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魔の森 旅編
4話
しおりを挟む5分程風魔法で全力ダッシュして声の聞こえた所まで来た。
(ちっ!)
ハルが到着した時には既に女性はハイオーク2体とオーク3体に囲まれていた。
「い、ぃや……」
女性は、怪我はしているが、服を脱がされるまでにはなっていなかったみたいだ。
「《ウォーター》はっ!」
ザシュッ
「グオ……」
「ひっ、」
「そこで動かないで居て!」
「は、はいっ!」
「ふっ!」
ザシュッ
「グオオ!」
ガッ
サッ
ザシュッ
ザシュッ
「「「グオオオオオ……」」」
「グオ?」
ウォーターの魔力を流して、攻撃を仕掛けてくるオークをかわしながら、魔力刀で倒した。
しかし、ハイオークには、切れ目が少し入るぐらいで全く効かない。
「ちっ!《ウォーター》」
ザシュッ
ドゴッ!
「ぐぅっ、」
魔力刀にもう一段階強いウォーターの魔力を流して攻撃を仕掛けるが、あまり刃が入らず、パンチを腹にもらってしまった。
「はぁ、くっ、《ファイア!》」
ザシュッ ザシュッ ザシュッ
「グオオオ……」
ファイアの魔力に切り替えたらなんとか倒せた。
「よし、あと、1匹…。」
「グオウ…」
(こいつがボスだな。冷静に周りを見てる。)
一騎打ちになり、両者見合って、
「………、ふっ!」
「………グオオ!」
ザッ ザザッ
ドゴッ
ガッ!
「「…………」」
「グオオ、オ……」
なんとか仕留めた。
「ふう、(オークには、ウォーターでいけるけど、ハイオークにはウォーターは厳しいんだな。同じ豚だけど、皮膚の硬さが桁違いだった…。)」
「あ、あの……、」
「あ、(忘れてた)大丈夫ですか?」
「は、はい……。(カッコイイ……王子様………)」
(うん、目の前でオークの首が飛べば恐怖だよな…。あ、オークの血浴びてる。)
「少しじっとしててください。」
「は、はい…」
「《ウォッシュ》」
パァー
「え…?」
「オークの血すごいから」
「あ、ありがとう、ございます…。(キレイにしてくれるなんて、優しい!)」
「いえ、」
オークの血に濡れた女性をキレイにした。
周りに魔獣の気配がしないか確認しながらオークを鞄にしまった
「少し、歩きましょ。血の匂いで他の魔獣が来るかもしれないので。」
「っ、わ、わかりました…。」
(これじゃ、アキちゃんの方に行かない方が良いかな。魔の森の奥に入ってくの分かればパニックを起こしそう。)
ハルは、アキがいる魔の森の奥の方では無く、町の方に向かって歩き始めた。
〔アキちゃん。〕
〔ハル、お疲れ様。どうだった?〕
〔オーク3体とハイオーク2体だった。〕
〔そっか。ハル、ハイオークと戦ったことないけど大丈夫だった?〕
〔うん。パンチ1発もらったけど、そのあとはちゃんとかわせたし大丈夫。〕
〔え!?治療は?〕
〔した。〕
〔よかった…。そういや、襲われてた人は?〕
〔うん、無事。軽傷だし、自力で歩けるから大丈夫だと思う。でも、〕
〔でも?〕
〔ぼくが目の前でオークの頭ふっ飛ばしたから恐怖を感じたのか震えてる。〕
〔まあ、それはしょうがないよ。〕
〔うん。だから、これ以上パニックになられないように森の奥じゃなくて町に向かってるから、アキちゃんそこ片付けてこっち来てもらってもいい?〕
〔もちろん。今行く。〕
〔お願い。〕
アキと話して状況説明をした。
「あ、あの…」
「あ、はい?」
「あ、えっと、ありがとう、ございました。」
「いえ、」
「「………」」
「(よし!)あ、あの!」
「なんでしょう?」
「お、お名前を…」
「名乗るものでは無いです。」
「しかし!」
「気にしないで下さい。」
「いえ、お礼をしたいので必ず教えてください!」
「お礼をされるような事ではないので。」
「いいえ!わたくしの命を守ってくださったんです!必ずお礼をしたいのです!」
「ですから…」
「名前を言っていただけるまで聞き続けますから!!(必ず名前聞くから!!!)」
「………(クソ面倒くさ!マジ、うるさい!)」
ハルが名乗らないのでずっと隣でピーチクパーチク騒いでいる。
(助けなきゃ良かったかな……)
疲れ過ぎて、ヤバい思考回路になってきた。
「……はぁ、今、町に向かってますが、国としてはどっちがいいですか?」
「え?えっと、ローレンツ王国がいいです。」
「分かりました。ローレンツ王国の国境までですが、一緒に行きます…。」
「ありがとうございます!助かります!必ずお礼をするので、わたくしの家まで一緒に行ってください!」
「それは、イヤです。」
「そんなぁー…。」
「………(はぁ、早くアキちゃん来ないかな…。)」
「そだ!」
「っ、(急にデカい声出すなよ!)」
「わたくしの名前、まだ教えてなかったですね。
わたくしは、フェレーナ・ボルシ といいます。(実家の力使いたくなかったけど、この名前聞けばすぐ釣れるでしょ。)」
「…そう。」
「えーー!なにも反応無し!?」
「なにが」
「だって!ボルシ家って言ったら、フィスィで知らない人は居ない程の商会だよ!!?」
「知らない」
「なんで!?」
「ホントは有名じゃないんじゃない?」
「そんなぁー。」
大声で騒いで喋るフェレーナ・ボルシ。
ハルの周りにそのような人間は1人も居なかった為、ずっと眉間に皺を寄せて、イライラしながらずっと声には出さずに暴言吐きながら町に向かって歩いていった。
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