82 / 89
ロング帝国 ルーク
25話 ディランside
しおりを挟む俺様は、ディラン。剣士だ。
冒険者をしている。
魔法使いのフリッツと斧戦士のゴードンの3人で『カンピーネ』というパーティを組み冒険者として活動している。
俺様達は、最強だ。
だが、何故かDランク冒険者だ。
この間なんかは、魔の森に入り、オークの子供1体を討伐した。
フリッツが魔法で足止めし、ゴードンが斧で足を切りつけ逃げられなくして、俺様がトドメに剣で滅多刺しにした。
ものすごく連携の取れた討伐だった。
しかし、金にはならなかった。
オークはギルドで高値で買い取って貰えるのに、1回の酒で消えてしまった。
意味が分からなかった。
しかも、ギルドに登録も出来ないであろうガキは、ホルスタインを高値で買い取ってもらっていた。
自分が討伐した訳でも無いのに売りに出し、しかも大金を手にしていた。
これは絶対、ギルド職員を籠絡して金を巻き上げたはずだ。
ガキのしかも男なんかを好きな変態なんかもいるからな。そんなヤツを見付けて身体を売ったんだ。絶対!
こちとら命掛けて魔物の討伐してるってのによ!
だから、そのガキから冒険者とはなにかを教え、不当に得た金を頂こう。
ギルドから出たガキを3人で追った。
「なぁ、ディランあのガキどうするんだ?」
「そうだな……」
「んなの決まってんだろ!俺様達の凄さを身に染みて解らせんだよ!!」
「どうやってだ?」
「んなもん、捕まえてぶん殴ってやればいい!」
「まぁ、そうだな。俺様達に挨拶も無しだしな。」
「そうだ!アイツ、挨拶に来てねぇ!」
どう捕まえ、金を貰うか考えていると、ゴードンが空っぽな頭でシンプルな事を言った。
捕まえて殴るのは冒険者とはなにかを伝えるためには必要だからやるとして、どう捕まえるかを聞いているのに、馬鹿なヤツだ。
ムキムキマッチョのゴードンの脳みそは、身体と同じで筋肉で出来てるんだな。
しかも、新人冒険者は、俺様達に挨拶に来るのが普通なのに来てない事にも気付いていなかった。
どう捕まえるか考えていると、ガキは何故か門を抜けて、近くの草原に向かった。
「バカかアイツは。」
「ギャハハハ!俺様達に付けられてること気付いてねぇんだな!」
「そうだな、その可能性は高いな。」
「高いというか確実だろ!」
「で、どうするか。」
「捕まえたらいい!」
「暗くなってきたが、まだ探索から戻ってくる奴らがいるし、門番からも見える位置だ。迂闊には近寄れねぇ。」
「マジかよ!めんどくせー所に止まりやがって!」
「まぁ、そうだな。」
「ひとけが無くなるまで待つか?」
「んな事しねーで、さっさと捕まえて有り金全部貰おうぜ!」
「まぁ、そうだな。まだバレてねぇし、フリッツ、魔法で捕まえてくれ。」
「あぁ。」
門から近い場所だが、スライムぐらいは出る草原で突っ立ってるガキを見ながらゴードンは、待てが出来ないのかソワソワしながら向かおうとした。
あまり目立ってギルドに目を付けられるのは避けたい。
俺様は、冷静に物事を判断出来るフリッツに頼むことにした。
「目の前の子供を拘束せよ《ウィンドロープ》」
フリッツは、拘束するための魔法、《ウィンドロープ》を使ってガキを拘束した。
かに思えたが、何故かガキは歩き始めた。
「は?」
「おい!フリッツ!なにしてんだ!!さっさと捕まえろ!」
「やったさ!何故だ。何故あのガキは動ける…………。」
フリッツの魔法は、何故か効かず、ガキは町に戻って行った。
「おい、行くぞ。」
「「あぁ!」」
町に入られると不味い。見失う可能性があるし、町中で堂々と捕まえるのはさすがに不味い。
グンッ
「「「っ、」」」
「なんだ?」
「は?」
「どうなってんだよ!!?」
ガキを追いかけようとした俺様達の足は何故か動かなかった。
下を見ると、何故か足が地面に埋まっていた。
「っ、」
「っ、くっそ……!」
「ぐがぁぁ!!」
膝を手で持って持ち上げようとしても足は抜けずに地面に埋まっている。
ゴードンは、馬鹿力で足を抜こうとするが、ゴードンの力でも抜く事は不可能だった。
「っ、どうなってんだっ……。」
なにがどうなってるのか分からないが、とりあえず足を抜かなくてはっ!
「くっ、ぐぅっ、」
どんなに力を入れて抜こうとしても抜けず、徐々に体力が奪われていった。
「はぁ、はぁ、はぁ………。」
どのくらい時間が経ったか分からないが、太陽は完全に沈み、月が真上に来ていた。
「「「はぁ……、はぁ……、はぁ……」」」
3人とも体力の限界まで力を使ったが、全く抜く事が出来なかった。
俺様は力で抜くのを一旦諦めて良い方法は無いか考えた。
「…………、あ、」
「どうした、ディラン。」
「フリッツ、魔力残ってるか?」
「は?まぁ、多少は。」
「なら、地面を水魔法で柔らかくしてくれ。そうしたら抜けるかもしれない。」
「っ!それだっ!」
「さすがディランだ!天才だな!」
「だろ!頼むフリッツ。」
「あぁ!」
フリッツは、俺様の解決策を早速実践してくれた。
フリッツは、風魔法の他に水魔法も使えるセカンド魔法使いなのだ。
フリッツの水魔法のおかげで地面はぬかるみ、最後の力を振り絞り足を引き抜いた。
「「「おらっ!!!」」」
スポンッ
片方が抜けるともう片方なんか楽に抜けた。
「「「はぁ……、はぁ……、はぁ……」」」
「助かったぜフリッツ!」
「あぁ、お前のおかげだ。」
「あ、あぁ………、」
「すまないな、疲れてるのに魔法まで使わせちまって。」
「いや、ディランの解決策のおかげで足が抜けたんだ、逆に感謝するよ。」
俺様達は、少し休憩すると、肩を抱き合い町に戻って行った。
疲れたが、仲間の絆が強くなったぜ!!
※彼らは、マヌケなことにディランの解決策が出るまでの約4時間、手で膝を持ち自力で足を抜こうとしていた。
ハルは鑑定を使いフリッツが水魔法も使える事に気付いたため、水に濡れると緩くなるように地面に魔法を掛けていた。
0
お気に入りに追加
262
あなたにおすすめの小説
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
RD令嬢のまかないごはん
雨愁軒経
ファンタジー
辺境都市ケレスの片隅で食堂を営む少女・エリカ――またの名を、小日向絵梨花。
都市を治める伯爵家の令嬢として転生していた彼女だったが、性に合わないという理由で家を飛び出し、野望のために突き進んでいた。
そんなある日、家が勝手に決めた婚約の報せが届く。
相手は、最近ケレスに移住してきてシアリーズ家の預かりとなった子爵・ヒース。
彼は呪われているために追放されたという噂で有名だった。
礼儀として一度は会っておこうとヒースの下を訪れたエリカは、そこで彼の『呪い』の正体に気が付いた。
「――たとえ天が見放しても、私は絶対に見放さないわ」
元管理栄養士の伯爵令嬢は、今日も誰かの笑顔のためにフライパンを握る。
大さじの願いに、夢と希望をひとつまみ。お悩み解決異世界ごはんファンタジー!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果
てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。
とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。
「とりあえずブラッシングさせてくれません?」
毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。
そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。
※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる