猫ちゃんの異世界、旅日記。

椿姫哀翔

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ロング帝国 ルーク

30話

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ガチャ

「ふぅー……ただいま」
〔ただいまー〕
「おかえりアキちゃん。」
〔ハルもおかえり。〕

部屋に戻り鍵を閉め、結界を張り自身にクリーンを掛けると一息ついてアキを繋いでいる紐を外してから部屋にある椅子に座った。

「はー」

ハルは机に突っ伏して腕をダランと伸ばし頭を乗せた。

〔おつかれ。ご飯食べながらずっと結界張ってたから疲れたでしょ。〕
「うん……」
〔普通の結界ならまだしも色々付け足してたんでしょ?〕
「うん。」
〔普通じゃない結界張ってるのは分かってたんだけど、どうゆうふうに張ったの?〕
「んー……、アキちゃんとリュックには周りから見えるけど、悪意がある人が触ると跳ね返るようにして、モリーさんかルーシーさんがアキちゃんにご飯持ってきた時に跳ね返されないように悪意が無い人は通れるようにした。」
〔マジか……〕
「うん。アルバンさんとぼくの魔の森での生活の話してる時は、周りの声は聞こえるけどこちらの声は聞こえないような結界を張っといた。」
〔え、2つも結界張ってたの……?〕
「ん?うん。」
〔そりゃあ、疲れるね。〕
「うん、疲れた……。アキちゃん、果実水飲みたいー」
〔はいはい。〕

アキは、インベントリから果実水を出して机の上に置いた。

「ありがとー」

1口飲むとコップを置き、また机に突っ伏してしまった。

「ねぇ、アキちゃーん。なんか甘い物食べたいー」
〔いいよ。なにがいい?〕
「美味しいのー」
〔はいはい。あ、こないだ作ったプリン残ってたんだ食べる?〕
「食べる!」
〔じゃあどうぞ。〕
「あ、でも、それってアキちゃんのおやつだったんじゃないの?」
〔あー、そんな事言ってたね。でも大丈夫だよ。あの時プリン4個作ってたから。今手元に3個残ってるからハルの分もあるよ。〕
「じゃあ、食べてもいいの?」
〔もちろん。どうぞ。〕
「やったっ!アキちゃんは食べる?」
〔うん。私も食べようかな。〕
「じゃあ、〔いただきます〕」

アキがルークに着く前に作ったプリンをインベントリから出し、食後のデザートにした。

パクッ

「んんーー、やっぱりうまい……」
〔うん。美味しい。〕

パクッ、パクッ

「んまっ……、あ、」
〔んー、ハルーもう1個食べて良いよ。〕
「え、でも、」
〔美味しかったんでしょ?〕
「うん!美味しかった!」
〔ならどうぞ。また作るから。〕
「いいの……?」
〔もちろん!〕
「やったっ!ありがとう!アキちゃん!」

食べ終わったハルは、寂しそうに空の容器を見ているとアキが残りの1個をインベントリから出してハルにあげた。
嬉しそうに食べ始めたハルは、すぐ無くならないように少しづつ味わって食べた。

「〔ごちそうさまー〕」


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