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ロング帝国 ルーク
1話
しおりを挟む「うわぁー、キレイー。」
「改めて、ロング帝国、ルークにいらっしゃいませ。」
「ありがとうございます!ねぇねぇ、アキちゃん、めちゃくちゃキレイな町だよ!」
「にゃう」
「ね、凄くキレイ…。」
ハルは、アキを抱っこして良く見せた。
そのまま抱っこして町を歩いて行く。
ルークの町は、地面は綺麗に舗装され、その上にカラフルな建物が建っていた。
そこかしこに花壇が設けられ、綺麗な花が咲き、いい匂いもする。
「おい、こっちだ。」
門を入ってすぐの所で立ち止まってたら、ハドソンに呼ばれた。
「はい、今行きます。」
タタタッ
「お待たせしました。」
「いや。
この時間はかなり道が混んでるからはぐれるなよ。」
「はい。ちなみに、ぼくの名前、ハルなんで、名前で呼んでください。」
「あ、そうだよな、『お前』や『おい』は嫌だよな。」
「はい…。お願いします。」
「分かった。じゃあ、ハル、俺も名前で呼んでくれ。」
「分かりました。ハドソンさん。よろしくお願いします。」
「あぁ。」
ハドソンは、ハルの歩幅に合わせてゆっくり歩いてくれた。
話しながら歩いて、冒険者ギルドまで来た。
門から5分程で着いた。
「ここが冒険者ギルドだ。」
「へー。門からかなり近いですね。」
「あぁ、何かあった時にすぐに出られるように門から近い所に建っている。他の町でもそうだぞ。」
「へー。………。」
「どうかしたか?」
「いえ、冒険者ギルドも凄くキレイだなーって。」
「そうだな。冒険者ギルドは、特に凝って作ってあるって聞いた事がある。」
「へー。」
「そろそろ、中に入るぞ。」
「あ、はいっ!」
冒険者ギルドの外観は、町に建っている他の建物と区別がつくように、真っ赤な外観になっている。
ちなみに、病院や、診療所は、真っ白の建物になっている。
ガヤガヤガヤガヤ………
「え、ガキ?」
「おい、でも、ハドソンさん居るぞ。」
「なら、関わらない方がいいな。」
「あぁ、そうだな…。」
「凄い人…。」
「この時間は、クエストから戻って来た奴らが多いからな。」
「でも、ぼくが門に行った時は誰もいなかったですよ?」
「あの時間は、ちょうど切れる時間帯だ。そのあと、ハルと話してる時間帯がピークだ。俺の代わりに門番を立ててたが、そいつは、かなり疲れていたぞ。あんなんでへばられても困るんだかな…。」
「へ?そうなんですか?」
「あぁ。町に入る前にあった俺より少し若い門番とすれ違ったろ?」
「そういえば、会いましたね。」
「そいつが、夕方のピークを俺の代わりに担当したやつだ。」
「え、じゃあ、ぼくが来たからその人は大変な目にあったんですか?」
「いや、ハルが持ってきた案件は、今日の出勤者の中で対応出来るのは俺しかいなかったから、問題ないぞ。」
「そうなのですか…?」
「あぁ。それにあいつはよく、夕方のピーク時間、サボるからな。たまにはやらせないと。」
「そうなんだ…。」
「よし、この話し終わり。とりあえず、ギルドカードを作ろう。」
「はい。」
入口入ってすぐの人が居ない椅子に座って、ハルが人慣れするまで話してくれていた。
「あれ…?」
「どうした?」
「なんで、あの列だけ空いてるんですか?」
受付の列は、3列あり、入口を入った真正面とその右側の2列は凄い人が並んでいるが、左側は、誰も並んで居なかった。
「あぁ、やっぱり、男どもは、若い綺麗な姉ちゃんが好きだろ?だからだよ。」
「ん?どうゆうこと?」
「真ん中と、右側は、若い女の子が受付で座ってんだ。今人が多すぎて見えてないだろうけどな。」
「へー。」
「んで、左側の受付は、男が座ってる。しかも、顔は怖いし、傷もあるしで、威圧感半端ないから誰も並ばないんだよ。」
「へー。」
「まあ、俺たちは並ぶけどな。」
「うん。」
「え、……。」
左側の受付に行くのを止めなかったハルをハドソンはびっくりして見た。
