! 知り合いに連絡して買い手確保しといた!」
「わっ……フランさん、もうそこまで用意してくれたんだ? ふふっ、頼もしいなあ?」
「あ、あのー……私、飛び入りでミセリコルディアの皆さまにご一緒させていただいたのに、アーツアーカイブとかもらっちゃっていいんでしょうかー……?」
「おいみんな、また賑やかにやってるところ悪いけど鑑賞会でもどうだ?」
俺は通路で戦利品に和気あいあいなヒロインたちに一声かけた。
再生を押すと黒い画面に、かつてのシェルターの様子が映し出される――
◇
幅広い画面いっぱいに見知った広い通路があった。
戦前の頃を小奇麗に物語ってるし、白い照明も相まって清潔なイメージだ。
『やはり私は間違っていなかった。この世界に終末が訪れようとしているわ、思えばあれはすべてがこの道筋を辿っていたんだと思う……』
まあ、そこに健全な営みはなさそうだ。
【詰所】の看板を前にそれらしく気取った白髪のおばちゃんが原因だ。
周囲にはカメラを意識した連中もいた。年齢も性別も服装もばらばらで、ご近所の人間を適当にかき集めたようなやつらである。
唯一の共通点は誰もが平等に武器を所持しているってところだが。
『初めに大地が汚され、次に海の生き物たちが消え、世界の水は枯れ、都市から光が失せ、数多の人々が飢餓に苦しんだ――いい? これは偶然ではないの。第六のラッパまでの道筋だったのよ』
演技臭いカメラワークの中でそれらしいおばちゃんは語る。
背景は違法性を感じる武器の山を台車に乗せて運ぶ男たちだ。
撮影者はご高説よりもシェルターの様子の方がよっぽど気がかりらしい、視線が迷子だ。
『そう、あれは"ゾンビ"などではない……人類に裁きを下しに解き放たれた二億もの軍勢よ。赤と青の瞳を持ち、硫黄を扱う彼らは我々人類の三分の一を滅ぼすために遣わされた――ちょっと! あなたちゃんと私のありがたいお話を撮ってるわよね!?』
そこで芝居らしい言葉遣いは中止だ、おばちゃんが怒鳴りだす
『ご、ごめんよ母さん……ちゃんと撮ってるよ、ただ周囲の様子もそれらしく撮ってただけで』
カメラの持ち主は若い男の声だ。
目の前の母親と比べておどおどしてる点から大体の関係は分かる。
『これは人類にとっての一大事なのよ! もしかしたら今にも私たちは死ぬかもしれないんだから、後世のために人類の行くべき道を今ここで伝えなきゃいけないの! なのにあの人ったら、ここで反乱軍だなんて言い出して……』
『おい、そいつのありがたいお話はその程度にしとけ! 脳をやられて人食いゾンビになっちまうぞ! それよりこっちの仕事だマテオ!』
くどくど続く話は急な男の声でカットされた。
どこぞの宿の親父さんほどじゃないけど、そろそろ髪が危ない小太りのおっさんが「来い」と手招いてる。
マテオ。そんなカメラマンは母親からうまく逃れられたらしい。
『わ、分かったよ父さん! ごめん、呼んでるからもう行くね!』
『待ちなさい! お母さんのお話はまだ終わって――』
じっとしてれば丸一日は後悔しそうな説教からあの武器庫に場面が移った。
待ってたのは一般人としては普通、もし兵士なら頼りないおっさんたちで。
『マテオ、お前はいい加減にあいつの言葉を真に受けるな!』
さっきのお父さんとやらが怒鳴りつけてきた。おかげで視界がぐらつく。
知人ぐらいの関係はありそうな周りも「またか」とか「気の毒に」と笑って。
『だ、だって話を聞かないと真夜中に言い聞かせにくるんだよ? だから……』
『だから、なんだ! 男ならあんなくだらない話はっきり断れ、まったくなんて情けない息子だ!』
『息子に厳しいお父さんだなあ、良く長続きしてるじゃないかお前』
『マテオ、親孝行と思って親父さんの言う通りきっぱり物申してやれよ。お前はこれから我らが指揮官の名誉ある息子様になるんだぞ?』
『そんなことより誰か物資を運ぶの手伝ってくれ、缶詰多すぎるんだ畜生』
『インプラント保有者向けの医療物資もたくさんあるんだぞ。倉庫に入り切るのかこれ?』
周りも相まってストレンジャー的に親近感のあるやり取りを披露してきた。可愛そうなマテオめ。
ストレス的な負荷でカメラが震えてるが、父親は知らん顔であの扉へ向かう。
『よおし、聞け親愛なる隣人ども! 今日はよくうちのシェルターに集まってくれたな!』
そして手をぱふぱふ下手に叩きながら周囲を集めた。
額に脂がにじんだ冴えない見た目は今日ばかりは輝いてるようだ。
ぎゃーぎゃーうるさいお母さまはさておき、地下に集まった多様性は携えた武器にうずうずしてる。
『数年前に流れた「アメリカにゾンビ・パンデミック来たり」っていう噂はマジだったわけだ! ここミシガン州でもデトロイトが奴らに陥落させられたらしい!』
そう、この親父だってそうだ。
普段は離婚の二文字が頭の片隅にあり続けてそうだが今は生き生きとしてる。
腰のホルスターと回転式拳銃がカウ・ボーイ気取りなのがその証拠だ。
『そのせいで今じゃこんなド田舎ですら無法地帯だ! ショッピングモールは泥棒だらけ、警察署は憂さ晴らしで燃やされ、あろうことか我が国の軍はすたこら逃げやがった! 許せるか、隣人ども!』
カメラの中でご立派な口のお父さまは実に楽しそうだ。
相当の混乱が外であったようだがこの『隣人』たちもノリがいいことで。
『だから俺たちがこの土地を取り締まる、そうだよな!』
『あいつらのキャンプから拝借したこの武器でな!』
『暴徒もゾンビもぶっ殺せ!』
そいつの言葉に耳を傾けて銃を手にわいわいやってた。
お母さまからの『やめなさい、あれは神の』だとかいう主張もかき消されるほどだ。
脂ののった被写体は(物理的にも)輝かしい顔で笑顔を決めると。
『だがお前らはツイてる! こんなこともあろうかと作ったこのシェルターのことだ! 今日から俺たちはここで『反乱軍』を結成する!』
息子に『よく撮れ』と目線で促しながら、ここぞとばかりに大声を上げた。
『噂じゃそのゾンビってのは武器も使うとか言われてるがな、こっちは軍から手に入れた本物だ! シェルターだって核戦争向けの上等な住処だぞ、俺たちはここで一丸となって世界の終わりを生き延びてやるんだ!』
最後にそんな気持ちを表明すれば、晴れてこの面々は反乱軍とやらになったらしい。
こうして見る分には社会から弾かれた酔狂な連中にしか見えない。そう、お前もだマテオ。
『最近は町どころかこの屋敷を狙う暴徒もいるが、そいつらはもはや我々の敵だ。俺が責任を取るから遠慮なく殺しちまえ!』
『もう撃っちまったよ! 悪さしてるやつの頭をな!』
『ついでに職務怠慢の警察な脳天にもどうだ!?』
『来てみやがれゾンビども! 一発で楽にしてやる!』
ここがろくでもない理由が垣間見えたわけだが、じゃああの無人兵器はどう関わってくるか?
