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ロング帝国 ルーク
2話
しおりを挟むハルは、渡されたギルドカードを嬉しそうに眺めていた。
「ローガン」
「なんだ?」
「どこか防音されてる部屋一室用意してくれ。」
「なんでだ?」
「良いから。」
「まあ、お前なら変な事に使う訳じゃないだろうから良いけど、俺もその部屋に居させてもらうぞ。」
「もちろんだ。ただし、その部屋であったことは他言無用だ。いいな。」
「あぁ。ちょっと向こうの椅子に座って待っててくれ。」
「分かった。ハル」
「はい?」
「あっちの椅子に座ってよう。」
「へ?冒険者の説明とかは?」
「あぁ、部屋を用意してもらってるからそこで話すよ。」
「分かりました。」
ハルとハドソンは、先程座っていた椅子に座ってローガンが戻ってくるのを待っていた。
15分程でローガンが戻って来た。
「待たせたな。こっちだ。」
「ハル、行くぞ。」
「あ、はい。」
ギルドの端の方にある従業員用階段を使って、2階に上がった。
「あの、どこに行くんですか?」
「あぁ、さっきの処理するのにあの人が沢山いる所では出来ないだろ?」
「そうですね。」
「だから、ローガンに部屋を用意してもらったんだ。」
「そうなんですね。」
「あぁ。防音室を用意してもらったから安心しろ。」
「分かりました。」
ローガンはなんの事かさっぱり分からないが、2人を部屋まで案内した。
「この部屋だ。」
「おう。」
「ありがとうございます。」
2階に上がったあと、長い廊下を歩いた突き当たりの部屋をローガンが開けて入れてくれた。
「座って待ってろ。今、お茶持ってくる。」
「たのむ。」
「ありがとうございます。」
部屋には、長テーブルと、1人がけのソファが2脚と2人がけのソファが2脚あった。
ハルは、出入口に1番近い2人がけのソファにアキと座った。
ハドソンは、ハル達が座った斜め前の出入口に近い1人がけのソファに座った。
〔………、ねぇ〕
〔ん?〕
〔これはどうしたら良いと思う?〕
〔どうでしょう…。〕
〔言ってみる?〕
〔いや、そしたら、気配察知持ってるってバレると思うよ。〕
〔でも、魔法の鑑定で調べてもらっても良いように気配察知は入れてるからバレても大丈夫だとは思うんだけど…。〕
〔うーん、悪意察知はどう反応してる?〕
〔ハドソンさんは、警戒は少ししてるけどそこまでじゃないと思う。黄色だから。〕
〔そうだね。〕
〔ローガンさんは、ハドソンさんよりかなり警戒してる。オレンジだから。〕
〔うん、うん、〕
〔隠れてる人は、警戒MAXみたい。真っ赤だから。〕
〔そっか、ハル的には、彼をどう見る?〕
〔うーん、多分、ギルドが雇ってる隠密班の1人とか?結構上手く気配消せてるし。〕
〔そうだね、私も同じ考え。〕
〔やっぱり。〕
〔だから、ハドソンさんとかに言わない方が良いと思う。〕
〔なんで?〕
〔私達の旅の目的は?〕
〔のんびり楽しく2人旅。〕
〔そうでしょ。なのに、あの隠密班の人を見つけたと言ったら、面倒な仕事とかさせられるかもだよきっと。〕
〔えぇーそうかな…?〕
〔うん。だって、見た目7~8歳の隠密なんて最高じゃん。絶対バレなさそうだし、狭い所に入れるし、子供相手に色々調べて来てとか言われそう。〕
〔……………。そうだね。考えてみたけど、少なからず可能性はあるわ。〕
〔でしょ。〕
〔うん。分かった。言わない。ぼく達の旅の邪魔されるのは絶対ヤダ。〕
〔じゃあ、言わない方向で。〕
〔分かった。〕
〔いつも通り自然体で居ればバレないから。〕
〔分かった。このまま、アキちゃん抱っこして撫でてる。〕
〔お願いね。〕
〔うん。〕
部屋は、防音になっているが、隠れて話しの内容を聞いてギルドマスターに伝える役目の人が1人居た。
ハル達は、話し合いの末、無視する事に決めた。
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