「どうしたんですか?」
「いや、今の話し聞いたら、女の子の受付がいいって言うかと思ってた。」
「うーん、別に誰でも良いですよ。早く終われるなら。それに、ぼく、あんまり人好きじゃないからあんなに人が並んでるところに並びたくないです。」
「なるほど。じゃあ行くぞ。」
「はい。」
ハルとハドソンは、左側の誰も並んでいない受付に行った。
「おう、ハドソン。見ない間に子供出来たのか?」
「ちげーよ。こいつが、冒険者登録したいって門番に来たから連れてきただけだ。」
「なんだ、ただの子守りか。」
「まあ、間違ってはいねーかな。」
「あの、ハドソンさん、」
「あぁ、わりぃ…。こいつは、俺の昔の仲間で、ローガンだ。」
「昔の仲間?」
「あぁ。こいつとパーティーを組んで、冒険者してたんだ。俺もこいつも怪我したり結婚したりしたから冒険者を辞めて、今の仕事してんだ。」
「そうなんですね。初めまして、ハルと言います。」
「おう。俺は、ローガンだ。よろしくな。」
「お願いします。」
「だがな、冒険者登録は、13歳からなんだ。13になったらまた来いよ。」
「いえ、あの、ぼく、13歳です…。」
「はあ?嘘だろ!」
「嘘じゃないです。」
「あぁ、嘘じゃないぞ。」
「まじか!?」
「あぁ。疑うんなら鑑定したらどうだ?」
「そうだな。いいか?」
「もちろんです。」
ローガンは、引き出しに閉まってある鑑定板を取り出して、机の上に出した。
「これに手を置いてくれ。」
「はい。」
鑑定結果
名前:ハル
年齢:13
性別:男
犯罪履歴:無し
「マジだ…。」
「あの、なので、冒険者登録、お願いします…。」
「あぁ、分かった。ちょっと待ってろ…。」
ローガンは驚き過ぎて放心状態のまま、登録の準備を始めた。
「じゃあ、まず、この紙に名前と年齢、得意な戦い方、パーティー参加の有無を書いてくれ。」
「はい。あの、パーティー参加の有無とは?」
「基本、冒険者はパーティーを組んでクエストなどを受けたりする。1人でやりたいやつも中には居るからな。その有無を確認するんだ。」
「それを書くとどうなるんですか?」
「冒険者から、職員にこんなやつ居ないか?って聞かれた場合に、パーティー参加有りのやつから望んでそうなやつを進めるんだ。」
「なるほど、そのための表記なんですね。」
「あぁ。」
「分かりました。」
冒険者登録紙
名前:ハル
年齢:13
戦闘:剣・魔法(少し)
パーティー参加:無し
〔ねぇ、アキちゃん、こんな感じで大丈夫?〕
〔どれ?うーん、まあ、いいんじゃない。〕
〔ほんと?〕
〔うん。大丈夫。〕
〔分かったー。〕
「出来ました。」
「おう。……、魔法使えるのか?」
「少しです。」
「どのくらいだ?」
「うーん、生活魔法と風魔法が使えます。」
「そうか……。戦闘の欄に書いてるって事は、戦闘でも使ってるのか?」
「はい。風魔法で相手の足止めをしたりですけど。」
「なるほど。ちなみに、パーティー参加は無しなのか?」
「はい。」
「理由を聞いてもいいか?」
「はい。ぼく、人が苦手で、いっつも周りに人が居たりすると落ち着かないんです。」
「なるほど。なら仕方ないか。クエスト行く時はその猫どうするんだ?魔獣じゃないよな?」
「はい、普通の猫ちゃんです。」
「宿とかに置いていくのか?」
「いえ、連れて行きます。ぼくの家族ですから。」
「そうか。まあ、しばらくは、慣れるまで簡単なクエストにしろよ。」
「分かりました。」
描き終わった紙をローガンは、魔道具に挟み、登録をした。
「ほい、出来たぞ。」
「ありがとうございます。」
「このギルドカードに1滴血を垂らしてくれ。」
「はい。」
出してくれた針に無詠唱で《クリーン》を掛け、指に刺した。
パー
カードに血を垂らしたら、1度光ってすぐに光が収まった。
「これで、登録完了だ。」
「ありがとうございます。」
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