猫ちゃんの異世界、旅日記。

椿姫哀翔

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魔の森

10話

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「とりあえず、材料を切っただけなんだけど…」
〔いいよー、じゃあ、鍋に材料も入れて煮ようか〕
「うん」

アキはかまどに火を付けた時から沸かしていた鍋にジャガイモを入れた。少し水が少なくなってしまったため、水も少し足した。

〔少し煮て柔らかくなったら玉ねぎも入れて味付けしよーね〕
「うん。なんで、ジャガイモだけ先に煮るの?」
〔固さが違うでしょ?だから火のとおり時間が違うから先に煮とかないとジャガイモに火が入る頃には玉ねぎトロトロぐでぐでになっちゃうよ〕
「そうなの!?」
〔うん〕
「知らなかった!ぼく沸騰した鍋になんでもかんでも同じタイミングで入れてた!」
〔そうするとくたくたになったのとかあったでしょ?〕
「うん!美味しくなかった!」

ニコッ

〔すーごい笑顔で言うけど、お腹壊したりはしなかった?〕
「うん、多分大丈夫だったよ。」
〔そっか、あ、そろそろ玉ねぎ入れて味付けよ〕
「うん!」

さっきひと泣きしてスッキリしたからなのか、アキが『私達は家族』って声に出して伝えたからなのか少しあったよそよそしさが一切無くなり、お姉ちゃんに甘える?じゃれる?弟のようになって笑顔がたくさん出てきた。

アキはそれを嬉しそうに見ながらジャガイモと玉ねぎの味噌汁を作っていく。

〔出来たー〕
「おー…お?茶色い…」
〔食わず嫌いはダメだよ。美味しいんだから〕
「うっ、分かったアキちゃんが美味しいって言うならたべる!うん、…」

ハルは、初めて見た味噌汁に少し躊躇してしまったが、アキが作ってくれた、アキが美味しいって言ってるため、騙されたと思って食べてみる事にした。

「ぅ、…ふぅーはぁ、い、いただきます…、」

ぱくっ

「ん、え、美味しい…」
〔だから言ったじゃん。〕
「すごい、美味しい!こんな美味しいの初めて食べた!」

ぱくぱくぱくっ

〔ちょっと、落ち着いて食べなよ。もお、私も食べよ。いただきます。うん、美味しい。〕
「だって、アキちゃん、これすごい美味しい!」
〔それはよかった。〕

それからハルは一心不乱に味噌汁を食べ進めた。

「ふう、美味しかったー。」
〔うっそ、全部、食べちゃった…。〕
「え、ダメだった…?」
〔ううん、全然良いんだけど、ちょっとびっくりしただけ。
スープだけでお腹いっぱいになっちゃったらすぐお腹空いちゃうかもよ。そんなに食べてお腹痛くない?大丈夫?〕
「うん!こんなにたくさん食べたの初めてだけど大丈夫そう!」
〔そっか。なら良いけど。〕
「このあとどうする?」
〔このあとは、昨日の続きをやろうと思うんだけどどうかな?〕
「昨日の魔力解放だよね。あとどれくらいで出来そう?」
〔うーん、今日か明日には多分解放出来ると思う。〕
「そっか!」
〔もう、やる?〕
「うん。お願いします。今日はどんなかっこうでやる?」
〔イスにクッション置いてその上に座りなー。〕
「分かったー。」
〔途中で体制変えたりしたい時は言ってね。
今日は昨日よりも長いからそのあいだ暇だろうからこれ読んでて。〕

アキはクッションとヴィオからもらった本を出した。

「うん。
ん?この本は?」
〔私がヴィオ様からもらったこの世界の常識の本。〕
「ぼく、読んでもいいの?」
〔もちろん!知ってると色々役にたちそうだし。〕
「ありがとう。読んでみる!」
〔今日1日で全部読もうとしなくて大丈夫だからね。
じゃあ、はじめよっか。〕
「うん」
〔飲み物出しとくから喉乾いたら飲んでね〕
「うん」

アキは、テーブルに本と果実水を出した。
魔力解放には近づいてた方が良いため、アキはハルの膝の上に乗った。

〔じゃあ、魔力流すよ。気持ち悪かったりしたら言ってね〕
「うん、お願いします。」

ハルのお腹に前足を当てて魔力を流し始めた。

〔どう?〕
「大丈夫。」
〔じゃあこのまま進めてくね〕
「うん」


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