その理由はすぐだった。何故なら父親が武器庫の扉にあるパネルをいじって。
『――それに俺たちには切り札もある! 軍にいる奴からお譲りしてもらったこいつだ!』
ごうごうとそこが開く。カメラが揺れてるのは果たして持ち主の緊張なのか。
どうであれろくでもなさそうな父親が威張れる確かな証拠があった――『デザート・ハウンド』だ。
八門の重機関銃を持ったあの巨体が二機も並んでるのだ。
『おいおい……こりゃ無人兵器じゃないか!?』
『すげえ、本物だ……! なんでこんなの持ってんだよお前!?』
『デザート・ハウンドだぞ、これ……? どうやってこんな大層なもん手に入れたんだ?』
『なあに。こんな世の中じゃ今時、軍の倉庫にあるもんは金や食い物で十分割に合うだろ? 向こうも困ってるんだ、お互い様の精神で譲りあっただけさ』
きっとこいつらも、150年後あたりに人形系なお姫様にぶち壊されるとは思ってなかったはずだ。
そいつは今はまだ静かだが、脂ぎったお父さんは自慢の息子みたいに誇らしげで。
『さて、今から一機起動するぞ。こいつらも今日からこの屋敷を守ってもらう大切な家族だ』
近くにいた知人らしき誰かからタブレットを受け取った。
たどたどしい動きで何かをいじればごうん、と片割れが立ち上がり――
【電源システム起動。センサー起動。武器管制システム起動。敵味方識別装置作動中。デザート・ハウンド・ロールアウト、こんにちは市民の皆様】
さっき俺たちが耳にしたのと遜色ない男の声でご挨拶だ。
自称反乱軍には興味も示さず、部屋奥のエレベータにそっけなく収まっていく。
『ハッハァァ! 見たか、動いたぞ! あいつは屋敷に近づく死にぞこないを殺す死神だ! その名も"アンダーテイカー"だ! 仲良くしてやってくれよ!』
そいつはフォート・モハヴィよりは幾分マシな場所に落ち着いたらしい。
頼もしいロボットに周りもわいわい騒いで、これからの人生をよっぽど楽しみにしてるようだ。
『……お、おい! 聞いてくれ! 屋敷の前に車が突っ込んできたぞ!』
そんな空気を台無しにする発言が混じった。階段側の通路からだ。
カメラが追う先には息を切らして転がり込む若い男がいた。
『さっそく敵襲か!?』
『そ、それが……避難しにきたみたいなんだ!』
『避難だと? どういうことだ!?』
『近隣の町でゾンビが出たとかいってんだよ、そいつが! 命からがら逃げてきたらしいんだ! どうする!?』
瞬く間に周囲はざわめいた。さっきまでの威勢の割には戸惑ってるようだ。
しかしご機嫌な親父さんはここぞとばかりに余裕を見せたかったのか。
『ほおら見ろ、俺たちの出番だ! 負傷者をここに運べ! ゾンビどもに接待の準備だ隣人ども!』
有頂天な様子を撮影させつつ、指揮官らしく兵士をかき分けていった。
そこで終わればさぞ話は締まっただろうが、肝心なのはここからみたいだ。
『……す……ぷ……』
マテオがカメラの視界ごと右往左往すると、父親の向かう先に人影が一つ。
たぶん屋敷にダイナミックにお邪魔したやつだ、破れた服と赤色漂う傷で終末を表す人種がのろのろやってきて。
『お、おいおい……こいつがそうなのか!? しっかりしろ! もう大丈夫だぞ!』
『あなた……どうしたの、その傷は!? 待ちなさい、今見てあげるから!』
この時ばかりは指揮官の父も、世界の終末を語る母も気持ちが一緒だ。
哀れなそいつに慌てて二人が駆け寄るものの。
『ス――スイープ! スイープ! スイープッ!』
次の瞬間には青い瞳がぎらっと二つだ――間違いなくテュマーだった。
電子的な言葉遣いでそう叫ぶと、そいつは母親の方へと飛びつき。
『えっ、どうっあっあああああああああああああああああああああ!?』
先ほどこの世の終わりを説いたばかりの喉笛に食らいついたのだ。
「ひっ」とカメラの視界が尻もちを表すと、周囲が騒いで駆けつける。
『ぞっぞんび……!? ゾンビだああああああああああ!』
『く、くそっ離れろ! 馬鹿やめろ撃つな――』
『あっ、あっ……俺、俺……*非感染者*を発見! 掃除! 掃除! 掃除!』
『うっあっあっあっい、いやだああああああああああああああッ!?』
天井の灰色が映し出される最中、とうとう悲鳴と銃声が混じる。
撮影者はすぐ逃げようとしたらしい、声を引きつらせながら起き上がれば。
『まっまて分かった話し合おうやめろやめぎゃあああああああああッ!?』
また誰かが死んだ、さっきまで隣人だったやつがいつの間にか人を食ってる。
数人分に集られて踊り食いにされたところで、マテオは武器庫へ走ったらしい。
『く、来るなっ! こっちに来るんじゃない! 畜生が!!』
『待って父さん! 父さん!? 頼むおいてかないで――』
阿鼻叫喚の場を抜けた先で待ってたのは――閉じる扉と自称指揮官だ。
不幸続きが祟って武器庫は完全に閉ざされてしまった。
『脳みそ、脳みそ、脳みそ……!』
『集結! 集結!』
『増援を要請する、増援を――!』
不穏な声に振り向けば、テュマーの群れが階段側から雪崩のように降りてきた。
誰かがせき止めようと滅茶苦茶な銃撃が始まるも、頭上がずずんと揺れた。
二度三度シェルターの構造がぶれると、そこに口をあけた感染者が――
◇
「……ってことがあったんだってさ。怖いねえ」
そんな後味の悪いホラームービーをタカアキがそう締めくくった。
キャストたちの名演技のおかげだ、世界の終焉がよく理解できた。
「また軍の横流しで痛い目見たってオチか、ばっかじゃねーの」
「……あのロボット、外から運ばれてきたんだね」
「そっか……外にあったのは保管されてた一機だったのかな? それでここにテュマーが侵入してきて、ハッキングされちゃったと思うんだけど……」
