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魔の森 旅編
11話
しおりを挟む「で、でもでも!もしかしたら、かなり年上でも良いって思う時が来るかもだよね!?」
フェレーナは、目を見開きハルに顔を近づけて聞いた。
「近い。」
グイッ
ハルは、その顔を手で押しのけ、また歩き始めた。
「ちょっと、王子様ー。わざとわたくしが恋人になれないように同い年でって言ったでしょー!」
「はぁ、うるさいな。違いますよ。同い年というか、同年代と話した事なんて無いから楽しいかなって思ったからですけど。」
「え、………。」
「それに、貴方が嫌いなのは、声も動きも存在もうるさいから嫌いなだけですから。」
「え、う、うるさい…?」
「昨日から言ってるじゃないですか。マジで無理なんですよ。」
「そ、そこをなんとか!わたくしにも、チャンスをください!」
「……、じゃあ、静かにしてください。」
「無理だよぉー…。」
「じゃあ、無理です。」
「むぅ…。もう少し違うチャンスないの?」
「うーん……、じゃあ、アキちゃんと仲良くなってみてください。」
「『アキちゃん』?」
「はい。」
「って、誰?」
「え、嘘でしょ…。ぼく、何回も『アキちゃん』って呼び掛けながら話してましたよね。聞いてなかったんですか?」
「だから、誰?」
「はぁ、今、ぼくの腕の中に居る真っ白の猫ちゃんです。この子がアキちゃん。ぼくの家族なので、アキちゃんに気に入られれば、ぼくも考えてあげます。」
「ホントに!?」
「ええ、期限は、魔の森を出るまでで。」
「頑張る!」
ハルは、面倒くさくなった為、アキに丸投げした。
アキは、ハルの腕の中で大人しくしていたが、ものすごく嫌そうな顔をして、ハルに念話で『ヤダヤダ』と抗議していたが、ハルは、全く聞く耳を持たずに勝手に決めた。
〔ハルのばーか!〕
〔ごめんて、魔の森出るまでだから変わってよ。〕
〔変わってよって言うか、勝手に変わられたんだけど。〕
〔ごめんごめん。この人と別れたらめいいっぱいワガママ聞いてあげるから。〕
〔……、約束だよ。〕
〔うん!〕
〔はぁ、分かった、変わるよ…。〕
〔ありがとう!〕
〔はぁ…、〕
アキは、諦めてフェレーナの相手をする事にした。
フェレーナは、アキに視線を合わせて話し始めた。
「こんにちは、アキちゃんって言うんだね。よろしくね。」
「シャー!」
「うんうん、よろしく。」
「シャー!!」
「いっ、た」
フェレーナは、アキを撫でようと頭に手を持っていったら、引っ掻かれた。
「フー!」
「ねぇ、王子様、この子なんか、怒ってる?」
「そりゃ、そうでしょうね。」
「え!なんでよ!」
「うるさいからですよ。」
「なんで!?」
「アキちゃん的に嫌いな音なんでしょうね、貴方の声。」
「うそー」
「多分、そうですよ。ぼくも嫌いですから。」
「王子様ー、落ち込んでんだから、援護射撃やめてー!」
「まあ、頑張ってください。
行きますよ。」
アキに挨拶するのにまた止まってた為、歩き出した。
「ちょ、ちょっと待ってよ。」
「早くしないと、今日中に森を抜けられないですよ。」
「それは、ヤダ!早く行こ!」
フェレーナは、早歩きで森を歩いていく。
その後ろをハルが追いかけて行った。
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