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魔の森
13話
しおりを挟む外に出てきたアキは、かまどに火を付けた。
「アキちゃーん、待ってよー。」
〔むぅ、ハル、遅い…。〕
不貞腐れながらも夕飯の準備をハルが来るまで待っていた。
「ごめん。夜ご飯はなに作るの?」
〔夜ご飯は、ハンバーグを作ります!〕
「ハン、バーグ…?」
〔そう。私が前世で好きだった食べ物。ハルにも食べてもらいたいなぁーって思って。でも、私1人じゃ作れないから手伝ってね。〕
「分かった。すっごい楽しみー。」
〔ではまずは、〕
「うん!」
〔手を洗います。〕
「え、」
〔ん?どした?〕
「いや、すぐになにかやるのかと思ったのに、手洗うって」
〔手洗いは大切だよ。きちんと洗わないともしかしたらバイ菌が入ってお腹壊しちゃうかもしれないし。〕
「え、そーなの!?」
〔うん。だからちゃんと洗ってね。〕
「はーい。」
ジャー
アキは魔法で水を出し手を洗わせた。
〔うーん…〕
「アキちゃん?」
〔…………、《ウォーター》〕
「え?アキちゃん?」
いきなり無言になり、魔法を使ったアキは、出来上がりに満足気に微笑んだ。
「アキちゃん!」
〔ん?ハルどした?〕
「『どした?』じゃない!魔法使う時は教えてって言ったよね!」
〔あー、ごめん…。〕
「もう、ちなみに何を作ったの?」
〔これ?これは水道。〕
「水道…?ってなに?この地面に刺さってる棒とか意味が分からない。」
〔この世界じゃまだ普及してないか、そーいえば、ヴィオ様がくれた本にも特になにも書いてなかったなー。
これは、水道。この取っ手を上に上げると水が出る。〕
「え、すごい!!やってみてもいい?」
〔もちろん。ハルの為に作ったんだから是非使って。〕
「え、ぼくの為?」
〔うん。手洗うのにいちいち私にお願いして水出してもらうの面倒でしょ?〕
「まあ、」
〔だから作ってみた。〕
「ありがとう!」
〔じゃあ、やってみて。〕
「うん!取っ手を上にっと……」
ジャー
「わぁ!水が簡単に出た!すごい!!」
〔取っ手を下げると水止まるから。〕
「下げる。」
ジャー……。
「ほんとだ!すごい!!」
〔使ってみて。その水、私がいつも魔法で出してる水だから料理する時に鍋に入れたり色々使えると思うよ。〕
「え、魔力減らない……?」
〔ふふっ、心配してくれてありがとう。大丈夫。そんな少量の水じゃ減らないから。安心して使って。〕
「分かった。甘えて使わせてもらう。」
〔うん。じゃあ、手も洗ったし、ハンバーグ作ろう!〕
「おー!」
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