「デザート・ハウンドってテュマーと相性良すぎて味方信号つけちまうらしいからなぁ……150年も仲良くしてたみてえだけどそれも今日で終わりだ」
「で、ここの家主は家族関係が最悪だったくせに犬とはうまくやれてたみたいだな」
「マテオ君かわいそすぎるぜ……つーかここミシガン州マップの建物だったのかよ、んな遠くまで転移してやがったか」
「俺も親近感湧いたところだ。ところでミシガンってどこだ?」
「アリゾナからずーっと東だ。デトロイトっていう固定ロケーションがある」
ウェイストランドの事情が分かる四人からすれば考察も捗る。
「テュマーに備えて横流しされた無人兵器がやべえことになった」案件だ。
屋敷の惨状は『ホード』でも押し寄せたんだろう、反乱軍の陣地は見事に通り道になったらしい。
「ホラー映画さながらの様子だったんだが……作り物……ではないだろうな。というかミコ、なんで貴様はそう平然と考察してるんだ……!?」
「……なんなんです、これ? ゾンビパニックものですよね? そうですよね?」
「死亡フラグ乱立からのゾンビ登場はきれいな様式美だと思うよ団長。でもさ、さっきのゾンビってもしかして……」
「えーっと、このシェルターの様子……でしたよね? それにあのロボットもいたってことは……昔の映像、なんでしょうか?」
戦前の記録はウェイストランド知らずなやつらをガチで引かせてる。
何も考えなければ動画サイトに転がってるようなお手製ゾンビ映画かもしれないが、あいにくさっき経験した光景が深く関わってるのだ。
「フランメリア向けに言うとだな、ここは150年熟成された遺跡で、今の動画は古代の人々の家族団らんのご様子ってわけだ」
「まあちょっとぎくしゃくしてる親子関係だったらしいけどな?」
「でもちゃんと最後に縁は切れたみたいだぞ」
「150年分はな。子供見捨てて武器庫で忠犬と暮らすなんてひでえ親父だ」
タカアキの口も借りて、説明が欲しそうな美少女たちにそう伝えた。
「……一体どういう世界だったんだ、そのウェイストランドというのは」
エルは「そんな世界に連れてかれたのかミコは」って感じで頭を抱えてる。
「元の世界の倫理観よりずっとぶっ飛んでるのは確かだ。何せ戦争やら災害やら飢饉やら、更にゾンビ化事件がまとめてやってきて一度滅んだ世界だ」
「世紀末、というやつか。本当にその言葉の通りの有様が垣間見えたんだが」
「俺がお前らにゲームを基にしたもう一つの世界があるって話したの覚えてるか?」
「もちろんだ。あまり思い出したくない話題だがな」
「G.U.E.S.Tっていう世紀末サバイバルシミュレーターゲームが基になってるからな。知らないか?」
そこにあのゲームの名前をふと口に出してしまった。前に話したあの事実と共に。
リスティアナは「?」だし、タカアキもぴくっとその単語に反応したらしいが。
「G.U.E.S.T? なんだそれは?」
リザード系女子は「なにそれしらない」とばかりの反応だ。
マイナーなゲームだったんだろうか。他の顔もうかがうも。
「そんなゲームありましたっけ?」
「団長、MGO以外のゲームとかけっこう知ってるけど……初めて聞く名前だなあ」
ミセルコルディアの奴らは知らないらしい。そんなに知名度が低いのか?
その時だ。幼馴染のサングラス顔に何か浮かんだ――訝しむようなものだ。
「……なあ、リスティアナちゃん。STEELっていうゲームプラットフォームは知ってるか?」
そこから出てくる質問もなんだか妙だ、言葉の調子が焦ってる。
ぶつけられた本人は【STEEL】という単語を分かってそうな頷きで。
「はい、知ってますよー? STEELってあのゲームを買ったりプレイしたりできるあれですよね?」
「そうそう、時々ゲームのセールとかあるやつだ」
「懐かしいですねー……私、人工知能だったころに良く見てましたから。面白そうなゲームがいっぱいあって、やってみたいなーっていつも思ってました!」
「じゃあさ、G.U.E.S.Tってゲーム知ってるか? かなり有名なサバイバルシミュレーターだ」
「G.U.E.S.T……? 初めて聞く名前ですねー……?」
じゃあ『G.U.E.S.T』は? そんな名前もかすりもしないという様子だ。
タカアキはどうしたんだろう、そう伝わった瞬間に顔から冗談が抜け落ちてた。
まるで「信じられない」と言いたげだ。あいつは俺をちらっと見てから。
「世紀末世界で生き延びるサバイバル系ゲームだよ。バサスダっていう有名な会社が2028年にリリースしてて、今じゃGWとかハロウィンとかクリスマスには決まって割引販売されるぐらい売れてるやつだ、ほんとに知らない?」
「うーん……知らないですね……? あっでも、バサスダは知ってますよー?」
「そっちは知ってるか、どんなゲームあるか覚えてる?」
「リアル系のファンタジー世界を冒険するシリーズ作とかありましたよね? 来年には7作目が出るって世界中で話題になってませんでした?」
「そう、シリーズで初めてのCOOP対応のやつだろ?」
「そうですそうです! 私もMGO以外にもそういうゲームやってみたいなあって思ってましたー……」
楽しそうにべらべら喋る――にしてはかなり妙な様子を見せてきた。
無理に作った笑いが明らかに違和感を伝えてる。
にっこり話すリスティアナに対して、その対比はあまりにもいびつ過ぎた。
G.U.E.S.T。そんなゲームがタカアキから送られてきたのは覚えてる。
「そんな作品あったのか」程度の気持ちで起動したのは忘れもしないが、そんなに名のないゲームだったのか?
