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プロローグ

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「葛城さん、放課後、進路指導室に来てください」

現国の授業が終わると、担任教師でもある浜田友介から美奈子は呼び出しを受けた。



葛城美奈子は聖愛学園高等部三年生。

この地域の名家である葛城家のひとり娘である。

祖父は、学園の理事を務めている。



ショートのレイヤーボブにしている黒髪は艶やかに光り

ぱっちりした黒目がちの瞳は意志の強い輝きを見せているが、

ゆるやかにカーブした眉毛と少し丸みをおびた鼻の愛らしさがカバーして、

きつい印象は与えない。

小さめな口元と潤みを常に感じさせる唇と合わせて、その美しさが際立ち、

誰もが魅了されてしまう。



身長は155cmとやや小柄、全体にスリムで、ブレザーの胸元は控えめながらも、

張りを感じさせ存在感を示している。

少し短めにしたスカートとからのぞく、スラりとした太ももと引き締まった

ふくらはぎは、躍動感を感じさせる。



キュッと盛り上がったヒップからの流麗なラインは、

最近少しだけ成長が見られ、意外と悩ましい。

一年生の終わりまで短距離陸上競技選手であったことで育まれた

瑞々しい肢体は、全く衰えていない。



私立の進学校として県トップクラスの聖愛学園三年生の中では、文武兼ね備えた

全校のアイドル美少女と言ってよいだろう。

また、こちらも現役ではないが、元生徒会副会長であったことで、

更なる箔付けがなされている。



その美奈子の身体全体を、一瞬なめるように見回した友介だが、

すぐに視線を戻し教室を出ていった。



美奈子には、進路指導室に呼び出される事に思い当たる節はなかった。

もう二学期も半ばを過ぎ、先日推薦が決まったばりだ。

今更成績の話でもないだろうし、何かあったのだろうか。



浜田友介の、いかにもな中年の小太りで髪の薄い姿を思い出すと憂鬱になる。


(なんだろう、浜田先生って、さっきもだけど、いつも私を見つめる目が

ねっとりしていて、気持ち悪く思ってしまう。

"キモ友"なんてあだ名つけられても仕方ないわ。自意識過剰かなぁ。

別に何かされたわけでもないし、担任としてはむしろ

親身に推薦の相談にも乗ってくれて、希望を通すのに頑張ってくれた。

ただ、個人としては、どうも好きになれないな。

生理的にムリな感じ。

タバコを吸ってる人特有の匂いがして、近くに寄られると、なんか臭いし。

身体もだらしなく太っていて、健康管理がなってないんだとと思う。)



思わず浜田先生に対するネガティブな思いが溢れてしまい、

美奈子は、軽くため息をついた。

もちろん真面目で、人当りのよい元生徒会副会長は、普段そんなそぶりも

思いも見せていなかったが、

あらためて浜田先生の事を考えて、自分がこんな風に彼のことを思って

いたのかと、逆に少し驚いた。



できれば、行きたくなかった。





こんな感じで始まります。



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