猫ちゃんの異世界、旅日記。

椿姫哀翔

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ロング帝国 ルーク

12話

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「では、こちらです。」
「はい、ありがとうございます。」

ハルとアキはエイミーが開けてくれた受付の横にある従業員専用ドアから中に入りエイミーのあとをついて行った。

「エイミーさん」
「はい?」
「あの、大丈夫ですか…?」
「なにがですか?」
「いや、隣りの受付の人に怒られてた?から…。」
「あぁ、大丈夫ですよ。あの人、いつもあんな感じで突っかかってくるので気にするのやめたんです。」
「そうなんですか?」
「はい。心配してくださってありがとうございます。」
「いえ。」
「あ、見えてきましたよ。あのドアの先が解体作業場です。」
「あ、はい。」

話しをしながら歩いているとすぐに解体作業場の入口に着いた。

「失礼します。」
「はーい。あれ、エイミーちゃんじゃん。此処に来るなんて珍しいねー。」
「私は、案内しただけです。」
「案内ー?俺に会いたかっただけじゃないのー?」
「それは、有り得ませんので安心してください。」
「えー、つれないなー。」

20代前半ぐらいの男性が入ってきたエイミーに声を掛けた。

「エイミーさん?」
「大丈夫ですよ。」
「そう、ですか…。」
「はぁ、ウルリヒさん、ライオットさん呼んでください。」
「えー、もうちょっと俺と話そうよー。」
「嫌です。仕事中です。早くしてください。」
「つれないなー。そんなんだと呼んであげないよー。」
「はぁ、いい加減に」
「おい、なに騒いでんだ。」
「あ、」
「ちょ、ライオットさーん、来るの早いですよー。」
「は?なにがだ?
おい、エイミー。こいつが仕事しなくなるから此処には来るなって言ってただろ。」
「すみません、ライオットさん。仕事でして…。」
「仕事?なんだ。」
「彼が解体をお願いしたいと言うので連れて来たんです。」
「えー、俺に会いに来たんじゃなかったのー!」
「だから、違います。」
「で、置いてきぼりにされてる可哀想な奴は誰だ?」
「あ、すみません、この子です。」
「ハルです。」
「おう、ハルか。どうした。不備でもあったか?」
「いえ、昨日お願いし忘れた解体をお願いしにきました。」
「そうか。じゃあ、こっちだ。」
「はい。」

ウルリヒがなかなかライオットを呼んでくれなかったら、騒ぎを聞きつけてライオットからこちらに来てくれた。

ハルの一言でライオットは大型魔獣を解体する場所に連れてってくれた。
ハルのあとからエイミーだけでなくウルリヒまで着いてきた。

「じゃあ、出してくれ。」
「はい。」

ハルは、リュックから出すフリをしてアキに出してもらった。

「おぉー!これまたすげぇな!」

出したのは、ホルスタイン。
かなり大きな成獣のオスである。目視で3mはあろう大きさである。

「「「っ、」」」

周りで作業していた者たちも何事かと様子を見ていて、息を飲んだ。

「なんだこれ……?」
「ウルリヒは知らねーのか?」
「これは、ホルスタインですね。」
「おう、エイミーは良く知ってるな。」
「はい。」
「で、ハルよ。」
「なんですか?」
「なんで、足が1本ねえんだ?」
「食べたからですね。」
「食べた?解体もしないでか?」
「はい。森で解体するのは大変なので、血抜きだけして、食べる分だけ切ったんです。量的に足1本で足りたので足だけ切りました。」
「なるほど。で、どうする?」
「そうですね…、足も美味しかったので、肉は全てください。あとはいらないです。」
「出来れば少し肉くれねえか?」
「でしたら、もう1体出しますね。そっちは全部売ります。」
「よし、きた!」
「これから町を散策しに行って夕方頃には戻ってくる予定でいるのですが、それまでに出来ますか?」
「おう、任せとけ!ハルに渡す肉と金は夕方までに用意しとくわ。」
「お願いします。」
「おう。」

ハルは、アキにインベントリからホルスタインをもう1体出してもらってからエイミーと解体作業場をあとにした。

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