「ミコ、お前は分かるか?」
何か引っかかる。タカアキにつられてミコに尋ねるが。
「ウェイストランドの元になったゲーム、だよね?」
「ああ、実を言うと俺はプレイする前にこうなったから実際どんなもんか分からないんだけどさ……」
「……わたしも初めて聞くんだよね。でも、有名な作品なんでしょ?」
「らしい。バサスダって分かるか?」
「うん、ゲーム系のニュースサイトで時々話題になってた会社だよ。オープンワールド系のRPGの先駆けを作ったところなんだけど」
「じゃあG.U.E.S.Tは?」
あの世界の元ネタの名前を確かにそう伝えたはずだ。
「……あれ? そんなゲーム出してなかったような……?」
途端に相棒は答えに困りだした。果たしてそんなのあったかとばかりに。
おかしいぞ。そこまで有名な会社がリリースしたゲームを知らないだって?
この会話は何かが抜け落ちてる。
「……あー、ごめん俺の間違いだ! バサスダじゃなくて別のメーカーのゲームだったかも! いやあ長らくゲームとしてないとなんか狂うな!」
タカアキはすごく無理矢理に話をまとめて元気に立ち上がった。
「G.U.E.S.Tって何?」といまだ悩むヒロインたちが怪訝にするには十分だが。
「よし、依頼は終わったし帰るか! 戦利品運んでクラングルに帰ろうぜ!」
あいつは一人明るく振舞ってがしっと肩を組んできた。
それだけならいつもの腐れ縁同士の絡みなのだが。
(……イチ、ちょっと話したいことがある。帰ったら付き合ってくれ)
やっぱり何かがあったんだろうな。耳元にひどく真面目な声がきた。
「ああ」と短く答えて、俺は白き民の落とした武具を拾いに行った。
◇
おかげで戦利品をみすみす置いてけぼりにせずに済んだし、奥の武器庫を調べられるようになったのだが。
「……まあ、部屋の名前には負けちゃいない有様だな? まさに武器庫だ」
無人兵器とテュマーが仲良くしてた場所へ踏み込んで出た言葉がそれだ。
広々な周囲には壁やラックにこれでもかと敷き詰められた無数の銃器。
開いた軍用のケースが弾薬箱を晒し、古びたボディアーマーが積み重なってる。
そこに錆や埃や湿気がまとわりついてるとなると状態は「お察しください」だ。
「ああそうだな、150年前だったら値打ちも健在だったろうさ」
実際、タカアキが錆びだらけの銃を弄繰り回しながら残念そうだ。
「保存状態が最悪だな。で、どうする? この中から使えそうなものでも発掘するか?」
「これ以上疲れるのはお兄さんごめんだ、使えそうな弾薬以外は分解しちまえ」
「オーケー、人間リサイクル施設の出番だな。資源になるだけまだマシか」
「武器庫っていうかさあ……もう廃墟じゃん、これ?」
興味深そうにやってきたフランすらそう言うぐらいだ。
その言葉に相応しい保存状態だった。
雑に放り出された沢山の武器は濃い錆がこびりついて、薬莢も色あせてる。
「お上品に言うなら骨董品ってところだな。値打ちがない方の」
「つまりゴミの山じゃないですか……」
セアリのセリフも良く刺さる。素人が見ても本当にゴミの山なのだ。
むき出しの手榴弾の山なんて不発弾さながらに不安を振りまいてもいる。
「このエレベーターはなんだ? ずいぶん大きいが……」
みんなで遅る遅るその様子を伺えば、エルが奥を訝しむ。
どうにもご立派なエレベーターが待ち構えてた。
ここの広さと地上の屋敷を比べて考えれば外側に繋がってるみたいだ。
「これって、さっきのロボットが入りそうですよねー……?」
その巨体が収まるサイズに、リスティアナがてくてく近づいて見上げた。
デザートハウンドの大きさと比べれば用途もなんとなく計り知れる。
「もしかしてこれで運んだのかな? でも、それならどうしてこんな場所に入れたんだろう……?」
「戦前の奴らの思考からしてどうせしょーもない理由だと思うぞ」
ミコの首の傾げ方に俺から口に出せるのは「ウェイストランドだから」だ。
例えばどこぞの大廃墟じゃ『軍から横流しされた無人兵器いじって都市壊滅』だぞ?
