猫ちゃんの異世界、旅日記。

椿姫哀翔

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ロング帝国 ルーク

28話

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「アルバンさんて、どうゆう冒険者なんですか?」
「どうゆうって、普通の冒険者だぞ?」

食事を待っているあいだ、ハルはアルバンと話しをしていた。

「でも、受付のエイミーさんが、Aランク冒険者で凄い人だって言ってました。」
「Aランクではあるけど、凄くはないよ。」
「そうなんですか?」
「あぁ。魔法なんてからっきしだし、剣で叩き切ってるだけだからなー」
「へー」
「ハルはどうゆう戦い方するんだ?」
「ぼくですか?」
「あぁ」
「ぼくは、剣と魔法をちょこっと使って戦います。」
「魔法使えるのか!」
「はい。」
「なに使えるんだ?」
「風魔法と生活魔法ですね」
「へー。それで、どうやって敵を倒すんだ?」
「基本的には隙を見て風の塊を当ててよろけた所を急所をグサッとですね。」
「急所なんて、俺ですら中々狙えねのによく狙えるな。」
「まぁ、魔の森で生活してればおのずと分かりますよ。」
「へ……?」
「ん?」
「ハル、お前、魔の森で生活してたのか?」
「はい。」
「ちなみに、どのくらいの期間だ………?」
「え、どのくらいだろ……〔アキちゃん、分かる?〕」
〔うーん、2ヶ月ぐらいかなー。でも、色々調べられてハルの素性とか知られると面倒だから、『3ヶ月ちょっとぐらい』って言っといて。〕
〔分かったー〕
「多分、3ヶ月ちょっとぐらいですかねー。」
「…………え、ど、どうやって生きてきたんだ……?」
「え、魔の森の奥の方に洞窟があって、そこをおうちにしてました。ご飯は、魔獣とか取って食べてましたよー。」
「…………」

ハルの話しにアルバンは口をポカンと開けて呆然としてしまった。

「え、なんで……」
「はーい、お待たせしましたー!」

アルバンがハルになにか聞こうとしてるところにルーシーがご飯を持ってきてくれた。

「ありがとうございます。」
「これが、ハル君のオーク肉の塩ダレ炒めの定食、ご飯大盛り。」
「はい。」
「アキちゃんのちょっと待っててねー」
「にゃうー」
「あれ、アルバンさんご飯は?」
「もう食った。酒飲んでたらハル達が来たんだ。」
「あ、そうだったんですね。すみません……」
「気にするなハルと話すの楽しいしな。」
「なら良かったです。」
「はーい、アキちゃんお待たせー。」
「にゃー」
「魚フライ定食ね。」
「にゃん」

ルーシーは、アキの目の前にご飯を置いてくれた。
食べやすいように全てのお皿が平皿だった。

「ルーシーさん、ありがとうございます。」
「いえいえ、ごゆっくりー」

ルーシーがテーブルを離れると、ハルとアキは食事前の挨拶をしてから食べ始めた。

「いただきます。」
「にゃうー」

パクッ

モグモグ

「うまっ……」
「にゃうー」

モグモグモグモグ

2人はかなり美味しかったのか、一言発してからは無言で食べ進めていった。

15分もするとハルは完食した。

「はふぅ……、美味しかった……。」
「なら、良かったな。」
「あ、無言で食べててすみません……。」
「いや、良い食いっぷりで見てて気持ちよかったから気にするな。」
「あ、はい。」
「しかし、ほんとにあの量をペロリと平らげたな。」
「まぁ、あのくらいなら食べられますよ。」
「そうか。」

食べ終わったハルは、モリーが持ってきてくれてた水を1口飲み、一息ついた。

モグモグ

「アキちゃん、美味しい?」

モグモグ

「にゃん〔美味しい。ハル、おかわりは?〕」
「そっか、良かったね。そーだねー、おかわり頼もうかなー。」
「はあ?」
「ん?」
「あんなに食ったのにまだ食べるのか!?」

アルバンが驚くのも無理はない。
ハルが食べたオーク肉の塩ダレ炒めの定食は、ご飯大盛りだったが、おかずも大盛りにしたんじゃないかというくらいかなり多かったのだ。
ご飯は、ハルが食べる前にアルバンに見せた茶碗ぐらいの大きさの茶碗で山盛りにご飯がよそられ、おかずは、大皿に溢れるくらい乗っていた。
それを見ただけでアルバンは、眉間にシワを一瞬見せていた。
それにもかかわらずハルはまだ食べると言うのだ。

「え、あ、はい。まだお腹いっぱいではないので。」
「へ?でも、よく、腹八分目が良い。とか聞くぞ?やめとけ、残したらお金取られるぞ。」
「心配してくれてありがとうございます。でも、それを言うなら、ぼくまだ腹八分目まで行ってないので食べます。」
「………」

心配してくれてるのは分かるのだが、いちいち色々言われてちょっとイラついたハルは、『食べる』と言い切り、テーブルの上に置いてあるメニューを見始めた。

〔ねぇ、アキちゃん、なに食べようかな?〕
〔なにがあるの?〕
〔んーと、わかんない〕
〔え、メニュー見てるんじゃないの?〕
〔見てる。けど、〕
〔けど?〕
〔字が汚すぎて読めない。あと、にじんでる。〕
〔あー、じゃあ、モリーさんかルーシーちゃんに聞いてみれば?〕
〔分かった。そうする。〕

「うーん……あ、ルーシーさん」
「はーい」

メニューを見ながらアキと話していたハルは、アキの助言通りにメニューから顔を上げると周りをキョロキョロと見てモリーかルーシーを探した。

「どうかしました?」
「あの、さっきのご飯美味しかったです。」
「ありがとうございます。」
「それで、まだ食べたいのでなにかおすすめあったら教えてください。」
「うーん、そうですね、少し食べたいですか?普通に食べたいですか?」
「普通に食べたいです。ご飯物がいいです。」
「わかりました。じゃあ、野菜炒めとかどうですか?」
「野菜炒めですか?」
「はい。お肉も野菜も入ってるのでボリュームが結構あるんですけど私好きなんです。」
「そうなんですね。じゃあ、それにします。普通盛りでお願いします。」
「分かりました。少々おまちください。」
「はい。」

近くにいたルーシーを呼んで、おすすめの料理を聞いてそれを頼んだ。

〔ねぇ、アキちゃん、野菜炒めって普通にあるの?〕
〔あるんじゃない?簡単だし。肉と野菜切って炒めて味付けるだけだから。〕
〔なるほど。アキちゃんのオリジナルかと思ってた。〕
〔オリジナルっていうか、前世の料理ね。私もハルも私の料理しか知らないからなー。そういえばフィスィの料理はほとんど知らないね。〕
〔そうだね。〕
〔色んな所で色んなもの食べてみようか。〕
〔うん!〕


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