猫ちゃんの異世界、旅日記。

椿姫哀翔

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魔の森

27話

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「くぁー……、うぅーん…。」
〔ふふっ、可愛い。〕
「うぅん…、んぅ?」
〔あ、起きた?おはよ。〕

次の日、先に起きてたアキは、ハルに抱っこされたままずっとハルの寝顔を見ていた。
しばらく見ていたらようやくハルが目を開けた。

「うん…、起きた……ぅ?…、ぅん……。」
〔ありゃ、まだ寝惚けてる。ふふっ。
こうやって見ると、やっぱり、まだまだ子どもだなぁ…。
いっぱいご飯食べて運動もして脂肪も筋肉も付いてきたけど、まだ、7歳か8歳ぐらいにしか見えないな……。(こればっかりは仕方ないけど、マジで元家族クズだよな。)〕

ハルの寝惚け顔見ながら心の中でハルの元家族に暴言を吐きまくってた。
10分程微睡んでたら、ようやく頭が覚醒してきたのかハルがちゃんと起きた。

「んう…、くぁー、アキちゃん、おはよ…。」
〔うん、おはよう。〕

挨拶を交わした後、外に出て顔を洗った。

「ふぅ、すっきりしたー。」
〔ふふっ〕
「アキちゃん、朝ごはん食べよー。」
〔もう?良いけど。昨日のハンバーグをパンに挟んで、ハンバーガーにしようと思ってるんだけどいい?〕
「うーん、よく分からないけど、美味しそうだからいいよー。」
〔分かった。すぐ出来るからちょっと待ってて。〕
「はーい。」

アキは、パンで、レタス、トマト、昨日のハンバーグとソースを挟んだ。
昨日、ちょっと残ったコンソメスープと一緒に出した。

〔どーぞ。〕
「うわぁ!美味しそう!」
〔なら、よかった。〕
「早く食べよ!」
〔はいはい、せーの「いただきます」〕
「うぅーん、ぅんまいぃー。」
〔なら、よかった。〕

「ふう、ごちそうさまー。めちゃくちゃ美味しかった。」
〔気に入ってもらえてよかった。
片付けしたら、此処更地にしようね。〕
「ぼくが片付けするから、アキちゃん、更地にしといてよ。」
〔いいの?〕
「もちろん!」
〔ありがとう。よろしくね。〕
「うん!まかせて!」

ハルが片付けをしてるあいだに、アキは、ベット、テント、テーブル、イス、ベンチ、水道の蛇口部分などしまえる物はインベントリにしまって、トイレ、お風呂、かまどは、崩して跡形もなく更地にした。

「アキちゃん、片付け終わったよ。これもしまってー。」
〔はーい。こっちも終わったよ。〕
「すごい、何も無い…。」
〔そうだね、なんだか少し寂しいね…。〕
「うん…、でも、これから楽しい旅が始まるからそっちを思い描いていこう!」
〔うん。〕
「もう行く?」
〔うん。感傷に浸ってると行けなくなりそうだから、行こっか。〕
「うん。」

アキとハルは、神域から1歩出た所で立ち止まり、振り返った。

〔ヴィオ様、長い間、此処を使わせてくれてありがとうございます。ヴィオ様のおかげでハルと出会えて、楽しい毎日を過ごしています。これからの旅もきっともっと楽しくなると思ってます。神界で見守っててください。神域はもう閉じて大丈夫です。町に行って教会があったら寄ります。本当にありがとう。大好き。〕

アキは目を瞑り、手を合わせてヴィオに感謝を伝えた。

「ヴィオ様、ぼくからも感謝を伝えます。アキちゃんが連れて来たからって居させてくださってありがとうございました。これからも楽しくのんびりアキちゃんと旅をして行きます。」

ハルもアキに習い、目を瞑り、手を合わせてヴィオに感謝を伝えた。

〔……、よし、行こう!〕
「もう、良いの?」
〔うん!さっきも言ったけど、町に行って教会に寄って声かけるから大丈夫!〕
「分かった。行こう。」
〔うん。〕

アキは、少し名残惜しそうに1度振り返ったが、笑顔でハルと旅への1歩を踏み出し始めた。

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