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第二章
ふたりのクリスマスイブ
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12月24日、聖愛学園の今年の二学期終業式だ。
三年生は、三月期は自由登校となるため、普通の高校生活の最後の日常が終わる日だ。
「さよなら」
「バイバイ、年明け学校来る?」
「はぁ、今日も塾……」
「クリスマスくらい、楽しみたい……」
「冬休みに特訓ゼミが……」
「初詣どうする? 合格祈願……」
様々に友人たちの声が飛び交うが、
多くの同級生は、今年ばかりはクリスマスどころではなく、受験一色だ。
公募推薦合格者でも、本命の大学を受験をしようとする子もいる。
そんな中、本命に合格している美奈子は。そそくさと足早にクラスを出た。
アキラを自宅で迎える準備をしなければならない。
家政婦の高坂さんには、クリスマスは友人宅で過ごすから、
料理の準備はいらないと言ってあり、自分で全て用意しなければならないのだ。
それもあって、今日と明日は彼女は来ない。アキラとの時間は十分に確保されている。
25日に、友介宅に行かねばならないが、それも夕方からの予定で調整してある。
(あぁ、クリスマスイブを二人で過ごすのも楽しみ。
そして、とうとう、今夜……)
思わずにやけそうになる頬を抑えて、
買い物のため街中の雑踏に美奈子は踏み出していく。
「ピンポーン! 」
セキュリティロックのかかった一階入り口に来客の合図だ。
「いらっしゃい」
上条アキラを迎え入れる。
「メリークリスマス ! 」
アキラは、珍しくジャケットを着たパリっとした姿で、ドアを開けた。
迎える美奈子は、この日に合わせて新調したワインレッドのドレス姿だ。
「メリークリスマス ! いらっしゃい。
寒かったでしょ、さあ入って」
一瞬アキラは固まっていた。
「どうしたの ? 」
「いやっ、その……ど、どこのパーティー会場かと思って……
凄く綺麗だよ」
「まあ、ありがとう。アキラくんもジャケット姿、素敵よ」
「それじゃ、まずは、これを……」
硬直の解けたアキラが差し出す。
「クリスマスケーキ ! ありがとう。
これを持ってきてくれるって聞いてたから、ケーキは用意しなかったわ」
「バイト先のノルマ達成に、ひと役買ったわけ」
などと言いあいながら、ダイニングルームに招き入れ、二人だけの
クリスマスパーティーが始まった。
「うわぁ、本格的なローストチキンだ !」
丸ごとのローストチキンが食卓を飾った。
「凄いでしょ ! なーんて、家政婦の高坂さんにも手伝ってもらったのよ。
あっ、でも六割くらいはわたしかな……」
「フフ、美奈子の愛情が入っていれば何割でもいいよ」
「まあ……」
………
「ごちそうさま。本当に美味しかった。
お礼って、わけじゃないけど、これ、プレゼント!」
アキラがプレゼントを差し出した。
美奈子はワクワクしながら、包みを開ける
ホワイトゴールドのネックレスだ。
「素敵!! 高かったでしょ。」
「へへっ、このためにバイト頑張ったから」
「ありがとう。わたしのために貴重なバイト代を……
それに今日休むために、ずっと頑張ったんでしょ」
「そんな苦労も、美奈子のうれしそうな笑顔で吹き飛んだよ。
今日は、僕自身絶対に来たかったから……」
二人は、黙って見つめ合った。
「そ、そうだ、わたしからも、これ」
「この感触は……わあっ、手編みのマフラーだ !