となれば、こんな屋敷の地下にある理由もくだらないものに違いない。
「フォート・モハヴィとかがそうだったもんね……」
「……まあとにかく、そうだな、そこらへんの爆発物を片っ端から分解しとくよ。不発弾みたいなの残したまま依頼達成だなんて後味悪いだろ?」
「……うん、そうだね。そのまま放っておいたら危ないし、お願いできるかな?」
「了解、リーダー。帰る準備でもしててくれ」
とりあえずやることは一つ、この大量のゴミをこの世からなくすことだ。
さっきのテクニカル・トーチで分かったがここの保存状態は劣悪だ。
特に木箱いっぱいの手榴弾やらはそろそろ人間とのつながりを忘れてる頃かもしれない。
「ゴミのお片付けどころか不発弾の処理ができるなんて多芸になりやがって、紛争地帯とかいったらヒーローになれそうだなお前」
「どっちのだ?」
「敵ぶっ殺すほうじゃねーぞ、爆発物処理的なほうだ」
「爆発物持った馬鹿をぶちのめすのも得意だぞ」
「そりゃあ頼もしいことで、その素敵なパワーでさっさと消してくれ」
幼馴染も50㎜ロケットでいっぱいの箱をずりずり押してきた、片っ端から分解して資源に回す。
「いったいなんなんですかね、ここ……シェルターにゾンビに白き民にロボットに……セアリさん今日一日でお腹いっぱいなんですけど」
「こういう奇妙な建物は時折見るが、中も相応なものだな……ひどい場所だった」
「ていうかあのロボットなんだったのさ? 機関銃で撃たれるとか団長初めて!」
「フランメリアなのにウェイストランドに戻っちゃった気分だよ……」
「それよりもですよミコさん、なんて無茶するんですか!? いちクンもそうですけどあんなのに変身して飛び込むなんてどうかしてますよ!?」
「……リスティアナのスペシャルスキルの威力は確かにすごいが、だからといって貴様ら三人でああもリスクを負うのは私もどうかと思ってたところだ。心配したんだぞ?」
「ご、ごめんなさい……でも、早く倒さないと余計に状況が悪くなると思って……」
「でもいい連携だったじゃん。発動のタイミングとショート・コーリングをあわせて間合いを詰めるなんてミコ天才か……? リスティアナちゃんもあんなの倒すとかどーなってんの?」
「えへへ、ミコさんが私の剣を信じてくれましたから! あのロボットが動いた時に、どうにか私が一太刀打ち込めないかって思いついたんですよー?」
「う、うん……引き寄せの呪文の使い勝手ならけっこう分かって来たから……いけるかなーって思ったの」
ヒロインの皆さまはかわいい顔に疲れを浮かべて戦利品へ戻ったらしい。
今日もまことに申し訳なく思いつつ、部屋の内装を大分すっきりさせていくと。
「……ご主人、見回りしてたらこれ見つけた」
50口径の薬莢と戦利品に埋もれた通路からニクが帰ってきた。
「これ」と差し出されたのはメモリスティックだ、たぶんいわくつきの。
「どうも、メモリスティックか。どこにあった?」
「トイレの死体のポケット」
「ってことはここの事情が分かるだろうな。見せてくれ」
目ざとくトイレまで漁ってくれたらしい。グッドボーイ。
入手先の衛生状態はさておきPDAで読み込むと――動画ファイルがある。
サムネイルにはきれいな頃のここの通路が映ってるが、これはもしや。
「ご主人、何かあった?」
「動画だ。もしかしたらこうなった原因が分かるかもな」
たぶん戦前の様子だ、中身を確かめようと手が進むも。
「なるほど、記録媒体か。だったらもっと大きな画面で鑑賞といかねえか?」
『反乱軍』すらも片付いた大部屋からタカアキが「来い」と指で招いてた。
ちょうどよく食堂の壁に埃だらけのディスプレイが張り付いてるようだ。
PDAには同期可能と確かにある、どうせなら大きく見ようぜってことか。
「さーて、これで二万メルタゲットです。しかも戦利品も無事持ち帰れますからお財布が熱くなっちゃいますね!」
「これほど収穫があったのは私も驚きだな……フラン、取引は貴様が頼りだぞ」
「団長は抜かりありません! 知り合いに連絡して買い手確保しといた!」
「わっ……フランさん、もうそこまで用意してくれたんだ? ふふっ、頼もしいなあ?」
「あ、あのー……私、飛び入りでミセリコルディアの皆さまにご一緒させていただいたのに、アーツアーカイブとかもらっちゃっていいんでしょうかー……?」
「おいみんな、また賑やかにやってるところ悪いけど鑑賞会でもどうだ?」
俺は通路で戦利品に和気あいあいなヒロインたちに一声かけた。
再生を押すと黒い画面に、かつてのシェルターの様子が映し出される――
◇
幅広い画面いっぱいに見知った広い通路があった。
戦前の頃を小奇麗に物語ってるし、白い照明も相まって清潔なイメージだ。
『やはり私は間違っていなかった。この世界に終末が訪れようとしているわ、思えばあれはすべてがこの道筋を辿っていたんだと思う……』
まあ、そこに健全な営みはなさそうだ。
【詰所】の看板を前にそれらしく気取った白髪のおばちゃんが原因だ。
周囲にはカメラを意識した連中もいた。年齢も性別も服装もばらばらで、ご近所の人間を適当にかき集めたようなやつらである。
唯一の共通点は誰もが平等に武器を所持しているってところだが。
『初めに大地が汚され、次に海の生き物たちが消え、世界の水は枯れ、都市から光が失せ、数多の人々が飢餓に苦しんだ――いい? これは偶然ではないの。第六のラッパまでの道筋だったのよ』
