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魔の森 旅編
6話
しおりを挟む「ねぇねぇ、王子様ー。」
「……」
「あの果物みたいのはなんですかー?美味しいですかー?」
「……」
「食べてみよー。」
商人のサガなのか、魔の森に生えてる植物や果物、木の実などに興味を持ちハルになんでも聞いてくる。
ハルは、ほとんど答えずに町に向かって歩いていた。
ガサッ
「いただきまー」
「……っ、それはダメだ!」
「っ、へ?」
無視はしてるが、何に興味を持ってるかは確認していた。安全な物ばかりだった為、放置してたが、流石にダメなものを手にしていた。
「え、ダメ、ですか?」
口に入れる一歩手前で止められた。
「それは、食べると身体中が痺れて最後には心臓の機能を停止させます。」
「ふぇ?……え、ホントに…?」
「はい。」
「っ、」
ポトッ
食べたあとの症状を聞いたフェレーナは、顔を真っ青にして一度手にした真っ赤で美味しそうなリンゴのような果物みたいな物をじっと驚愕した顔で見て、震えながら地面に落とした。
「水出すので、手を洗ってください。」
「は、はい…。」
ジャー
魔法で水を出し、手を洗わせた。
「あ、ありがとう。」
「いえ。」
「何度も命を救ってくれてホントにありがとう!やっぱり、わたくしの事好きなんだね!」
「それは有り得ません。」
「なんでよ!!」
「なんで?」
「そう!理由を教えてくれないと諦めないからね!」
「……〔理由を言ったところで諦める気ホントにあるのかな…。〕」
〔そうねー。そこには一抹の不安があるよね。〕
〔ね。〕
「教えてよぉーー!!」
「………、うるさい。」
「え、うるさい?」
「はい。」
「だって、魔の森怖いから喋ってないと不安なんだもん!」
「不安で喋ってたいならもう少し静かに喋れないんですか?」
「うーん…?ムリ、かな?」
「そうですか、なら、無理です。」
「なにが無理なの!?」
「そうやって大声出して喋ったり、喋りながら手動かしたり、オーバーなリアクションが本当に無理です。」
「てか、理由教えてよー!」
「だから、今、言いましたよね。」
「へ?言った?」
「はい。喋る声のボリュームと動かしてる手とがうるさくて無理です。」
「そんなぁ…」
ハルは、はっきり嫌いな理由を伝えた。
それにより、フェレーナは、肩を落とし『ズーン』という効果音が似合いそうなほど落ち込んで静かになった。
〔やっと、静かになった。〕
〔よかったね。〕
〔うん。いつまでもつかな?〕
〔さー?30分ぐらいじゃない?〕
〔そんなにもつ?〕
〔流石にこのくらいはもつでしょ。〕
〔じゃあ、30分もつかもたないかで掛けしよ。〕
〔何掛けるの?〕
〔うーん、じゃあ、夕飯お肉にして。朝も昼も歩きながら適当に食べてるから夜は流石にちゃんと食べたい。〕
〔でも、あの人が居る前で私、料理作れないよ?〕
〔分かってる。材料と指示を出してくれればぼくが、頑張って作るから。〕
〔分かった。それならいいよ。〕
〔やった!じゃあ、今からスタートね。タイマーで30分掛けよ。〕
〔え、そこまでする?〕
〔せっかくだから良いじゃん。〕
〔良いけど…。〕
〔よしっ。じゃあ、スタート!〕
ピッ
「ん?なんか変な音しなかった?」
「してないですけど?」
「気のせいか…。」
「……〔ふふっ、バレるところだった!〕」
〔ふふっ。(ずっとイライラしてたけど、久しぶりに楽しそうでよかった。)てか、いつまで私の事抱っこしてるの?〕
〔この人と別れるまで。だめ?〕
〔っ、(可愛いっ!)い、良いよ。〕
〔やった!ありがとう。〕
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