猫ちゃんの異世界、旅日記。

椿姫哀翔

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ロング帝国 ルーク

14話

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ハルがカーテンの中に入ってから、待ってるあいだにセリナがアキに話し掛けていた。

「アキちゃんは、ハル君好き?」
「にゃん!」
「そっかー。ハル君カッコよくしてあげるからちょっと待っててね。」
「にゃうー」


「す、すこーし、な、撫でても……い、いかな…?」

ハルを待ってるアキの話し相手になってくれているセリナは、アキに話し掛けながら、触れないかと手をワキワキさせながら目をランランと見開きながら話している。

「フシャー!(目が逝ってて怖い、この人!)」
「っ、(触ろうとしてるの、バレた!?)」

アキは、身の危険を感じてセリナから1歩下がって威嚇した。

「あ、アキちゃん、怖くないよー、こっち、おいで………。」
「フシャー!(無理無理!なに、この人、怖いぃー)」
〔アキちゃん、どうかした?〕
〔このセリナって人、怖いぃー〕
〔なんかされた?〕
〔ううん。まだ何も。〕
〔まだ?〕
〔うん。触ろうとしてきた。〕
〔触るって、アキちゃんを?〕
〔そう。撫でるってのが合ってるかもしれないけど。〕
〔撫でたいだけならいいんじゃない?〕
〔無理だよぉー。この人、目が逝っちゃってるんだもん!〕
〔逝っちゃってる?ってどうゆうこと?〕
〔目が怖い。〕
〔とりあえず、早く着替えるよ。〕
〔お願いぃー。〕
(ほんとに怖いんだ……。)

アキの威嚇の声に気付いたハルは、念話でアキをなだめた。
そのあとすぐにカーテンの中から出てきた。

「着替え終わりました…。」
「あ、待ってたよ。」

シャッ

カーテンから出てきたハルは、水色の襟付きの長袖シャツに青色のベストを着て、ベストと同色の青色の半ズボンをはいて、膝下まである紺色の靴下をはいていた。

「どう、ですか…?」
「良いじゃない!似合うわ!」
「結構動きやすそうでいいですね。」
「ほんと?ならよかった。」
「アキちゃん、どう?」
「にゃうー。〔いいね。可愛い。〕」
「ありがとう。〔可愛い…?〕」
「他のも着てみて。」
「わかりました。」

もう一度カーテンの中に入ったハルはまた着替えて出てきた。

「着替え終わりました。」

次は、黄色の襟のついてない長袖のシャツを着て、緑色の半ズボンをはいて出てきた。靴下は深緑色で、ふくらはぎの真ん中ぐらいの長さだった。

「あー、そのズボンに付いてる紐、肩から掛けて。」
「こうですか?」

半ズボンには、左右に紐が付いていた。

「そうよ。その紐は、ズボンが落ちないようにするために付けてみたの。どう?」
「そうですね、ズボンは落ちないけど、激しく動いたら肩から紐が落ちそう。」
「そうかー…。」
「アキちゃん、どう?」
「にゃ。〔無し。〕」
「そっかー。」
「次、お願いね。」
「はーい…。」
「ごめんなさいね、疲れてきたかと思うけど最後だからよろしくね。」
「はい。」

またまた着替えのためにカーテンの中に入って行った。

「アキちゃん、ごめんね、さっきは、急に触ろうとして………。」
「にゃ」
「許してくれる?」
「んにゃ…。」
「あぁー、ごめんね、ほんとにやだったんだねー!」
「着替え終わりました。」
「あ、はい。出てきてー。」

シャッ

最後の服は、ピンク色の襟付きの長袖シャツと紺色の長ズボンと、お店の前でハルとアキが見ていた白色のフードが付いてる薄手の上着だった。靴下は見えないが、黒色のくるぶしより少し上の短めのだった。

「おぉー、似合うね。」
「そうですか?ピンクって、女の人が着るのだと思ってました。」
「そうねー、女性が着ることが多いわね。でも、ハル君は似合うと思ったのよねー。」
「そうですか…。アキちゃん、どう?」
「にゃー!〔それいいね!やっぱり、白色似合うよ。ピンクも似合う。可愛い!〕」
「ありがとう。アキちゃん。
セリナさん。」
「はい」
「この今着ているのと、1番最初に着たやつをください。」
「わかったわ。それは着てく?」
「はい。いいですか?」
「もちろんいいわよ。」
「ありがとうございます。」

お会計を済ませて、店を後にした。

「また来てねー。」
「はい。ありがとうございました。」

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