68 / 89
ロング帝国 ルーク
14話
しおりを挟むハルがカーテンの中に入ってから、待ってるあいだにセリナがアキに話し掛けていた。
「アキちゃんは、ハル君好き?」
「にゃん!」
「そっかー。ハル君カッコよくしてあげるからちょっと待っててね。」
「にゃうー」
「す、すこーし、な、撫でても……い、いかな…?」
ハルを待ってるアキの話し相手になってくれているセリナは、アキに話し掛けながら、触れないかと手をワキワキさせながら目をランランと見開きながら話している。
「フシャー!(目が逝ってて怖い、この人!)」
「っ、(触ろうとしてるの、バレた!?)」
アキは、身の危険を感じてセリナから1歩下がって威嚇した。
「あ、アキちゃん、怖くないよー、こっち、おいで………。」
「フシャー!(無理無理!なに、この人、怖いぃー)」
〔アキちゃん、どうかした?〕
〔このセリナって人、怖いぃー〕
〔なんかされた?〕
〔ううん。まだ何も。〕
〔まだ?〕
〔うん。触ろうとしてきた。〕
〔触るって、アキちゃんを?〕
〔そう。撫でるってのが合ってるかもしれないけど。〕
〔撫でたいだけならいいんじゃない?〕
〔無理だよぉー。この人、目が逝っちゃってるんだもん!〕
〔逝っちゃってる?ってどうゆうこと?〕
〔目が怖い。〕
〔とりあえず、早く着替えるよ。〕
〔お願いぃー。〕
(ほんとに怖いんだ……。)
アキの威嚇の声に気付いたハルは、念話でアキをなだめた。
そのあとすぐにカーテンの中から出てきた。
「着替え終わりました…。」
「あ、待ってたよ。」
シャッ
カーテンから出てきたハルは、水色の襟付きの長袖シャツに青色のベストを着て、ベストと同色の青色の半ズボンをはいて、膝下まである紺色の靴下をはいていた。
「どう、ですか…?」
「良いじゃない!似合うわ!」
「結構動きやすそうでいいですね。」
「ほんと?ならよかった。」
「アキちゃん、どう?」
「にゃうー。〔いいね。可愛い。〕」
「ありがとう。〔可愛い…?〕」
「他のも着てみて。」
「わかりました。」
もう一度カーテンの中に入ったハルはまた着替えて出てきた。
「着替え終わりました。」
次は、黄色の襟のついてない長袖のシャツを着て、緑色の半ズボンをはいて出てきた。靴下は深緑色で、ふくらはぎの真ん中ぐらいの長さだった。
「あー、そのズボンに付いてる紐、肩から掛けて。」
「こうですか?」
半ズボンには、左右に紐が付いていた。
「そうよ。その紐は、ズボンが落ちないようにするために付けてみたの。どう?」
「そうですね、ズボンは落ちないけど、激しく動いたら肩から紐が落ちそう。」
「そうかー…。」
「アキちゃん、どう?」
「にゃ。〔無し。〕」
「そっかー。」
「次、お願いね。」
「はーい…。」
「ごめんなさいね、疲れてきたかと思うけど最後だからよろしくね。」
「はい。」
またまた着替えのためにカーテンの中に入って行った。
「アキちゃん、ごめんね、さっきは、急に触ろうとして………。」
「にゃ」
「許してくれる?」
「んにゃ…。」
「あぁー、ごめんね、ほんとにやだったんだねー!」
「着替え終わりました。」
「あ、はい。出てきてー。」
シャッ
最後の服は、ピンク色の襟付きの長袖シャツと紺色の長ズボンと、お店の前でハルとアキが見ていた白色のフードが付いてる薄手の上着だった。靴下は見えないが、黒色のくるぶしより少し上の短めのだった。
「おぉー、似合うね。」
「そうですか?ピンクって、女の人が着るのだと思ってました。」
「そうねー、女性が着ることが多いわね。でも、ハル君は似合うと思ったのよねー。」
「そうですか…。アキちゃん、どう?」
「にゃー!〔それいいね!やっぱり、白色似合うよ。ピンクも似合う。可愛い!〕」
「ありがとう。アキちゃん。
セリナさん。」
「はい」
「この今着ているのと、1番最初に着たやつをください。」
「わかったわ。それは着てく?」
「はい。いいですか?」
「もちろんいいわよ。」
「ありがとうございます。」
お会計を済ませて、店を後にした。
「また来てねー。」
「はい。ありがとうございました。」
0
お気に入りに追加
262
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
RD令嬢のまかないごはん
雨愁軒経
ファンタジー
辺境都市ケレスの片隅で食堂を営む少女・エリカ――またの名を、小日向絵梨花。
都市を治める伯爵家の令嬢として転生していた彼女だったが、性に合わないという理由で家を飛び出し、野望のために突き進んでいた。
そんなある日、家が勝手に決めた婚約の報せが届く。
相手は、最近ケレスに移住してきてシアリーズ家の預かりとなった子爵・ヒース。
彼は呪われているために追放されたという噂で有名だった。
礼儀として一度は会っておこうとヒースの下を訪れたエリカは、そこで彼の『呪い』の正体に気が付いた。
「――たとえ天が見放しても、私は絶対に見放さないわ」
元管理栄養士の伯爵令嬢は、今日も誰かの笑顔のためにフライパンを握る。
大さじの願いに、夢と希望をひとつまみ。お悩み解決異世界ごはんファンタジー!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果
てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。
とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。
「とりあえずブラッシングさせてくれません?」
毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。
そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。
※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。
棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。
これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。
それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる