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魔の森
20話
しおりを挟む〔続いて、属性だね。〕
「属性って、基本的に1人1つでしょ?ヴィオ様の本に書いてあったよ。ぼくが昔家で読んだ本にも書いてあったし。」
〔そうだね。稀に2つ持ってる人居るけど、3つは居るかもしれないけど、ほぼ居ないみたいだね。〕
「じゃあ、ぼくは、」
〔奇跡だね。
多分、魔力がかなり多いから基本属性は全て産まれた時から持ってたんだと思う。で、練習してる時に光と無を得たんだと思うよ。〕
「そうなのかな?」
〔うん、そうだよ、きっと。ホントの事なんて誰にも分からないんだからポジティブに考えよ。〕
「うん!
でも、アキちゃんはぼくより持ってるよ。」
〔あぁ…、まあ…、うん、それは、ヴィオ様の過保護のせいだね。〕
「どうゆう事?」
〔フィスィに来る前に、ヴィオ様と話したの、その時に『身体丈夫にして魔法も全属性使えるようにします。』って言われたの。〕
「へー」
〔だから全属性使えるし、最初から数値はバカみたいに高かったの。〕
「なるほど、納得。」
うんうんと頭を何度も振っている。
〔ふふっ、そんなに首振ってると頭クラクラするよ?〕
「うーん、少しクラクラするけど大丈夫。」
〔次は、魔法だね。〕
「うん。ぼくこんなに使えるの?」
〔使えるとは思うけど、少しずつ練習しないと出来ないよ。〕
「分かった!頑張って練習していっぱい魔法使えるようになる!」
〔ふふっ、頑張ろうね。〕
「うん!でもさ、なんでこんなに持ってるの?」
〔それも沢山練習してたから発動はしなかっただろうけどやろうとしてたから得たんだと思う。〕
「そっかー、じゃあ、スキルも?」
〔多分ね。〕
「そっか…、頑張ってよかった…。知らなかっただけで、こんなにいっぱい魔法使えるようになってたんだね………。」
〔そうだね。これからは、この魔法をいっぱい使って楽しも!〕
「うん!」
ハルは泣きそうな顔で笑って頷いた。
〔じゃあまずは、基本属性から使えるかやってみようか。〕
「うん!」
〔じゃあ、まずは1番簡単な風からにしようか。〕
「なんで風が1番簡単なの?」
〔風はここに吹いてるから。この風を魔力で動かすと出来るんだよ。他のは無から有を作る作業をしないといけないから風より難しい。〕
「なるほどー。」
〔では、魔力を手に集めて〕
「うん。」
もう目をつぶらずとも魔力を手に集めてる。
〔うん、いい感じ。じゃあそれに『風よ吹け』って思いながらウィンドって唱えると風出るよ〕
「うそだー」
〔ほんと。私難しいことわかんないからこうゆうやり方しか教えられない…、ごめんね…、〕
「…っ(涙目可愛いっ)、分かった、やってみる。
………《ウィンド!》」
サァーー
地面に落ちてた落ち葉がハルが出した風に吹かれて舞い上がった。
「わっ、出来たっ!」
〔うん、いい感じ。初めてでそんだけ出来れば大成功!〕
「ほんとに?」
〔うん。上出来!〕
「やったー!」
〔今みたいな感じで魔力に使いたい属性伝えれば簡単な事は出来るよ。〕
「分かった。」
〔あとは、想像力だね。〕
「想像力?」
〔うん。今の風、落ち葉を舞い上がらせただけでしょ〕
「うん」
〔魔法出す時に、『ここに集まれ』って思いながら使うと落ち葉が集まって来るよ。〕
「ここに集まれ…か。分かったもう一度試してみる。」
〔頑張れ!〕
「うん。ふう…、《ウィンド》」
サァーー
落ち葉がハルの目の前に集まった。
「で、出来た…。」
〔うん、上出来。さすがハル!〕
「ありがとう!ねえ、もっとやりたい!」
〔うーん、〕
「ダメ…?」
〔ううん。ダメじゃないけど、スキルを試してみるか、生活魔法を試してみるかどっちのがいいかなって思って。〕
「どっちのが使う?」