演技臭いカメラワークの中でそれらしいおばちゃんは語る。
背景は違法性を感じる武器の山を台車に乗せて運ぶ男たちだ。
撮影者はご高説よりもシェルターの様子の方がよっぽど気がかりらしい、視線が迷子だ。
『そう、あれは"ゾンビ"などではない……人類に裁きを下しに解き放たれた二億もの軍勢よ。赤と青の瞳を持ち、硫黄を扱う彼らは我々人類の三分の一を滅ぼすために遣わされた――ちょっと! あなたちゃんと私のありがたいお話を撮ってるわよね!?』
そこで芝居らしい言葉遣いは中止だ、おばちゃんが怒鳴りだす
『ご、ごめんよ母さん……ちゃんと撮ってるよ、ただ周囲の様子もそれらしく撮ってただけで』
カメラの持ち主は若い男の声だ。
目の前の母親と比べておどおどしてる点から大体の関係は分かる。
『これは人類にとっての一大事なのよ! もしかしたら今にも私たちは死ぬかもしれないんだから、後世のために人類の行くべき道を今ここで伝えなきゃいけないの! なのにあの人ったら、ここで反乱軍だなんて言い出して……』
『おい、そいつのありがたいお話はその程度にしとけ! 脳をやられて人食いゾンビになっちまうぞ! それよりこっちの仕事だマテオ!』
くどくど続く話は急な男の声でカットされた。
どこぞの宿の親父さんほどじゃないけど、そろそろ髪が危ない小太りのおっさんが「来い」と手招いてる。
マテオ。そんなカメラマンは母親からうまく逃れられたらしい。
『わ、分かったよ父さん! ごめん、呼んでるからもう行くね!』
『待ちなさい! お母さんのお話はまだ終わって――』
じっとしてれば丸一日は後悔しそうな説教からあの武器庫に場面が移った。
待ってたのは一般人としては普通、もし兵士なら頼りないおっさんたちで。
『マテオ、お前はいい加減にあいつの言葉を真に受けるな!』
さっきのお父さんとやらが怒鳴りつけてきた。おかげで視界がぐらつく。
知人ぐらいの関係はありそうな周りも「またか」とか「気の毒に」と笑って。
『だ、だって話を聞かないと真夜中に言い聞かせにくるんだよ? だから……』
『だから、なんだ! 男ならあんなくだらない話はっきり断れ、まったくなんて情けない息子だ!』
『息子に厳しいお父さんだなあ、良く長続きしてるじゃないかお前』
『マテオ、親孝行と思って親父さんの言う通りきっぱり物申してやれよ。お前はこれから我らが指揮官の名誉ある息子様になるんだぞ?』
『そんなことより誰か物資を運ぶの手伝ってくれ、缶詰多すぎるんだ畜生』
『インプラント保有者向けの医療物資もたくさんあるんだぞ。倉庫に入り切るのかこれ?』
周りも相まってストレンジャー的に親近感のあるやり取りを披露してきた。可愛そうなマテオめ。
ストレス的な負荷でカメラが震えてるが、父親は知らん顔であの扉へ向かう。
『よおし、聞け親愛なる隣人ども! 今日はよくうちのシェルターに集まってくれたな!』
そして手をぱふぱふ下手に叩きながら周囲を集めた。
額に脂がにじんだ冴えない見た目は今日ばかりは輝いてるようだ。
ぎゃーぎゃーうるさいお母さまはさておき、地下に集まった多様性は携えた武器にうずうずしてる。
『数年前に流れた「アメリカにゾンビ・パンデミック来たり」っていう噂はマジだったわけだ! ここミシガン州でもデトロイトが奴らに陥落させられたらしい!』
そう、この親父だってそうだ。
普段は離婚の二文字が頭の片隅にあり続けてそうだが今は生き生きとしてる。
腰のホルスターと回転式拳銃がカウ・ボーイ気取りなのがその証拠だ。
『そのせいで今じゃこんなド田舎ですら無法地帯だ! ショッピングモールは泥棒だらけ、警察署は憂さ晴らしで燃やされ、あろうことか我が国の軍はすたこら逃げやがった! 許せるか、隣人ども!』
カメラの中でご立派な口のお父さまは実に楽しそうだ。
相当の混乱が外であったようだがこの『隣人』たちもノリがいいことで。
『だから俺たちがこの土地を取り締まる、そうだよな!』
『あいつらのキャンプから拝借したこの武器でな!』
『暴徒もゾンビもぶっ殺せ!』
そいつの言葉に耳を傾けて銃を手にわいわいやってた。
お母さまからの『やめなさい、あれは神の』だとかいう主張もかき消されるほどだ。
脂ののった被写体は(物理的にも)輝かしい顔で笑顔を決めると。
『だがお前らはツイてる! こんなこともあろうかと作ったこのシェルターのことだ! 今日から俺たちはここで『反乱軍』を結成する!』
息子に『よく撮れ』と目線で促しながら、ここぞとばかりに大声を上げた。
『噂じゃそのゾンビってのは武器も使うとか言われてるがな、こっちは軍から手に入れた本物だ! シェルターだって核戦争向けの上等な住処だぞ、俺たちはここで一丸となって世界の終わりを生き延びてやるんだ!』
最後にそんな気持ちを表明すれば、晴れてこの面々は反乱軍とやらになったらしい。
こうして見る分には社会から弾かれた酔狂な連中にしか見えない。そう、お前もだマテオ。
『最近は町どころかこの屋敷を狙う暴徒もいるが、そいつらはもはや我々の敵だ。俺が責任を取るから遠慮なく殺しちまえ!』
『もう撃っちまったよ! 悪さしてるやつの頭をな!』
『ついでに職務怠慢の警察な脳天にもどうだ!?』
『来てみやがれゾンビども! 一発で楽にしてやる!』
ここがろくでもない理由が垣間見えたわけだが、じゃああの無人兵器はどう関わってくるか?