ありがとう ! 」
「ごめんなさい、こんな素敵なものをいただいたのに、手作りで。
でも、親から貰った小遣いでプレゼントを買うのが、少し嫌だったの。
だから、せめてアルバイトの行きかえりが寒くないよう、マフラーを。
セーターの方が暖かいけれど、これなら毎日してもらえるかなぁって……
あの、その」
美奈子の顔は、いつの間にか真っ赤だ。
それを愛おしそうに、アキラが見つめている。
それに気づき、美奈子は更にどぎまぎした。
「わっ、わたし、何か緊張して、ペラペラと……」
食事を終えると、どちらからともなくキスを交わした。
暫く抱きしめ合い、啄むようなキスを続けた。
「ねぇ、お風呂入って」
「一緒に?」
「バカ。それは……また、今度ね」
アキラの後に、美奈子は風呂に入り、寝室に向かった。
既にアキラを案内してある。
今日は、とっておきのネグリジェ姿だ。
前開きで、レースがたっぷりあしらわれ、若干下着が透けて見える。
「やあ、可愛らしい格好だね……それに……セクシーだ。
ボクはジャージでごめん」
「いいのよ、男の人は」
二人は、ベッドに腰かけ、どちらからともなくキスを交わし、
抱き合うとベッドに倒れこんだ。
電灯が消えた。
その電灯が消える様を外から窺う者がいた。
友介だ。
美奈子の部屋が見えるあたりにクルマを止め、暗くなった部屋をじっと見つめている。
「くそっ、まさか、まさかそうなのか……美奈子」
三年生は、三月期は自由登校となるため、普通の高校生活の最後の日常が終わる日だ。
「さよなら」
「バイバイ、年明け学校来る?」
「はぁ、今日も塾……」
「クリスマスくらい、楽しみたい……」
「冬休みに特訓ゼミが……」
「初詣どうする? 合格祈願……」
様々に友人たちの声が飛び交うが、
多くの同級生は、今年ばかりはクリスマスどころではなく、受験一色だ。
公募推薦合格者でも、本命の大学を受験をしようとする子もいる。
そんな中、本命に合格している美奈子は。そそくさと足早にクラスを出た。
アキラを自宅で迎える準備をしなければならない。
家政婦の高坂さんには、クリスマスは友人宅で過ごすから、
料理の準備はいらないと言ってあり、自分で全て用意しなければならないのだ。
それもあって、今日と明日は彼女は来ない。アキラとの時間は十分に確保されている。
25日に、友介宅に行かねばならないが、それも夕方からの予定で調整してある。
(あぁ、クリスマスイブを二人で過ごすのも楽しみ。
そして、とうとう、今夜……)
思わずにやけそうになる頬を抑えて、
買い物のため街中の雑踏に美奈子は踏み出していく。
「ピンポーン! 」
セキュリティロックのかかった一階入り口に来客の合図だ。
「いらっしゃい」
上条アキラを迎え入れる。
「メリークリスマス ! 」
アキラは、珍しくジャケットを着たパリっとした姿で、ドアを開けた。
迎える美奈子は、この日に合わせて新調したワインレッドのドレス姿だ。
「メリークリスマス ! いらっしゃい。
寒かったでしょ、さあ入って」
一瞬アキラは固まっていた。
「どうしたの ? 」
「いやっ、その……ど、どこのパーティー会場かと思って……
凄く綺麗だよ」
「まあ、ありがとう。アキラくんもジャケット姿、素敵よ」
「それじゃ、まずは、これを……」
硬直の解けたアキラが差し出す。
「クリスマスケーキ ! ありがとう。
これを持ってきてくれるって聞いてたから、ケーキは用意しなかったわ」
「バイト先のノルマ達成に、ひと役買ったわけ」
などと言いあいながら、ダイニングルームに招き入れ、二人だけの
クリスマスパーティーが始まった。
「うわぁ、本格的なローストチキンだ !」
丸ごとのローストチキンが食卓を飾った。
「凄いでしょ ! なーんて、家政婦の高坂さんにも手伝ってもらったのよ。
あっ、でも六割くらいはわたしかな……」
「フフ、美奈子の愛情が入っていれば何割でもいいよ」
「まあ……」
………
「ごちそうさま。本当に美味しかった。
お礼って、わけじゃないけど、これ、プレゼント!」
アキラがプレゼントを差し出した。
美奈子はワクワクしながら、包みを開ける
ホワイトゴールドのネックレスだ。
「素敵!! 高かったでしょ。」
「へへっ、このためにバイト頑張ったから」
「ありがとう。わたしのために貴重なバイト代を……
それに今日休むために、ずっと頑張ったんでしょ」
「そんな苦労も、美奈子のうれしそうな笑顔で吹き飛んだよ。
今日は、僕自身絶対に来たかったから……」
二人は、黙って見つめ合った。
「そ、そうだ、わたしからも、これ」
「この感触は……わあっ、手編みのマフラーだ !
ありがとう ! 」
「ごめんなさい、こんな素敵なものをいただいたのに、手作りで。
でも、親から貰った小遣いでプレゼントを買うのが、少し嫌だったの。
だから、せめてアルバイトの行きかえりが寒くないよう、マフラーを。
セーターの方が暖かいけれど、これなら毎日してもらえるかなぁって……
あの、その」
美奈子の顔は、いつの間にか真っ赤だ。
それを愛おしそうに、アキラが見つめている。
それに気づき、美奈子は更にどぎまぎした。
「わっ、わたし、何か緊張して、ペラペラと……」
食事を終えると、どちらからともなくキスを交わした。
暫く抱きしめ合い、啄むようなキスを続けた。
「ねぇ、お風呂入って」
「一緒に?」
「バカ。それは……また、今度ね」
アキラの後に、美奈子は風呂に入り、寝室に向かった。
既にアキラを案内してある。
今日は、とっておきのネグリジェ姿だ。
前開きで、レースがたっぷりあしらわれ、若干下着が透けて見える。
「やあ、可愛らしい格好だね……それに……セクシーだ。
ボクはジャージでごめん」
「いいのよ、男の人は」
二人は、ベッドに腰かけ、どちらからともなくキスを交わし、
抱き合うとベッドに倒れこんだ。
電灯が消えた。
その電灯が消える様を外から窺う者がいた。
友介だ。
美奈子の部屋が見えるあたりにクルマを止め、暗くなった部屋をじっと見つめている。
「くそっ、まさか、まさかそうなのか……美奈子」
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