猫ちゃんの異世界、旅日記。

椿姫哀翔

文字の大きさ
上 下
45 / 89
道中

1話

しおりを挟む


「やっと2人だねー。」
「にゃぅ」
「ん?アキちゃん?」
「にゃー〔ハル、まだだけど、そろそろ人の気配がするかもだから、2人きりでも、話す時は念話でお願い。〕」
〔分かった。〕

ハルとアキは、フェレーナと別れたあと、ローレンツ王国側から森を出てきた為、目的地のロング帝国を目指し、森の外側を沿って歩いている。

アキは、まだ人の気配はしないが、ハルに話しながら念話も出来るようにさせていく為に早めに念話を使わせていく。

〔ハル?〕
〔んー?〕
〔いつまで抱っこしてるの?あの人と別れるまでって言ってたじゃん。〕
〔んー、もうちょっと…。〕
〔まあ、良いけど。でも、あの人優しかったね。〕
〔は?どこが?〕
〔だって、部下にハルの事紹介する時、あんまり興味がわかないようにだと思うけど、いつも呼んでた『王子様』って呼ばないでいて、そのうえ『オークから助けてくれた』って。もし、『ハイオークから助けてくれた』って言ったら、ハルの気持ち一切考えないでさっきの部下達は多分だけど、無理やりにでもハルを商会に入れるようにフェレーナだっけ、あの人に言ったはずだよ。〕
〔そうかな?〕
〔うん。ハルが人間嫌いそうだったから、あんなにハイテンションで接してたんじゃない?〕
〔え、なんで?そのが逆効果じゃない?〕
〔うーん、わかんないけど、さっきの部下に対しての対応をもし、ハルにしてたら、多分だけど、私もハルもずっと警戒してたでしょ。〕
〔うん、まあ、そうかも。〕
〔だからあえてハイテンションで接してたんじゃない?〕
〔ただ単にあの人笛さんだっけ?が元々あーゆー性格なんじゃない?仕事相手だからちゃんとしてただけで。〕
〔まあ、その可能性もあるけど、てか、『笛』じゃなくて、『フェレーナ』ね。あの人の名前。〕
〔ふーん〕
〔いや、ま、もう会わないだろうしいっか。〕
〔うん。この話し終わり!やっと2人きりなんだから他の人の事考えないのー。〕
〔はいはい。じゃあ、ハルの事考えよう。〕
〔ぼくの事?〕
〔うん。ロング帝国に着いたら、なんでガキが1人で居るんだ?って言われると思うから、設定考えておかないと。〕
〔そっか。〕
〔なんか、案ある?〕
〔んー、ホントの事を交ぜると言いやすいし、バレにくいだろうから〕
〔うん〕
〔うーん…、『両親に言われて出稼ぎに来た。冒険者になれって言われた。』とか?あんまりホントの事混ざってないけど…。〕
〔いいんじゃない。それなら、変に勘ぐられなくて済みそう。〕
〔ね!〕
〔うん。(まあ、『捨てられたのか?』とは考えられそうだけど。それならそれで、優しくしてくれそうだからいっか。)〕
〔あ、そうだ、〕
〔ん?どうした?〕
〔ぼくのステータス、隠しといた方が良いよね?〕
〔そうね。私のは完全に隠すけど、ハルのは完全に隠すと逆に怪しまれるから、一般平均値ぐらいに設定しといたら?〕
〔そうだね、やっとく。〕

ハルとアキは、町に入った後を考えながら歩いていく。

フェレーナと歩くよりかなり早い。
2人が普通に歩くと、フェレーナには全力で走らないと追い付かないぐらい早い。
そのため、魔の森でフェレーナと歩いていた時は、かなりゆっくりだった。
それにもかかわらず、2日で外に出られたのだから、ハルがフェレーナの部下に言ったようにかなり浅い所に居たのだと思われる。

しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

RD令嬢のまかないごはん

雨愁軒経
ファンタジー
辺境都市ケレスの片隅で食堂を営む少女・エリカ――またの名を、小日向絵梨花。 都市を治める伯爵家の令嬢として転生していた彼女だったが、性に合わないという理由で家を飛び出し、野望のために突き進んでいた。 そんなある日、家が勝手に決めた婚約の報せが届く。 相手は、最近ケレスに移住してきてシアリーズ家の預かりとなった子爵・ヒース。 彼は呪われているために追放されたという噂で有名だった。 礼儀として一度は会っておこうとヒースの下を訪れたエリカは、そこで彼の『呪い』の正体に気が付いた。 「――たとえ天が見放しても、私は絶対に見放さないわ」 元管理栄養士の伯爵令嬢は、今日も誰かの笑顔のためにフライパンを握る。 大さじの願いに、夢と希望をひとつまみ。お悩み解決異世界ごはんファンタジー!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!

古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。 そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は? *カクヨム様で先行掲載しております

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

処理中です...