その理由はすぐだった。何故なら父親が武器庫の扉にあるパネルをいじって。
『――それに俺たちには切り札もある! 軍にいる奴からお譲りしてもらったこいつだ!』
ごうごうとそこが開く。カメラが揺れてるのは果たして持ち主の緊張なのか。
どうであれろくでもなさそうな父親が威張れる確かな証拠があった――『デザート・ハウンド』だ。
八門の重機関銃を持ったあの巨体が二機も並んでるのだ。
『おいおい……こりゃ無人兵器じゃないか!?』
『すげえ、本物だ……! なんでこんなの持ってんだよお前!?』
『デザート・ハウンドだぞ、これ……? どうやってこんな大層なもん手に入れたんだ?』
『なあに。こんな世の中じゃ今時、軍の倉庫にあるもんは金や食い物で十分割に合うだろ? 向こうも困ってるんだ、お互い様の精神で譲りあっただけさ』
きっとこいつらも、150年後あたりに人形系なお姫様にぶち壊されるとは思ってなかったはずだ。
そいつは今はまだ静かだが、脂ぎったお父さんは自慢の息子みたいに誇らしげで。
『さて、今から一機起動するぞ。こいつらも今日からこの屋敷を守ってもらう大切な家族だ』
近くにいた知人らしき誰かからタブレットを受け取った。
たどたどしい動きで何かをいじればごうん、と片割れが立ち上がり――
【電源システム起動。センサー起動。武器管制システム起動。敵味方識別装置作動中。デザート・ハウンド・ロールアウト、こんにちは市民の皆様】
さっき俺たちが耳にしたのと遜色ない男の声でご挨拶だ。
自称反乱軍には興味も示さず、部屋奥のエレベータにそっけなく収まっていく。
『ハッハァァ! 見たか、動いたぞ! あいつは屋敷に近づく死にぞこないを殺す死神だ! その名も"アンダーテイカー"だ! 仲良くしてやってくれよ!』
そいつはフォート・モハヴィよりは幾分マシな場所に落ち着いたらしい。
頼もしいロボットに周りもわいわい騒いで、これからの人生をよっぽど楽しみにしてるようだ。
『……お、おい! 聞いてくれ! 屋敷の前に車が突っ込んできたぞ!』
そんな空気を台無しにする発言が混じった。階段側の通路からだ。
カメラが追う先には息を切らして転がり込む若い男がいた。
『さっそく敵襲か!?』
『そ、それが……避難しにきたみたいなんだ!』
『避難だと? どういうことだ!?』
『近隣の町でゾンビが出たとかいってんだよ、そいつが! 命からがら逃げてきたらしいんだ! どうする!?』
瞬く間に周囲はざわめいた。さっきまでの威勢の割には戸惑ってるようだ。
しかしご機嫌な親父さんはここぞとばかりに余裕を見せたかったのか。
『ほおら見ろ、俺たちの出番だ! 負傷者をここに運べ! ゾンビどもに接待の準備だ隣人ども!』
有頂天な様子を撮影させつつ、指揮官らしく兵士をかき分けていった。
そこで終わればさぞ話は締まっただろうが、肝心なのはここからみたいだ。
『……す……ぷ……』
マテオがカメラの視界ごと右往左往すると、父親の向かう先に人影が一つ。
たぶん屋敷にダイナミックにお邪魔したやつだ、破れた服と赤色漂う傷で終末を表す人種がのろのろやってきて。
『お、おいおい……こいつがそうなのか!? しっかりしろ! もう大丈夫だぞ!』
『あなた……どうしたの、その傷は!? 待ちなさい、今見てあげるから!』
この時ばかりは指揮官の父も、世界の終末を語る母も気持ちが一緒だ。
哀れなそいつに慌てて二人が駆け寄るものの。
『ス――スイープ! スイープ! スイープッ!』
次の瞬間には青い瞳がぎらっと二つだ――間違いなくテュマーだった。
電子的な言葉遣いでそう叫ぶと、そいつは母親の方へと飛びつき。
『えっ、どうっあっあああああああああああああああああああああ!?』
先ほどこの世の終わりを説いたばかりの喉笛に食らいついたのだ。
「ひっ」とカメラの視界が尻もちを表すと、周囲が騒いで駆けつける。
『ぞっぞんび……!? ゾンビだああああああああああ!』
『く、くそっ離れろ! 馬鹿やめろ撃つな――』
『あっ、あっ……俺、俺……*非感染者*を発見! 掃除! 掃除! 掃除!』
『うっあっあっあっい、いやだああああああああああああああッ!?』
天井の灰色が映し出される最中、とうとう悲鳴と銃声が混じる。
撮影者はすぐ逃げようとしたらしい、声を引きつらせながら起き上がれば。
『まっまて分かった話し合おうやめろやめぎゃあああああああああッ!?』
また誰かが死んだ、さっきまで隣人だったやつがいつの間にか人を食ってる。
数人分に集られて踊り食いにされたところで、マテオは武器庫へ走ったらしい。
『く、来るなっ! こっちに来るんじゃない! 畜生が!!』
『待って父さん! 父さん!? 頼むおいてかないで――』
阿鼻叫喚の場を抜けた先で待ってたのは――閉じる扉と自称指揮官だ。
不幸続きが祟って武器庫は完全に閉ざされてしまった。
『脳みそ、脳みそ、脳みそ……!』
『集結! 集結!』
『増援を要請する、増援を――!』
不穏な声に振り向けば、テュマーの群れが階段側から雪崩のように降りてきた。
誰かがせき止めようと滅茶苦茶な銃撃が始まるも、頭上がずずんと揺れた。
二度三度シェルターの構造がぶれると、そこに口をあけた感染者が――
◇
「……ってことがあったんだってさ。怖いねえ」
そんな後味の悪いホラームービーをタカアキがそう締めくくった。
キャストたちの名演技のおかげだ、世界の終焉がよく理解できた。
「また軍の横流しで痛い目見たってオチか、ばっかじゃねーの」
「……あのロボット、外から運ばれてきたんだね」
「そっか……外にあったのは保管されてた一機だったのかな? それでここにテュマーが侵入してきて、ハッキングされちゃったと思うんだけど……」
「デザート・ハウンドってテュマーと相性良すぎて味方信号つけちまうらしいからなぁ……150年も仲良くしてたみてえだけどそれも今日で終わりだ」
「で、ここの家主は家族関係が最悪だったくせに犬とはうまくやれてたみたいだな」
「マテオ君かわいそすぎるぜ……つーかここミシガン州マップの建物だったのかよ、んな遠くまで転移してやがったか」
「俺も親近感湧いたところだ。ところでミシガンってどこだ?」
「アリゾナからずーっと東だ。デトロイトっていう固定ロケーションがある」
ウェイストランドの事情が分かる四人からすれば考察も捗る。
「テュマーに備えて横流しされた無人兵器がやべえことになった」案件だ。
屋敷の惨状は『ホード』でも押し寄せたんだろう、反乱軍の陣地は見事に通り道になったらしい。
