21 / 89
魔の森
16話
しおりを挟む2人は片付けをしてテントに戻った。
〔さて、あと1時間ぐらいで魔力解放出来ると思うけど集中して慎重に魔力を流していかないとハルの身体が危ないから出来れば話しかけないでいただきたいな。〕
「分かった…。」
ハルは硬い顔で頷いた。
〔イスに座ってもらってもいい?〕
「今回はイスにする?」
〔うん。私がハルに魔力を流してた時流しやすかった体勢が座ってた時だったから。いい?〕
「うん、もちろん。」
〔果実水はテーブルの上に置いとくから喉乾いたら飲んでね。〕
「動くのはいいの?」
〔うん。立ち上がったりされると困るけど、飲み物飲むくらいなら大丈夫。本も読む?ヴィオ様にもらったもう読み終わっちゃったやつしかないけど…。〕
「うん、3冊出しといて」
〔どれがいい?〕
「どれでもいいよ。アキちゃんが適当に3冊選んでよ。」
〔分かった。インベントリから適当に3冊出すね。〕
ポン
〔はい〕
「ありがとう。」
〔じゃあ、始めるよ。〕
「うん、お願いします。」
〔ハル、どう?〕
「んん、ぁ、……ふぅっ、はぁ…、」
〔大丈夫…?〕
「う、うん、かなり熱い…。でも、気持ち悪くは無いよ。」
〔じゃあ、続けるよ。〕
「うん。」
アキは、《魔力可視化》を使いながら慎重に慎重に魔力を流してハルの魔力詰まりの最大の原因の石みたいに固まった魔力を溶かしていく。
ハルは魔力を流し始めた時は熱さを感じていたが、少ししたら落ち着いて、果実水を飲みながら本を読んでいる。
言ってた1時間を超えて2時間半程時間が経った。
〔………、ふぅ、よし、ハル、終わったよ。〕
「ほんとに?」
〔うん、思ってたより厄介で少し時間かかっちゃったけど、完全にしかも、キレイに解放出来たよ。〕
「よかったぁ……。
アキちゃん、ほんとにありがとう!」
〔いえいえ。とりあえず、魔力を感じてもらいたいけど、ちょっと水飲ませて〕
「もちろん。」
かなり集中していたアキは汗をかきながら魔力解放を終わらした。
果実水で喉を潤し、《クリーン》をアキとハルに掛けて汗を流した。
〔はふぅ……、お待たせ。早速魔力使ってみる?〕
「うん…、ちょっと怖いけど、教えてください。」
〔了解。まずは、身体の中に自分の魔力があるか確認してみて。〕
「魔力確認……、うん…。」
〔目をつぶって、集中して。〕
「はい。」
〔身体の中の血液が流れてるのと同じ感じで流れてるの。私の魔力を流してた時、暖かいもの感じてたでしょ。それが魔力だから自分の中の暖かいものを探して。〕
「ん、……んー?…、あ、暖かいのあった。」
〔そのまま手に持ってきて集めてみて。〕
「んーと、……、出来た…?」
〔うん、少なめだけど出来てる。一旦魔力止めて。〕
「え、どーやって、」
〔止まれって思えば止まるよ。〕
「止まれ」
〔うん、止まったね。〕
「え、止まった…?」
〔うん。ずっと《魔力可視化》使って見てたけど、キレイに身体の中巡って手にきてたよ。初めてでそんだけ出来れば大成功だよ。まだ解放したばかりだから身体に馴染んでない筈なのにそれでも出来てるんだから明日には私みたいにバンバン使えるようになるよ。〕
「ほんと…?」
〔うん。とりあえず今日はもう休んで、明日、魔法使ってみようね…。〕
「うん。」
〔くぁー……。ん…。〕
ようやく解放出来た安心感からか、アキはハルの膝の上でそのまま寝始めてしまった。
「アキちゃん、ありがとう。おやすみ。」
ハルはアキを抱っこしながらベットに入り、毛布を掛けて一緒に寝た。
0
お気に入りに追加
262
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
RD令嬢のまかないごはん
雨愁軒経
ファンタジー
辺境都市ケレスの片隅で食堂を営む少女・エリカ――またの名を、小日向絵梨花。
都市を治める伯爵家の令嬢として転生していた彼女だったが、性に合わないという理由で家を飛び出し、野望のために突き進んでいた。
そんなある日、家が勝手に決めた婚約の報せが届く。
相手は、最近ケレスに移住してきてシアリーズ家の預かりとなった子爵・ヒース。
彼は呪われているために追放されたという噂で有名だった。
礼儀として一度は会っておこうとヒースの下を訪れたエリカは、そこで彼の『呪い』の正体に気が付いた。
「――たとえ天が見放しても、私は絶対に見放さないわ」
元管理栄養士の伯爵令嬢は、今日も誰かの笑顔のためにフライパンを握る。
大さじの願いに、夢と希望をひとつまみ。お悩み解決異世界ごはんファンタジー!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
とある中年男性の転生冒険記
うしのまるやき
ファンタジー
中年男性である郡元康(こおりもとやす)は、目が覚めたら見慣れない景色だったことに驚いていたところに、アマデウスと名乗る神が現れ、原因不明で死んでしまったと告げられたが、本人はあっさりと受け入れる。アマデウスの管理する世界はいわゆる定番のファンタジーあふれる世界だった。ひそかに持っていた厨二病の心をくすぐってしまい本人は転生に乗り気に。彼はその世界を楽しもうと期待に胸を膨らませていた。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果
てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。
とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。
「とりあえずブラッシングさせてくれません?」
毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。
そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。
※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
悪役令嬢は始祖竜の母となる
葉柚
ファンタジー
にゃんこ大好きな私はいつの間にか乙女ゲームの世界に転生していたようです。
しかも、なんと悪役令嬢として転生してしまったようです。
どうせ転生するのであればモブがよかったです。
この乙女ゲームでは精霊の卵を育てる必要があるんですが・・・。
精霊の卵が孵ったら悪役令嬢役の私は死んでしまうではないですか。
だって、悪役令嬢が育てた卵からは邪竜が孵るんですよ・・・?
あれ?
そう言えば邪竜が孵ったら、世界の人口が1/3まで減るんでした。
邪竜が生まれてこないようにするにはどうしたらいいんでしょう!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる