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魔の森
7話
しおりを挟む〔さて、魔力流すね。気持ち悪かったりしたらすぐに言ってね。〕
「はーい。」
〔じゃ、いくよ。〕
アキは、ベットに座ったハルの膝の上に乗り、対面して、手をハルのお腹に当てて、《魔力可視化》しながら、ゆっくりと魔力を流し始めた。
〔どお?〕
「……、うん、大丈夫そう。」
〔そ?じゃあ、続けるよ。〕
「うん。」
〔さて、やりながら私の話しをしようか。〕
「うん。ヴィオ様って誰?」
〔なんで、そんなにヴィオ様が気になるの?〕
「いや、だって、この森で1人で生きてるって言ってたのに人みたいな名前がアキちゃんから出たから気になる。」
〔それも、そっか。今から話す事絶対に誰にも言わないって約束出来る?〕
「うん、必ず守るよ。」
〔………、そか。ヴィオ様は、神様だよ。〕
「へ?神、様…?」
〔うん。この世界を創った創造神だって。〕
「そんな、すごい人が、なんで、アキちゃんから名前、出るの…?」
〔私、この世界の住人じゃないの。〕
「どうゆう事…?」
〔この世界フィスィとは違う世界で人間として、生きていたんだけど、色々あって死んじゃって、ヴィオ様がフィスィに来ないかって言ってくれたから、もう人間は疲れたから猫にしてもらってフィスィに来たの。私の身体も能力も、今持ってる荷物も全部ヴィオ様がくれたの。〕
「………。」
〔ごめんね、こんな話しして。気味悪いよね…。〕
「あ、違う!気味悪くなんかない!びっくりしすぎて、何言ったらいいかわかんなくなってきて…。」
〔そっか…、まだ、一緒に、居てくれる…?〕
「もちろん!ぼくの家族はアキちゃんだけだから!ずっと一緒に居るよ!」
〔あ、ありがとう…。っ、ぐすっ、〕
ハルに全てを打ち明けたアキは、前世を含めて数えても初めて全てを認めてくれたハルに嬉しくなり、泣いてしまった。
「でも、アキちゃん。」
〔ぐずっ、なに?〕
「そんな重要な事ぼくに言って良かったの?」
〔うん。ハルは悪い事絶対にしないって分かってたから。〕
「どうゆう事?」
〔さっき、ハルと出会った時に、ハルに撫でてもらったでしょ?その時に《悪意察知》っていう魔法があって、それを使わせてもらったの。で、『全く悪意無し』って出たから大丈夫かなって。〕
「でも!ぼくの魔力検査みたいに違う検査結果だったらどうするの!?」
〔それは、ない。私の魔法で、私自身が、きちんとハルを調べたから。〕
「ほんとに…?」
〔うん。ハルは私の家族として合格だから『家族になって』って言ったんだよ。〕
「へ?そうなの?」
〔うん。内緒で使ってごめんね…。〕
「ううん、それは全然大丈夫だよ。でも、そっか、魔法でぼくは安全って出たから話しかけてくれたんだね。」
〔うん。〕
「ほんとにありがとう。」
〔へ?〕
「ぼくと出会ってくれて。」
〔っ、こちらこそ、私と出会ってくれてありがとう!〕
「ふふっ」
〔ふふっ〕
心の内を話したおかげか、ようやく家族になったみたいだった。
〔さて、ハルー。〕
「んー…?」
〔眠くなってきたでしょ?〕
「んーんー……。」
〔このまま寝ちゃっていいよ。ベットに横になりな。〕
「でも、」
〔ほら、〕
「う、ん…」
さすがに、夜遅くに話していたためハルが眠くなってきた。
〔はい、おやすみ。〕
「おや、す……。」
〔ふふっ〕
アキは、ベットに横になったハルの上にそのまま居ながら、魔法で毛布を持ってきて自分とハルに掛けた。
(ふう、まさか、私が出会って数時間のハルに心を開くなんてね。これもヴィオ様のおかげかな。
ヴィオ様、ヴィオ様が私に優しくしてくれたから、ハルという家族に出会えました。本当にありがとう。ヴィオ様、大好きー。)
アキは、心の中でヴィオにお礼を言って、ハルに流してる魔力をいったん止めて、眠りについた。
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