「ホラー映画さながらの様子だったんだが……作り物……ではないだろうな。というかミコ、なんで貴様はそう平然と考察してるんだ……!?」
「……なんなんです、これ? ゾンビパニックものですよね? そうですよね?」
「死亡フラグ乱立からのゾンビ登場はきれいな様式美だと思うよ団長。でもさ、さっきのゾンビってもしかして……」
「えーっと、このシェルターの様子……でしたよね? それにあのロボットもいたってことは……昔の映像、なんでしょうか?」
戦前の記録はウェイストランド知らずなやつらをガチで引かせてる。
何も考えなければ動画サイトに転がってるようなお手製ゾンビ映画かもしれないが、あいにくさっき経験した光景が深く関わってるのだ。
「フランメリア向けに言うとだな、ここは150年熟成された遺跡で、今の動画は古代の人々の家族団らんのご様子ってわけだ」
「まあちょっとぎくしゃくしてる親子関係だったらしいけどな?」
「でもちゃんと最後に縁は切れたみたいだぞ」
「150年分はな。子供見捨てて武器庫で忠犬と暮らすなんてひでえ親父だ」
タカアキの口も借りて、説明が欲しそうな美少女たちにそう伝えた。
「……一体どういう世界だったんだ、そのウェイストランドというのは」
エルは「そんな世界に連れてかれたのかミコは」って感じで頭を抱えてる。
「元の世界の倫理観よりずっとぶっ飛んでるのは確かだ。何せ戦争やら災害やら飢饉やら、更にゾンビ化事件がまとめてやってきて一度滅んだ世界だ」
「世紀末、というやつか。本当にその言葉の通りの有様が垣間見えたんだが」
「俺がお前らにゲームを基にしたもう一つの世界があるって話したの覚えてるか?」
「もちろんだ。あまり思い出したくない話題だがな」
「G.U.E.S.Tっていう世紀末サバイバルシミュレーターゲームが基になってるからな。知らないか?」
そこにあのゲームの名前をふと口に出してしまった。前に話したあの事実と共に。
リスティアナは「?」だし、タカアキもぴくっとその単語に反応したらしいが。
「G.U.E.S.T? なんだそれは?」
リザード系女子は「なにそれしらない」とばかりの反応だ。
マイナーなゲームだったんだろうか。他の顔もうかがうも。
「そんなゲームありましたっけ?」
「団長、MGO以外のゲームとかけっこう知ってるけど……初めて聞く名前だなあ」
ミセルコルディアの奴らは知らないらしい。そんなに知名度が低いのか?
その時だ。幼馴染のサングラス顔に何か浮かんだ――訝しむようなものだ。
「……なあ、リスティアナちゃん。STEELっていうゲームプラットフォームは知ってるか?」
そこから出てくる質問もなんだか妙だ、言葉の調子が焦ってる。
ぶつけられた本人は【STEEL】という単語を分かってそうな頷きで。
「はい、知ってますよー? STEELってあのゲームを買ったりプレイしたりできるあれですよね?」
「そうそう、時々ゲームのセールとかあるやつだ」
「懐かしいですねー……私、人工知能だったころに良く見てましたから。面白そうなゲームがいっぱいあって、やってみたいなーっていつも思ってました!」
「じゃあさ、G.U.E.S.Tってゲーム知ってるか? かなり有名なサバイバルシミュレーターだ」
「G.U.E.S.T……? 初めて聞く名前ですねー……?」
じゃあ『G.U.E.S.T』は? そんな名前もかすりもしないという様子だ。
タカアキはどうしたんだろう、そう伝わった瞬間に顔から冗談が抜け落ちてた。
まるで「信じられない」と言いたげだ。あいつは俺をちらっと見てから。
「世紀末世界で生き延びるサバイバル系ゲームだよ。バサスダっていう有名な会社が2028年にリリースしてて、今じゃGWとかハロウィンとかクリスマスには決まって割引販売されるぐらい売れてるやつだ、ほんとに知らない?」
「うーん……知らないですね……? あっでも、バサスダは知ってますよー?」
「そっちは知ってるか、どんなゲームあるか覚えてる?」
「リアル系のファンタジー世界を冒険するシリーズ作とかありましたよね? 来年には7作目が出るって世界中で話題になってませんでした?」
「そう、シリーズで初めてのCOOP対応のやつだろ?」
「そうですそうです! 私もMGO以外にもそういうゲームやってみたいなあって思ってましたー……」
楽しそうにべらべら喋る――にしてはかなり妙な様子を見せてきた。
無理に作った笑いが明らかに違和感を伝えてる。
にっこり話すリスティアナに対して、その対比はあまりにもいびつ過ぎた。
G.U.E.S.T。そんなゲームがタカアキから送られてきたのは覚えてる。
「そんな作品あったのか」程度の気持ちで起動したのは忘れもしないが、そんなに名のないゲームだったのか?
「ミコ、お前は分かるか?」
何か引っかかる。タカアキにつられてミコに尋ねるが。
「ウェイストランドの元になったゲーム、だよね?」
「ああ、実を言うと俺はプレイする前にこうなったから実際どんなもんか分からないんだけどさ……」
「……わたしも初めて聞くんだよね。でも、有名な作品なんでしょ?」
「らしい。バサスダって分かるか?」
「うん、ゲーム系のニュースサイトで時々話題になってた会社だよ。オープンワールド系のRPGの先駆けを作ったところなんだけど」
「じゃあG.U.E.S.Tは?」
あの世界の元ネタの名前を確かにそう伝えたはずだ。
「……あれ? そんなゲーム出してなかったような……?」
途端に相棒は答えに困りだした。果たしてそんなのあったかとばかりに。
おかしいぞ。そこまで有名な会社がリリースしたゲームを知らないだって?
この会話は何かが抜け落ちてる。
「……あー、ごめん俺の間違いだ! バサスダじゃなくて別のメーカーのゲームだったかも! いやあ長らくゲームとしてないとなんか狂うな!」
タカアキはすごく無理矢理に話をまとめて元気に立ち上がった。
「G.U.E.S.Tって何?」といまだ悩むヒロインたちが怪訝にするには十分だが。
「よし、依頼は終わったし帰るか! 戦利品運んでクラングルに帰ろうぜ!」
あいつは一人明るく振舞ってがしっと肩を組んできた。
それだけならいつもの腐れ縁同士の絡みなのだが。
(……イチ、ちょっと話したいことがある。帰ったら付き合ってくれ)
やっぱり何かがあったんだろうな。耳元にひどく真面目な声がきた。
「ああ」と短く答えて、俺は白き民の落とした武具を拾いに行った。
◇
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