30 / 89
魔の森
25話
しおりを挟む「ふふふっ、」
〔まぁーだ笑ってる…。〕
「ご、ごめん…、だ、だって、」
〔なにがそんなにツボに入ったの?〕
「ふふっ、…、ふう、わかんない。けど、なんかこの状況が楽しくて。」
〔楽しいならいっか。〕
「うん!あと、なにか入れるのある?」
〔うーん、特に無いけど…、あ、〕
「なに?」
〔これ作っといたの忘れてた。〕
アキはインベントリからある物を取り出した。
「これ、なに?」
〔これは、ホルダー。〕
「ほるだー…?」
〔そ。ハルの刀と銃を持ち運ぶのに作ったの。〕
「え、すごい!ありがとう!」
〔いえいえ。付け方教えてあげるから自分で付けてみて。〕
「うん!」
刀のホルダーは、腰に巻くタイプで、ベルトに刀を入れられる輪っかが付いている。右側の腰に付けた。
銃のホルダーは、脇に付けるタイプで、ホルダーをリュックのように背負って利き腕と反対の左側に銃を入れられるポケットが付いている。
「うーん、……、あ、出来た!どお?出来てる?」
〔うん。ちゃんと付けられてるよ。動きずらいとかはない?〕
「うん!動きやすい。」
〔よかった。〕
「アキちゃん、ありがとう。」
〔いえいえ。〕
「そだ、アキちゃん、」
〔んー?〕
「リボンとかって今持ってたりする?首飾りとかでも良いけど。」
〔んー?無いかなー。〕
「そっか、さすがにヴィオ様でもそうゆうのは渡さないか。」
〔まあ、生活に必ず必要って訳じゃないからね。欲しかったの?〕
「うーん、欲しいというか、旅に出るのにアキちゃんに付けてもらおうかなって思って。」
〔え、私?〕
「うん。昔家でテイマーの本を読んだことを思い出して、」
〔うん。〕
「テイムした魔獣には分かるように首輪とかリボンを付けとくって書いてあった。」
〔そっかー。〕
「うん。アキちゃんは、魔獣じゃないけど、ぼくの家族だよって、周りに分かるようにしたいなーって思って。」
〔そっか、いいよ。今から糸で作ってあげる。〕
「ほんと!?」
〔うん。せっかくじゃ、ハルの分も作ろうか。〕
「ぼくの?」
〔うん。家族の証みたいのなんでしょ?だったら2人で付けてないと。〕
「そっか、そうだねー。」
〔じゃあ、作ってくる。〕
「うん。ぼくは、夕飯までまた身体動かしてる。」
〔了解。ホルダー付けたまま動いてみな。〕
「分かった!やってみる。」
ハルは、日が当たる暖かいところでまた身体を動かしたり、魔法の練習をしたりし始めた。
アキは、ハルの邪魔にならないように、日影に作っておいたベンチに座ってリボンを作り始めた。
(さて、リボンねー。まだ沢山あるからシルバースパイダーの糸で作ろうかなー。綺麗な銀色になるし。色変えるかなー。んー……、そだ、こないだ取ってきたけど、酸っぱくて食べられない果実があったな。あれ、『手がすっごい紫になったー』ってハルが笑ってたなー。あれを鍋で煮て、色を出した水に糸を浸して紫の糸にして、リボンにするか。)
アキは、大きい鍋に水を入れて、綺麗に洗った果実を入れた鍋をかまどに置いて、煮立たせていった。
色が出るまで、掻き混ぜたり、果実を潰したりして色を出した。
そのあと、色水をこして、お湯で洗った糸を入れて30分程漬けた。
色落ちしないように魔法で付着させて、乾かして綺麗なピンク寄りの紫色の糸が出来上がった。
その糸を使い、リボンを作った。
(ふう、出来たー。なんとなくの前世の記憶辿って作ったけど、大変…。てか、めんどくさかった…。もお、次からは買お。うん。そうしよ。
このリボン、エンチャント付けようかなー。なに付けようかな?うーん…、よし、『サーチ』、『位置情報』、『個人特定』…、出来た。
これ付ければ、はぐれても見つけられるねー。前世で言うところのGPSってところかなー。)
〔ハルー、出来たよー。〕
「アキちゃん!」
ダダダダダッ
〔うわっ、〕
ギュー
出来上がったリボンを持って、ハルの方を向いたら、勢いよく走ってきたハルに力いっぱい抱き締められた。
〔どうした?〕
「……、」
〔ハル?〕
「ぼくが、」
〔うん〕
「ぼくがリボン作ってって、お願いしたけど、夕飯の時間になるまで掛かってて、」
〔うん〕
「寂しかった…。」
〔そっか、ごめんね。〕
