猫ちゃんの異世界、旅日記。

椿姫哀翔

文字の大きさ
上 下
80 / 89
ロング帝国 ルーク

24話

しおりを挟む



〔さて、ハル、次はどこ行く?〕
〔うーん……、あ、食器とか鍋とか買う?〕
〔なんで?〕
〔数少なくない?〕
〔あー、そうね、ハルの非常用でマジックバックにも入れときたいし色々買おうか。〕
〔うん。あと、食べ物も。〕
〔そうね、ギルドの近くに市場があったっぽいから行こう。〕
〔おー〕

ギルドに向かいながら近くにある市場で、必要そうな物を次々に買って行き、アキのインベントリに入れていった。

ギルドに着く頃には日が暮れていた。

〔お肉貰ったら帰ろー〕
〔そうだね。〕

ハルとアキはのほほんとギルドの中に入って行った。

「あっ!!ハル!」
「っ!、はっ、はぁ、はぁ……」
「す、すまない……。」
〔ハル、落ち着いて深呼吸。〕
「すぅー、はぁー、……ふぅ、」
「だ、大丈夫か……?」
「あ、はい……。
ハドソンさん、大丈夫です。すみません……。」
「いや、俺こそすまなかった。大声得意じゃないこと知ってたのに、すまない。」
「いえ、それでどうかしたんですか?」
「どうかしたって、お前な……」
「?」
「まあいい、部屋借りてるから着いてこい。」
「え、はい。」

ギルドの中に入るとすぐ、大声でハルを呼ぶ男性が来た。
それに驚き過呼吸になってしまったハルをアキが落ち着かせていると、ハルの元に申し訳なさそうにハドソンがやってきた。


ハルは、アキを抱っこしたままハドソンについて行った。

「この部屋に入れ。」
「はい。」

昨日使った防音室に来たハルとハドソンは、向かい合って座った。

「それで、ハドソンさんなにか?」
「ハルは俺に丸投げしといて何も無しか?」
「え……」
〔あ、ハルごめん、多分私のせいだ。〕
〔どうゆうこと?〕
〔昼間の不審者捕まえてもらうためにハドソンさんに手紙書いたって言ったでしょ。〕
〔うん。〕
〔あれ、ハルの名前で書いたから〕
〔なるほどー。分かった。話し合わせる。〕
〔お願い。〕
「……あぁー、思い出しました。変な人の件ですか?」
「はぁ、それしか無いだろ。」
「ですよね……。すみません、すっかり忘れてました……。」
「お前な……」
「ごめんなさい。後処理してくださってありがとうございました。」
「いいよ。
それで、その変な人、指名手配犯だったから報酬渡すな。」
「え、そうだったんですか?」
「あぁ、最近この町で誘拐事件が多発してたんだが、それの犯人がハルが言ってる変な人達だった。」
「ほんとですか?」
「あぁ。だからギルドカード出してくれ。」
「はい。」

ハルは、忘れていたのを思い出したっ!みたいな顔をして話しを合わせた。
指名手配犯だったことに驚きながらギルドカードをハドソンに渡した。

ハドソンは、騎士団から預かっていた報酬をハルのギルドカードに入れた。

報酬は、ボスが6,000,000フィスで、部下達が1人、1,000,000フィスだったため、合計で10,000,000フィスだった。
ハドソンは、ハルのギルドカードに金貨1,000枚を入れた。

「はい、出来たぞ。」
「ありがとうございます。」
「それじゃあ、行くか。」
「ん?どうやって倒したとか聞かないんですか?」
「あぁ、騎士団には、俺の知り合いが捕まえたって伝えといたから報告は必要ない。」
「そうだったんですね。何から何までありがとうございます。」

ハルは、改めてハドソンに頭を下げてお礼を言った。

「いいさ、ハルのおかげで誘拐犯は捕まえられたしな。」

ハドソンはそう言い、部屋をあとにした。


しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

RD令嬢のまかないごはん

雨愁軒経
ファンタジー
辺境都市ケレスの片隅で食堂を営む少女・エリカ――またの名を、小日向絵梨花。 都市を治める伯爵家の令嬢として転生していた彼女だったが、性に合わないという理由で家を飛び出し、野望のために突き進んでいた。 そんなある日、家が勝手に決めた婚約の報せが届く。 相手は、最近ケレスに移住してきてシアリーズ家の預かりとなった子爵・ヒース。 彼は呪われているために追放されたという噂で有名だった。 礼儀として一度は会っておこうとヒースの下を訪れたエリカは、そこで彼の『呪い』の正体に気が付いた。 「――たとえ天が見放しても、私は絶対に見放さないわ」 元管理栄養士の伯爵令嬢は、今日も誰かの笑顔のためにフライパンを握る。 大さじの願いに、夢と希望をひとつまみ。お悩み解決異世界ごはんファンタジー!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!

古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。 そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は? *カクヨム様で先行掲載しております

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

悪役令嬢は始祖竜の母となる

葉柚
ファンタジー
にゃんこ大好きな私はいつの間にか乙女ゲームの世界に転生していたようです。 しかも、なんと悪役令嬢として転生してしまったようです。 どうせ転生するのであればモブがよかったです。 この乙女ゲームでは精霊の卵を育てる必要があるんですが・・・。 精霊の卵が孵ったら悪役令嬢役の私は死んでしまうではないですか。 だって、悪役令嬢が育てた卵からは邪竜が孵るんですよ・・・? あれ? そう言えば邪竜が孵ったら、世界の人口が1/3まで減るんでした。 邪竜が生まれてこないようにするにはどうしたらいいんでしょう!?

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

処理中です...