猫ちゃんの異世界、旅日記。

椿姫哀翔

文字の大きさ
上 下
26 / 89
魔の森

21話

しおりを挟む


〔はい、どうぞ。飲んで〕
「ありがとう。」

泣いて落ち着いたアキは、インベントリから果実水を出して2人で飲み始めた。

「アキちゃん、これからは、魔法、沢山使いたくなるけど、必ず1時間したら休憩するようにするね。」
〔うん。じゃあ、1時間やって15分休憩とかにしようか。〕
「うん。でも、集中してやると時間を忘れちゃうのがなー」
〔じゃあ、私がタイマー作ってあげるよ。〕
「タイマーって、なに?」
〔時間を指定するとその時間を教えてくれるやつ〕
「すごい!そんなものあるんだね!」
〔うん、ハルは休憩してて。今から作るから。〕
「分かった。ありがとう。お願いします。」

アキは果実水を飲むのに座ってたテーブルから離れて地面に座り、《錬金》を使いタイマーを作っていく。

(うーん、前世にあったみたいな押して時間指定してくのだと面倒くさいよなー。うーん…、1時間のやつ作ればいいか。砂時計みたいにこの時間って固定されてる方が毎回1時間に合わせるのは大変だから。
そだ、1時間と30分と15分と作って、前世の押すやつも作ろう。なんかで使うかもしれないし。よし!)

〔……、ふう、……《錬金》〕

目をつぶり、頭の中で形や色、使い勝手を色々考えて《錬金》を使い作ったタイマーは、全部で5個出来た。

〔ふぅ、出来た…。〕
「もう出来たの!?」
〔あ、うん。〕

テーブルに着いたまま邪魔にならないように見ていたハルは、終わった様子のアキにビックリした顔で声を掛けた。
作るって言ってから出来上がるまでに30分ほどしか経っていなかった。

「すごい!早ーい!ビックリ!さすが、アキちゃん!」
〔え、あ、ありがとう…。そんなに褒められるとなんか、照れる…。〕
「ふふっ、アキちゃん可愛い!」
〔もう……。〕

あまり褒められ慣れてないアキは、照れてしまった。

「それで、アキちゃん、それ、どうやって使うの?」
〔あぁ、うん、今教えるね。〕

アキはハルが座ってるテーブルにタイマーを置いて、自分はハルの膝の上に座った。

「これが、タイマー?」
〔うん。まず、この赤いのが1時間のタイマー。真ん中にある黄色のボタンを押すとスタートする。〕
「うん。」
〔ボタンの上にある画面の数字がゼロになると音が鳴る。黄色のスタートボタンをもう一度押すと音が止まるから。〕
「うん。」
〔青いのと緑のは使い方は同じ。〕
「なにが違うの?」
〔青いのは15分測れて、緑は30分測れるの。〕
「うん、分かった。」
〔このオレンジの2つは、好きな時間を画面に入れて使うやつ。〕
「好きな時間?」
〔うん。画面の下にボタンが3つあるでしょ〕
「うん。」
〔1番左の水色のボタンが何分かを決める。〕
「うん。」
〔真ん中のピンクのボタンは秒数を決める。〕
「うん。」
〔決めたら、1番右の黄色のボタンがスタートボタン。押すとスタートする。〕
「分かった。ちなみにどんな音が鳴るの?」
〔オレンジの使ってやってみようか。〕
「うん。」
〔じゃあ、持って。〕
「はーい。」
〔1分30秒を測ってみよう。〕
「分かった。1分だから、水色を押す。30秒だと……?どうするの?」
〔秒数のボタンを何回も押して。〕
「うん。」

ピピピピ……

「1秒ずつ増えてくんだね。」
〔うん。分数も同じだから。〕
「分かったー。…、あ、出来た。」
〔じゃ、スタート押して。〕
「うん」

ピピ

「お、画面の数字が減ってく。」
〔1秒ずつ正確に減ってくから。〕
「すごい!」

1分30秒が経った。

ピリリリリーーー

「わー!すごい大きい音!」
〔このくらい大きくないとハル集中してると気付かないかなって思って。〕
「可能性は、ある…。」
〔止める時は、スタートボタンを押す。〕
「はーい。」



「ほっ、止まった…。」
〔これで時間を気にしないで魔法の勉強出来そう?〕
「うん。アキちゃんありがとう!」
〔いえいえ。〕


しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

RD令嬢のまかないごはん

雨愁軒経
ファンタジー
辺境都市ケレスの片隅で食堂を営む少女・エリカ――またの名を、小日向絵梨花。 都市を治める伯爵家の令嬢として転生していた彼女だったが、性に合わないという理由で家を飛び出し、野望のために突き進んでいた。 そんなある日、家が勝手に決めた婚約の報せが届く。 相手は、最近ケレスに移住してきてシアリーズ家の預かりとなった子爵・ヒース。 彼は呪われているために追放されたという噂で有名だった。 礼儀として一度は会っておこうとヒースの下を訪れたエリカは、そこで彼の『呪い』の正体に気が付いた。 「――たとえ天が見放しても、私は絶対に見放さないわ」 元管理栄養士の伯爵令嬢は、今日も誰かの笑顔のためにフライパンを握る。 大さじの願いに、夢と希望をひとつまみ。お悩み解決異世界ごはんファンタジー!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!

古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。 そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は? *カクヨム様で先行掲載しております

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

処理中です...