〔んー、テントに入る時に使ってるクリーンは生活魔法だから使い勝手いいから最初に覚えた方がいいかもなー、簡単だし。〕
「じゃあそれやってみたい。」
〔分かった。ちなみに、生活魔法は、魔力が少ない市民でも使えるようになってるんだよ。〕
「へー、思ったんだけどさ、なんで生活って入ってるの?」
〔生活に必要な事がほぼ出来るからかな、多分。〕
「どのくらい出来るの?」
〔うーん、
コンロに火を付ける為のちょっとの火を出す、ファイア
洗い物とかに使える飲めない水を出す、ウォーター、
周りを照らす、ライト
身体をキレイにする、クリーン
とか、攻撃魔法とかには入らないやつかなー。〕
「へー、じゃあ、生活魔法からやるー。」
〔了解。魔力の流れ見ててあげるから自分でやってみな。ヤバイと思ったら止めるから。〕
「分かったー。」
それからハルは水を得た魚のように嬉々として魔法を使った。1度出来てしまえばそのあとは何度も簡単に使う事が出来た。
1時間程生活魔法をやっていた。
〔ハル、そろそろ休憩しよ。〕
「えー、もうちょっとぉー。」
〔ダメ。初めてやったんだから身体が追い付いてないかもだから。〕
「むー…。」
〔もっとやりたいならやってもいいよ。でも、私、もう教えないから。〕
「それはヤダ!」
〔じゃあ、言う事聞いて。今日はもうやっちゃダメなんて言ってないんだから、とりあえず休憩しようって言ってるだけなんだから。〕
「……、分かった…。」
〔ハルがどんなに魔法使いたかったか知ってるし、魔法が使えるようになるために並々ならぬ努力をしたのかなんとなくだけどわかるよ。でも、無理はダメ。身体壊すよ。ハルが嫌いで言ってるんじゃなくて、好きだから言ってるの。お願い、分かって…。〕
不貞腐れながらイヤイヤ『分かった』と言ったハルに涙ながらに心の内を全て話して聞いてもらった。
「っ、ごめん!言う事聞くから泣かないで…。」
〔ほんとに聞いてくれる…?〕
「うん。ぼく、アキちゃんに甘えてたんだって今分かった。」
〔え?〕
「ぼく、5歳までしか人と生活してなかったから、褒められる事も怒られる事も喜ばれる事も泣かれる事も無かった。だから、他人とどう生活していけばいいか分かってなかった。でも、アキちゃんがぼくの全てを受け入れてくれたからこれで、このままで良いんだって勝手に勘違いしてた。ほんとにごめん…。」
〔ううん、私こそごめんね。ずっと他人に興味無かったの。でもヴィオ様に会ってまた人を信じても良いかもって思ってた時にハルに会った。もう裏切られるのは嫌だからハルに裏切られないようにってずっと甘やかしとけば良いかって多分、どっか心の奥で思ってたんだと思う。ちゃんとハルを1人の人間として見てなかったのかも…。私こそ、ほんとうにごめん…。〕
「ううん、ぼくの方こそ、ごめん…。」
2人は泣きながら謝って抱き合った。
しばらくして少し落ち着いたのかハルの腕の力が弱まった。抱っこはしたままだが。
「アキちゃん、ありがとう。」
〔どうしたの?〕
「前に泣いた時に『急に居なくならないで』とか『寂しい』とか言ったからずっと甘やかしてくれてたのかなっておもって。」
〔多分、それもあるかもだけど、私がハルと離れたくないから私に依存してもらえるように甘やかしたんだと思う。〕
「そっか…、」
〔うん…、多分、私がハルに依存してたんだと思う。こんなんじゃダメだよね、ごめん…。〕
「ううん。ぼく、もっともっと強くなって依存って形じゃなくて、頼られるようになるね。」
〔ハル…。〕
「ぼくもアキちゃんに依存してたと思うから、依存は辞めて、頼るに変える。だから、支え合える本当の家族になろう?」
〔っ、うん、うん。また、改めてよろしくお願いします。〕
「うん。よろしくお願いします。」
また泣いてしまったアキを優しく抱きしめた。
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