猫ちゃんの異世界、旅日記。

椿姫哀翔

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魔の森

11話

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魔力解放を初めて3時間程が経過した。

そのあいだアキは、《魔力可視化》を使いながらハルの身体に魔力を注ぎ魔力詰りを治していく。
繊細な作業だが、アキは難なくこなし、頭の中では次ハルとなにやるか、どんなご飯を作ればハルが喜ぶかなどハルの事ばかり考えてた。

一方ハルは、アキに渡された20冊の本を読んでた。
離れに住んでる時も本を読んでて知識が増えるのが堪らなくて毎日読むぐらい本が好きなため、楽しそうに読んでた。


〔ふう、ハル、一旦休憩にしようか。〕
「…………。」
〔ありゃ、すごい集中してる。〕
(本好きだったんだ。よかった。字が読めないとか言われたらどうしようって思ってたけど、さすがに教えてもらってたんだね、よかった…。
5歳の頃に乳母にも逃げられたって言ってたからちょっと心配だったけど、この様子なら書く事も大丈夫そう。
さて、かなり集中してるけどどうしたもんか…。
まあ、いっか、ハルはそのままで私だけでも休憩しよ。)


アキは、魔力を一旦止めて、ハルの上から降りて果実水を飲んだ。

(ううーんーー……はふぅ…。)

ずっと同じ体制だった為、伸びをして身体を動かした。

(さすがに3時間ぶっ続けで魔力使うと疲れるなぁ…。
良い疲労感ー……。)

15分程休憩してハルの膝の上に戻った。
ハルはまだ気付かずに本を読んでた。

(ふふっ、楽しそ。このまま続けちゃお。)

そしてまた魔力をハルに流し始めた。

それからまた3時間程が経過した。

(さすがにそろそろ動いてもらわないとなー。
どーするか……、そだ、お昼ご飯作ってれば匂いで誘われるかも…。)

そうと決まり、アキはまたもハルの膝から降りお昼ご飯の準備を始めた。

(さて、朝ご飯は味噌汁だけだったから、お昼ご飯にはきちんと食べてもらいたい。
なににしようかな………、よし、決まった。
パンとサラダとコンソメスープにしよう。夜ご飯には私が久しぶりにハンバーグ食べたくなったからお昼ご飯は少し軽めにしよう。)

朝ご飯の後に火は消したからまた付けて鍋で水を沸かし始めた。
そのあいだにサラダの準備。と、いっても野菜を切ってドレッシングを作るだけだが。

(ドレッシングはー、オリーブオイルと塩とレモンにしよう。スープ、コンソメだから。)

次に、コンソメスープを作り始めた。

カタッ

(ん?)
「アキちゃん?なんか、いい匂いする。」
〔おー、ハル、やっと気付いたかー。〕
「やっとって?」
〔だって、3時間ぐらい前に休憩する時に呼んだ時は全然気付かなかったし。〕
「へ?そーなの?気付かなかった…。ごめん…。」
〔いいよー。同じ体勢で居たけど痛い所とかない?〕
「うん。大丈夫そう。少し身体をバキバキいってるけど。」
〔もう…。そろそろお昼ご飯出来るから少し伸びしてみな。〕
「うん。んんーー」

バキバキッ

「はぅーー、気持ちいー。」
〔すごい音、こっちまで聞こえた。ほんとに痛くない?〕
「うん、大丈夫。それより、お腹空いた…。」
〔はいはい。水出すから手洗って。〕
「うん」

お昼ご飯が出来上がる頃ハルが本から顔を上げてアキに声を掛けた。
バキバキの身体を伸ばして手を洗ってスッキリしたあとテーブルに着いた。

〔はい、どーぞ〕
「ありがとう。これは?」
〔お昼ご飯は、パンとコンソメスープとサラダにしたよ。〕
「いい匂い。いただきます。」
〔どーぞ。いただきます。〕

モグモグ

「んー?なんか色んな味するけど、美味しい!」
〔なら、よかった。おかわりあるから遠慮なく言ってね。〕
「ありがとう。」

それからハルはパンもスープもサラダもおかわりした。

「ごちそうさまでした。美味しかった。」
〔なら、よかった。〕
「片付けしたら続きする?」
〔うん。でも、さすがに座りっぱなしはキツかったでしょ?〕
「うーん、まあまあ?集中しちゃえばどんな体勢でも大丈夫!」
〔そ?でも、私が疲れるから次は寝てもらっていい?〕
「うん、分かった。じゃあテント戻る?」
〔うん。〕


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