「ううん、ぼくがお願いしたからいいの。」
〔じゃあ、このまま抱っこしたまま聞いて。〕
「うん。」
〔出来たのが、このリボンね。〕
「わあ、綺麗な色。」
〔いつもは、糸そのまま使ってたんだけど、試しに色付けてみよかなって思って、付けてみた。私の首に付けるなら銀色の糸のままじゃ、目立たないでしょ?〕
「うん。可愛い。アキちゃんに似合う。」
〔色、ハル的にはどお?〕
「ぼくもこの色好き。アキちゃんの目の色に似てる。」
〔そう?私とハル、目の色紫だから、一緒の色のにしようと思って紫にしたんだけど、ちょっとピンクっぽくなったなーって思ったんだけど。〕
「可愛い。」
〔よかった。ちなみに、エンチャントで、『サーチ』『位置情報』『個人特定』を付けたから、もし、はぐれた場合に、スキルの《サーチ》を使うとどこに居るか分かるようにしたから。〕
「わあ!ありがとう!」
〔ハル、私に着けてよ。〕
「うん!」
ハルは、アキからリボンを受け取り、アキの首に巻いて、背中側でちょうちょ結びをした。
「出来たよー。」
〔ありがとう。〕
「ぼくは、どこに付けようかなー。」
〔手首とかは?〕
「手首?」
〔うん、腕出して。〕
「うん。」
アキは、ハルの左手首にリボンを巻き付けて、手の甲側にちょうちょ結びをして止めた。
〔はい。どう?〕
「いい感じ!」
〔なら、よかった。外れないように『使用者固定』して、魔法で固めとこ。〕
「うん!」
〔これで、よし。〕
「アキちゃん、」
〔ん?〕
「ワガママ聞いてくれてありがとう。」
〔いえいえー。〕
0
お気に入りに追加
262
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
RD令嬢のまかないごはん
雨愁軒経
ファンタジー
辺境都市ケレスの片隅で食堂を営む少女・エリカ――またの名を、小日向絵梨花。
都市を治める伯爵家の令嬢として転生していた彼女だったが、性に合わないという理由で家を飛び出し、野望のために突き進んでいた。
そんなある日、家が勝手に決めた婚約の報せが届く。
相手は、最近ケレスに移住してきてシアリーズ家の預かりとなった子爵・ヒース。
彼は呪われているために追放されたという噂で有名だった。
礼儀として一度は会っておこうとヒースの下を訪れたエリカは、そこで彼の『呪い』の正体に気が付いた。
「――たとえ天が見放しても、私は絶対に見放さないわ」
元管理栄養士の伯爵令嬢は、今日も誰かの笑顔のためにフライパンを握る。
大さじの願いに、夢と希望をひとつまみ。お悩み解決異世界ごはんファンタジー!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果
てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。
とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。
「とりあえずブラッシングさせてくれません?」
毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。
そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。
※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
悪役令嬢は始祖竜の母となる
葉柚
ファンタジー
にゃんこ大好きな私はいつの間にか乙女ゲームの世界に転生していたようです。
しかも、なんと悪役令嬢として転生してしまったようです。
どうせ転生するのであればモブがよかったです。
この乙女ゲームでは精霊の卵を育てる必要があるんですが・・・。
精霊の卵が孵ったら悪役令嬢役の私は死んでしまうではないですか。
だって、悪役令嬢が育てた卵からは邪竜が孵るんですよ・・・?
あれ?
そう言えば邪竜が孵ったら、世界の人口が1/3まで減るんでした。
邪竜が生まれてこないようにするにはどうしたらいいんでしょう!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる