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魔の森
9話
しおりを挟む〔色々食材出してみたけど、どーゆーの作るの?〕
「うーん…、ぼく、材料って、ジャガイモぐらいしか使ったことないからなー…。」
〔じゃあ、一緒に作ってみる?〕
「そーだね。ジャガイモは使うとして、ほか何が合う?」
〔うーん、玉ねぎとかは?〕
「玉ねぎ?」
〔うん。なんの味でも合うと思うよ。〕
「味…?塩じゃないの?」
〔…、塩以外にも醤油とか味噌とかも美味しいよ。〕
「???なにそれ、調味料…?」
〔っ、うん。せっかくだから使ってみる?〕
「うん。ジャガイモと玉ねぎのスープだったらどっちの味が美味しい?」
〔うーん…、私は味噌かなー。〕
「じゃあ、味噌味にしよ。味付けはアキちゃんがして?それまではぼくが作る。」
〔りょーかい。頑張って。〕
「うん!」
ハルは出してもらった材料を使って作業を始めた。
アキは、邪魔にならないように作業台から少し離れた木陰に座った。
(………、あぁぁぁーーーー!!!イライラする!!!マジなんなの、ハルの家族は!ヴィオ様から『この世界の常識』って本もらって読んでたけど、塩、醤油、味噌、砂糖は前世と一緒で一般的って書いてあったよ!マジありえないんだけど!そんなことも教えられてないって、ハルよく今まで生きてられたよ、ほんと…。)
アキのイライラがピークに達してしまい、心の中でずっとモヤモヤしていたものが弾けた。
ハルに気付かれないように自分の周りに中が見えない結界を張って暴れてる。
(だぁぁぁーー、もお!!!
イライラするけど、今はもうハルが元家族になんの感情もなさそうなのがまだ救いかな…。私がイライラしてたらハル気付きそうだから今回だけ暴れて終わりにしよ。あとは、ハルとめいいっぱいこの世界を楽しも!うん!)
「アキちゃーん。……、あれ?アキちゃん、どこ行ったー?アキちゃーん!」
しばらく結界に籠って暴れてたが、準備が整ったのかハルがアキを探し始めた。
周りをキョロキョロ見て、少し涙目になっている。
〔はいはーい〕
結界を消して、ハルの元に戻った。
「アキちゃん!」
ぎゅー
〔ハル?どした?〕
「ぐすっ、どーもしない……、」
〔ハル、ちゃんと言って。〕
「………、アキちゃんが居なくて、……、」
〔うん〕
「急に寂しくなった………。」
〔そっか、急に居なくなってごめんね。木陰で涼んで待ってたの。〕
「ん…、もう、急に居なくならないで……。」
〔分かった。今度からハルから離れる際は必ず伝えるね。〕
「うん…。」
〔ん?どした?〕
「ううん、女々しいなって、」
〔そんなことないよ〕
「だって、アキちゃん見当たらないだけで取り乱して最悪…。」
〔いいじゃん。〕
「へ?」
〔それって、私の事家族として認めてくれてるって事でしょ?〕
「そ、なの、かな…?」
〔うん。私だって、ハルと一緒に寝ていつもよりスッキリしてたからハルとちゃんと家族になったんだなって思ったよ。〕
「そっか、」
〔そーだよ。〕
「そういえば、ぼくもぐっすり眠れてスッキリ起きれた。」
〔そっか。よかった。ちゃんと寝れたか心配だったから。〕
「あ、ごめん…。」
〔ん?なにが?〕
「ぼくがちゃんと報告しなかったから心配させちゃった…。」
〔そんなことないよ。それに、家族なんだから心配しても良いでしょ!〕
「そう、なの…?」
〔そうだよ!さっきだって材料切るのに包丁使って手切らないか心配だったし。〕
「っ、ぐすっ、……あり、がとう…」
〔なーんで、泣くのよー〕
「だって、心配なんて、初めて、された、から…ぐすっ、」
〔……、そっか、これからは、私がハルの家族なんだから、いっぱい楽しいことして、いっぱい笑って、心配して行こ?〕
「うん、うん、うん!これからアキちゃんと一緒にいっぱい笑って楽しいことする!」
〔よし!とりあえず、スープ作りからだ!〕
「おー!」
ハルはようやく落ち着いて涙を拭い、抱っこしてたアキを作業台の近くのイスにおろした。
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