猫ちゃんの異世界、旅日記。

椿姫哀翔

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ロング帝国 ルーク

9話

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それから2人は、片付けをして、部屋の中を空っぽにしてから部屋を出た。
ハルはアキを抱っこして部屋から出た。

〔ねぇ、結界張った方が良い?〕
〔いや、もしかしたら掃除するのに中に入るかもしれないから張らない方が良いと思う。それに何も置いてかないし。〕
〔それもそうか、わかった。張らない。〕

念話で会話をしながら1階に降りたら、

「あれ、あなた誰?」
「おはようございます。昨日から泊まらせてもらってます、ハルと言います。よろしくお願いします。」
「あぁ、貴方が。
お母さんから聞いてるよ。私はここの宿の娘のルーシー。よろしくね。」
「はい、お願いします。」

ロビーをホウキではいてる少女がハルに声を掛けてきた。

「あら、ハル君、やっと起きたのね。おはよう。」
「モリーさん、おはようございます。」
「もう少し早く起きて来ると思ってたわ。」
「すみません…。昨日町に着いたばかりで、冒険者登録もしてかなり疲れてたみたいで、寝過ごしてしまいました…。」
「ふふっ、そう。もう眠くない?」
「はい、もう元気です。」
「ならよかった。朝ごはんは食べた?」
「はい。部屋で食べました。」
「そうかい。これからギルドに行くのかい?」
「はい。」
「お弁当は持ってくかい?」
「いえ、今日は、依頼を受ける気はありません。受けるとしても簡単なのにするので大丈夫です。」
「そうかい。じゃ、いってらっしゃい。」
「はい、いってきます。」

ハルは、ルーシーと一緒に掃除をしていた女将・モリーに見送られて宿を出て、ギルドに向かった。


「おぉー、やっぱり、キレイだなー。ねぇ、アキちゃん。」
「にゃう」

ハルは、アキを抱っこしたままギルドの中に入っていった。

「おぉー」

朝のピークの時間は過ぎていて、そこまで混んでいなかったため、昨日よく見れなかったから、ハルは頭をブンブン振ってギルドの中を見回した。

「おい。」
「ねぇ、アキちゃん、凄いよー。」
「おい。」
「ほわぁーー……」
「おーい!」
「っ、はいっ!」

入口入ってすぐの所で止まって周りを見ていたハルは、後ろから声を掛けられてビックリして後ろを振り返った。

「こんなとこに居るな。」
「なんでですか?」

ハルはほんとになんでか分からず首を傾げた。

「ここは出入り口だ。それに、お前みたいなガキが来ていい場所じゃない。」
「心配してくれてるんですか?ありがとうございます。ぼくは大丈夫ですよ。」

そう言ってその場に留まってるハルに声を掛けた男性は呆れた顔をして、ため息をついた。

「はぁ、だから、ここからどけって。あっちにイスあるから。」
「はっ!す、すみません…。」

ハルは、ようやく出入り口から離れてイスに座った。
隣りにさっき声を掛けてきた男性が座った。

「迷惑掛けて、すみません…。」
「いや。お前みたいなちっちゃいのがギルドに来ると色々と面倒事に巻き込まれるからもう来るな。」
「それは大丈夫です。ぼく、冒険者登録して冒険者になりましたから。」
「は?」
「ん?」
「お前、13超えてるのか?」
「はい。こないだ13歳になりました。」
「ほんとか……?」
「ほんとですよ。これ、ギルドカードです。」

なかなか信じて貰えないので、ギルドカードを出して見せた。

「うわ、ほんとだ…。」
「だから、来ても大丈夫なんです。」
「そうか。」
「ぼく、ハルって言います。この子はアキちゃん。あなたは?」

ハルは、自己紹介してないのに気付いて自己紹介した。アキの事もきちんと男性の目の前に出して自己紹介した。

「そうか、ハルと、アキな。俺は、アルバンだ。」
「アルバンさん、」
「あぁ。なにかあれば聞いてくれ。冒険者になったばっかりなんだろ?」
「はい。昨日登録したばかりです。」
「そうか。今日はこれからどうするんだ?」
「今日は、昨日お願いしといた解体の料金とかを貰いに来ました。」
「そうか。」
「アルバンさんは?」
「俺はこれから依頼をしてくる。」
「そうなんですね。
依頼前に迷惑掛けてすみませんでした。心配してくださってありがとうございました。」
「あぁ。またな。」
「はい、また。」

アルバンと名乗った男性はハルに手を振ってからギルドを出ていった。
ハルもアルバンが見えなくなるまで手を振っていた。

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