猫ちゃんの異世界、旅日記。

椿姫哀翔

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魔の森

14話

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〔まずは、お肉と玉ねぎをみじん切りにします。〕
「みじん切りってなに?」
〔細かくする事。〕
「細かく?玉ねぎはなんとなくわかるけど、お肉はどうやって?」
〔お肉も一緒。包丁で細かく叩くように切れば大丈夫。少し大きくても問題ないし。〕
「分かった。ちなみに、お肉ってどんなの使うの?」
〔んー…、考えてなかった…。そーだなー…、オークにしよっか。柔らかいし、臭みも特に無いから下処理がラクだし。〕
「そーなんだー。ぼくお肉食べた事無いからどうゆうのか楽しみ!!」
〔………、そっか、楽しみにしてて、美味しいの作るから!〕
「うん!」
〔ハルには玉ねぎのみじん切りをお願いしようかな。出来そう?〕
「うん、頑張る!」

作業台に玉ねぎとオーク肉を出し、2人横並びになり黙々と細かく刻んでいく。

ちなみに、オーク肉は、かなり美味しいため、市場に出回ってもそれなりに高くて庶民には簡単に手が出ないため、お祝いの席なんかでステーキとして出てくる事が多い。
ハンバーグにするためにミンチにするのはかなりもったいない。

「んんー、出来た、かな…?」

ある程度まで細かくなったところでハルは手を止めてアキを見た。

ダダダダダダ…………。

「ひっ、」

アキは一心不乱にお肉をミンチにしているが、視線をお肉に合わせ微動だにせず無表情でミンチにしていてハルが少し怖がってしまった。

ダダダダダ……。

〔ふう、〕

10分程魔法《ウィンド》でミンチにしたあと、納得したのかようやく魔力を止めた。

アキに声を掛けようとして見てから怖くて気にしないように、気にしないように玉ねぎのみじん切りを再開していたハルが怖々と声を掛けた。

「っ、お、終わった……?」
〔うん、終わったよ。って、どーしたの?顔真っ青。〕
「ご、ごめん…。アキちゃんのみじん切りが怖くて…。」
〔怖かった?〕
「うん…。身体も視線も一切動かさずにお肉叩いてて怖かった…。ちょっと殺気も出てたし……。」
〔え!?ごめん!ハルを怖がらせる気は一切無かったの!ほんとに、ごめんね……。〕
「ううん、ぼくが勝手に怖がっただけだから…。」
〔そんな事言わないで。怖いなら怖い、寂しいなら寂しい、楽しいなら楽しいって言って。あまり人と関わってこなかったから他人の感情を敏感に感じ取るとか出来ないから。〕
「い、いの…?」
〔もちろん。私にはなんでも言って。なんでも受け止めるから。〕
「分かった。」
〔その代わり、私もハルになんでも言うから。受け止めてね。〕
「うん、分かった!」

ハルはやっと緊張を解いて笑顔になった。


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