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第二章
大掃除
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今日も、何とか美奈子は強い言葉をあえて使うことで、誘惑を退けられた。
しかし、その貞操は風前の灯とも言える状態だ。
(どうしよう。このままじゃ、何かきっかけがあったら、なし崩しに先生とエッチしちゃいそう。
ここ最近、すっかり馴れ合ってしまって、どんどん気持ちよくなってる気がする……
わたしって、こんなに意志の弱いエッチなコだったの……
いえ、わたしにはアキラくんとの約束があるわ……)
その夜、美奈子は、あらためて北条アキラとLIMEで、
12月24日クリスマスイブのシフトの確認をした。
「大丈夫。店長もOK! 」
「冷やかされて困ってるよ」
24日は、本来ならケーキ販売追い込みなどで忙しいところを、
アキラはいま頑張ることで店長の点数稼ぎをしてくれているのだ。
(アキラくん……ありがとう。
この約束さえあれば、中年悪魔の誘惑にも耐えられる。
大丈夫。でも、その前に先生に言わなきゃ)
翌日、文芸部室で、友介をフェラチオで満足させ、
まったりと美奈子の乳房をやわやわして過ごす友介に、おずおずと切り出した。
「あのぉ、24日のクリスマスイブなんですけど……
終業式のあとは北条くんの家でクリスマスパーティーに呼ばれてて、
行ってもいいでしょうか?
弟さん・妹さんも、わたしが来るの楽しみにしてるらしくて」
「え~っ、クリスマスイブに彼氏と過ごしてくれないの?」
「ご、ごめんなさい……」
「まあ、寛大過ぎる彼氏としては、元カレの家族との交流まで認めるのかぁ。
優しすぎるなぁ……うん、いいよ。
その代わり、次のクリスマス当日から冬休みで埋め合わせしてもらうから」
(また、何か要求されるのかな。でも、いいや。
イブの思い出があれば、耐えられる)
「友介さん、ありがとう」
チュッと、顔をほころばせながらキスをした。
チクリ、表面的なキスのごまかしをしながり、なぜか美奈子の心が痛んだ。
(えっ ? せっかく先生にOKもらって、アキラくんとの大切な夜を迎えられるのに、
どうして、こんな気持ちになるの ?……
先生を騙す形だから ? でも、この人は卑劣な脅迫者。
そもそも、そういう馴れ合いの気持ちがおかしいのよ。 )
「年末も押し迫ってきたし、今日は大掃除しましょ ! 」
クリスマスを翌週に控えた日曜日、美奈子は友介宅の大掃除を提案した。
キッチン周りは比較的キレイになったし、
リビングも美奈子の掃除で、ある程度は片付いているものの、
それは当初の乱雑ぶりからしたらという低レベルな話であり、
美奈子に言わせれば、全然なってないであった。
実際、葛城邸は高坂家政婦と二人で、前日の土曜日午前で
大掃除は終えている。
「じゃあ、友介さんは窓ふきとエアコン掃除をお願いします。」
「オッケー ! エアコン……ここに入った時に買って、掃除……したかな ? 」
「冷暖房の効率が悪くなって、電気代の無駄です ! 」
「た、確かにね……」
少女に指示されるまま、中年男が働く。
「ダイニングを終わったから、リビングの本とかやりますね……
この際、いらなそうな本とかは、Bオフにでも……」
「それはダメ !」
ベランダから、怒声が響く。
掃除には渋々従っていた友介だが、本の処分には抵抗したいようだ。
「えぇっ……わかりましたぁ。
この隅に積んであるのとか、紙袋からも出してないし、
そもそも袋が黄ばんでる。絶対読まないと思うんだけどなぁ」
ブツブツ言いながら、美奈子は段ボールを開けたりして、
明らかなゴミがないかチェックをはじめた。
「これは……フィギュアか。飾ればいいのに。
あれ ? 同じのが既に飾ってある。
この本も、本棚で見かけた気がする。
どうして複数買ってあるんだろう.……ん ?
この段ボールの中は、見たことない……ラノベかぁ。
シリーズものね。
あっ ! なんだこの本持ってるじゃない。
持ってないって言ってたのに……
買ったのを忘れて、そのまましまってあったのかな。それなら……」
それは、以前美奈子がまったりとラノベを読んで過ごしている際に、
「何か、ちょっとSFがかった有名な学園ラノベあるじゃない。
アニメのダンスが話題になったという作品。あれはないの?
最近、久々のシリーズ新作が出たとかで話題になって面白そうだなって。
ラノベにおいてエポックメイキングだ ! 云々とか……
作品として読んでおいた方がいいらしいじゃない」
と聞いた際に「ないな」と一刀両断にされた作品群だった。
しかも、珍しく冗長な説明もなく。
美奈子は、そのラノベの入った段ボール箱を抱えて、寝室に向かった。
(こういう読みもしないの迄あそこに積んどくから、リビングが狭くなるのよ。
この部屋入ったことないけれど、寝室よね。
この箱くらい入るスペースあるかな。
先生の寝室なんて、絶対に超臭いに決まってるから、これまで入らなかったけど)
段ボールを足元に置くと、美奈子は思い切ってドアを開けた……
しかし、その貞操は風前の灯とも言える状態だ。
(どうしよう。このままじゃ、何かきっかけがあったら、なし崩しに先生とエッチしちゃいそう。
ここ最近、すっかり馴れ合ってしまって、どんどん気持ちよくなってる気がする……
わたしって、こんなに意志の弱いエッチなコだったの……
いえ、わたしにはアキラくんとの約束があるわ……)
その夜、美奈子は、あらためて北条アキラとLIMEで、
12月24日クリスマスイブのシフトの確認をした。
「大丈夫。店長もOK! 」
「冷やかされて困ってるよ」
24日は、本来ならケーキ販売追い込みなどで忙しいところを、
アキラはいま頑張ることで店長の点数稼ぎをしてくれているのだ。
(アキラくん……ありがとう。
この約束さえあれば、中年悪魔の誘惑にも耐えられる。
大丈夫。でも、その前に先生に言わなきゃ)
翌日、文芸部室で、友介をフェラチオで満足させ、
まったりと美奈子の乳房をやわやわして過ごす友介に、おずおずと切り出した。
「あのぉ、24日のクリスマスイブなんですけど……
終業式のあとは北条くんの家でクリスマスパーティーに呼ばれてて、
行ってもいいでしょうか?
弟さん・妹さんも、わたしが来るの楽しみにしてるらしくて」
「え~っ、クリスマスイブに彼氏と過ごしてくれないの?」
「ご、ごめんなさい……」
「まあ、寛大過ぎる彼氏としては、元カレの家族との交流まで認めるのかぁ。
優しすぎるなぁ……うん、いいよ。
その代わり、次のクリスマス当日から冬休みで埋め合わせしてもらうから」
(また、何か要求されるのかな。でも、いいや。
イブの思い出があれば、耐えられる)
「友介さん、ありがとう」
チュッと、顔をほころばせながらキスをした。
チクリ、表面的なキスのごまかしをしながり、なぜか美奈子の心が痛んだ。
(えっ ? せっかく先生にOKもらって、アキラくんとの大切な夜を迎えられるのに、
どうして、こんな気持ちになるの ?……
先生を騙す形だから ? でも、この人は卑劣な脅迫者。
そもそも、そういう馴れ合いの気持ちがおかしいのよ。 )
「年末も押し迫ってきたし、今日は大掃除しましょ ! 」
クリスマスを翌週に控えた日曜日、美奈子は友介宅の大掃除を提案した。
キッチン周りは比較的キレイになったし、
リビングも美奈子の掃除で、ある程度は片付いているものの、
それは当初の乱雑ぶりからしたらという低レベルな話であり、
美奈子に言わせれば、全然なってないであった。
実際、葛城邸は高坂家政婦と二人で、前日の土曜日午前で
大掃除は終えている。
「じゃあ、友介さんは窓ふきとエアコン掃除をお願いします。」
「オッケー ! エアコン……ここに入った時に買って、掃除……したかな ? 」
「冷暖房の効率が悪くなって、電気代の無駄です ! 」
「た、確かにね……」
少女に指示されるまま、中年男が働く。
「ダイニングを終わったから、リビングの本とかやりますね……
この際、いらなそうな本とかは、Bオフにでも……」
「それはダメ !」
ベランダから、怒声が響く。
掃除には渋々従っていた友介だが、本の処分には抵抗したいようだ。
「えぇっ……わかりましたぁ。
この隅に積んであるのとか、紙袋からも出してないし、
そもそも袋が黄ばんでる。絶対読まないと思うんだけどなぁ」
ブツブツ言いながら、美奈子は段ボールを開けたりして、
明らかなゴミがないかチェックをはじめた。
「これは……フィギュアか。飾ればいいのに。
あれ ? 同じのが既に飾ってある。
この本も、本棚で見かけた気がする。
どうして複数買ってあるんだろう.……ん ?
この段ボールの中は、見たことない……ラノベかぁ。
シリーズものね。
あっ ! なんだこの本持ってるじゃない。
持ってないって言ってたのに……
買ったのを忘れて、そのまましまってあったのかな。それなら……」
それは、以前美奈子がまったりとラノベを読んで過ごしている際に、
「何か、ちょっとSFがかった有名な学園ラノベあるじゃない。
アニメのダンスが話題になったという作品。あれはないの?
最近、久々のシリーズ新作が出たとかで話題になって面白そうだなって。
ラノベにおいてエポックメイキングだ ! 云々とか……
作品として読んでおいた方がいいらしいじゃない」
と聞いた際に「ないな」と一刀両断にされた作品群だった。
しかも、珍しく冗長な説明もなく。
美奈子は、そのラノベの入った段ボール箱を抱えて、寝室に向かった。
(こういう読みもしないの迄あそこに積んどくから、リビングが狭くなるのよ。
この部屋入ったことないけれど、寝室よね。
この箱くらい入るスペースあるかな。
先生の寝室なんて、絶対に超臭いに決まってるから、これまで入らなかったけど)
段ボールを足元に置くと、美奈子は思い切ってドアを開けた……
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