猫ちゃんの異世界、旅日記。

椿姫哀翔

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ロング帝国 ルーク

18話

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〔次、どうしよっか。〕
〔武器見たい。〕
〔私があげたやつじゃ不満?〕
〔ちがうよ。〕
〔ふふっ、ウソだよ。〕
〔もぉ。どうゆう武器があるのか気になるだけ。〕
〔そうね、それは、私も気になるわ。〕
〔でしょ。どこが、武器屋さんかな?〕
〔適当に歩いてれば見つかるでしょ。〕
〔そうかなー〕

アキを抱っこしたまま周りを見ながら武器屋を探しながらフラフラと歩いていた。


〔…………、ん?〕
〔どうかした?〕
〔あ、うん、なんか、金属を叩く音?がする。〕
〔え、ほんと?どこ?〕
〔かなり小さい音だから、まだ遠いかも…?〕
〔そっか〕

しばらくフラフラと歩いていると、アキが金属の音を耳にした。
その金属の音がする方へと歩いていく事にした。


〔あ、ここ。〕
〔え、ここ……?〕
〔そ。ここから金属の音する。〕
〔そっか。こんな所で…〕

結構な距離歩いているとアキが見つけた。
アキが見つめた先をハルが見ると、ボロボロの小屋みたいに小さな家が建っていた。

〔入ってみる?〕
〔うーん……、そうだね。せっかくアキちゃんが見つけたから入ってみよう。気になるし。〕

気は引けていたが、気になるため、中に入ってみることにした。

「すみません、」

家の外から声を掛けるが、反応は無い。

「すみませーん」

先程より大きな声を出したがまたも反応は無い。

〔入っちゃおうか?〕
〔そうね、ここにいても気付かれないかもしれないしね。〕
〔中に入るから一応紐繋ぐね。〕
〔うん。〕

ハルは、アキに紐を繋ぎ、抱っこしたまま店と思われるボロボロの建物に入っていった。

「おじゃまします…。」

おそるおそる入ると、外観よりは綺麗な内装だった。
置いてある棚に無造作に置かれている武器をマジマジと見たハルは思わずニヤけた。

「…………わぁ、すごい。」
〔ハル、鑑定してみるともっとすごいよ。〕
〔ホントに?《鑑定》〕


種類:片手剣
材質:鉄
強度:++++
性能:


「おぉ」
〔ね、〕
〔うん。鉄使ってるのに強度4はすごい。〕
〔鉄なら2が限界だからね。〕
「ほんと、すごい……。」
「そりゃあ、どうも。」
「あ、いえ、勝手に入って、見てしまってすみません。」
「よいよい。ワシがここに居なかっただけだからのう。」

ハルとアキがマジマジと片手剣を鑑定しながら眺めていると、ハルの後ろにある扉からドワーフが来た。
気配で気付いていたハルは、驚くことなく対応した。

「なにか、用かい?」
「いえ、どんな武器があるのか見てみたかっただけなので、」
「そうかい。あんさんは冒険者か?」
「はい。昨日なったばかりです。」
「そうか、そうか。なら武器を決める為に武器屋を見に来るのは正解じゃな。」
「いえ、武器はあるんです。」
「あるのか?」
「はい。使っているのがあるのですが、もう一本短剣が欲しいかなとは思ってはいるんですが、見ているだけですね。」
「なにを使ってるのか見せてもらっても良いかい?」
「え、っと、」
「すまん、すまん。初対面なうえに自己紹介もしてなかったな。」
「すみません…。」
「よい。初対面の人への対応は今ので合っておる。」
「なら、よかったです。」
「自己紹介だったな、ワシはルネルじゃ。ここの隣りに建ってる建物で武器を作ってる鍛冶師じゃ。」
「ぼくは、ハルです。冒険者です。この子は、アキちゃん。ぼくの家族です。」
「ハルとアキじゃな。改めてよろしくな。」
「はい。」
「にゃ。」
「見せてもらっても良いかい?」
〔アキちゃん〕
〔いいんじゃない。悪意察知に反応無いし。でも、刀だけね。〕
〔うん、ぼくの方も悪意察知に反応無い。〕
「では、どうぞ。」
「おぉ!これは!東の方の大陸のカタナという代物じゃな!」
「っ、はい、」
「鑑定してみてもいいか!?」
「っ、はい、大丈夫です…。」
「ありがたい。《鑑定》」


種類:刀
材質:#&$¥/$@#'$¥&#
強度:++++++++++
性能:魔力付与


「な、、なんじゃこりゃーー!!!」
「あの……、」
「こんな薄い細い刃に強度がMAXだと!?そのうえ、魔力付与だと!!?おい、ハル!材質はなんだ!?」
「……っ、あ、え、あ、……うぅ、あっ、」

驚きすぎたルネルは大声をあげ、矢継ぎ早にハルに尋ねた。
急な事にハルはパニックになり、アキを力いっぱい抱き締め、震えながら2歩下がった。

「シャーー!!」
「っ、なんじゃ、さっきまで大人しかったのに……、あ、ハ、ハルっ!す、すまん、!」

アキの威嚇に驚いたルネルはハルを見て慌てた。
アキを抱き締めながら震え、顔が真っ青になり、呼吸が浅くなっていたのだ。

「す、すまん。ここに座ってくれ。」

ハルに椅子を出したルネルは、出てきた扉から入り、水の入ったコップを持って戻ってきた。

「ほら、水。」
「ぁ、っ、はっ、」

震える手でなんとかコップを持ったのを見たルネルは、ハルから離れてハルの視界に入らない位置に移動した。

〔ハル、落ち着いて、大丈夫。ゆっくり深呼吸して〕
「はっ、はっ、はっ、…はっ、…はっ、」
〔もっと、ゆっくり。ほら、吸って〕
「すぅー」
〔そう。そのまま、吐いて〕
「はぁー…」
〔もういっかい。吸って〕
「すぅー」
〔吐いて〕
「はぁー……、はふぅ……、ふぅ。」
〔大丈夫?〕
〔ぅん……。〕
〔水飲める?ゆっくり飲んでみて〕
〔ぅん〕

コクン

アキの言う通りにゆっくりと深呼吸をして少し落ち着いたハルは、ルネルから貰った水をアキの言う通りにゆっくりと1口飲んだ。

「はぁ……。」
「ハ、ハル……」
「あ、ルネルさん……、大丈夫です。すみませんでした……。」
「いや、こっちこそすまんかった。そっち行っても良いかい?」
「はい。」

落ち着いた所を見て小さめの音量で声を掛けてハルの元に戻った。

「すまんかったな。」
「いえ、大声に反応しちゃうのをどうしても止められなくて、ホントに、ごめんなさい…。」
「いや、こちらこそすまなかった。」
「いえ、」
「にゃう…」
「アキちゃん?」
「なう……」
「あ、ごめん、痛かった?」
「なうん」
「ホント?痛くない?」
「にゃん!」
「なら、よかった……。」

謝罪が中々終わらない為、アキが仲裁に入った。
アキと声を出して話したらまた落ち着いたのか、少し顔色が戻った。


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