猫ちゃんの異世界、旅日記。

椿姫哀翔

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魔の森

6話

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〔結果として、思ったより時間は掛からなそうだよ。〕
「ほんと?」
〔うん。今、調子悪くないならこのまま治療始めちゃってもいいけど。〕
「うん、調子は良いよ。アキちゃんがヒール使ってくれたから生きてきた中で一番元気。」
〔そうなの?なら、よかった。〕
「なので、お願いします。」
〔了解。あ、でも、先に洗い物してからだね。〕

結果を伝えてすぐに治療を始めようとしたが、テーブルの上に空の皿が置いてある。

「あ、そうだね。美味しかったよ、ぼく洗うね。」
〔大丈夫。〕

シャー

アキは、いつものように魔法で皿を浮かし、綺麗に洗って乾かしたあとにインベントリに戻した。

〔はい、終了。〕
「ほえ、それくらい手で洗いなよー。」

驚きすぎて変な声を出したハルに常識的な事を言われた。

〔そんなこと言ったって、私猫だから手で洗った方が大変なんだもん…。〕
「それも、そっか。なんか人間みたいな行動するかるさ。」
〔そっかー。じゃ、片付けも終わったし、治療始めますか。〕
「はい、お願いします。」

ハルには、そのままテーブルに着いててもらって、アキが隣りのイスからハルの膝の上に座った。

「へ、」
〔あ、いきなりごめん。〕
「ううん、ちょっとびっくりしただけ。
治療は、ぼくの膝に座ってやるの?」
〔うん。治療としては、私の魔力をハルに流して、固まってる魔力を溶かすって事をするんだ。だから、ハルに触ってられる方が簡単に魔力流せるから。〕
「そっか、分かった。ぼくはこのまま動かない方がいい?」
〔うーん、ここに座ってさえ居てくれればなにしてもいいよ。あ、このイスずっと座ってるとお尻疲れちゃうか。〕
「うーん、長時間座ってみないと分からないけど、ちょっとは痛くなっちゃう、かも…?」
〔だよね…。うーん…、そだ、ベット出すからそれに寝て、その上に私が乗ればいいかな?〕
「ベット?」
〔うん。しばらく此処から離れるから閉まったけどまた出すか。
よし、《インベントリ》〕

アキは、いつも置いてた場所にテントを置いて、中にベットを出して、ハルに快適に過ごしてもらえるようにクッションと毛布とタオルケットも出した。

「すごい!」
〔中どーぞー。このテーブルとイスも中入れとくね。〕
「えっと、失礼します…。」
〔あ、靴だけ脱いで、あと《ウォッシュ》はい、どーぞー。〕

パァー

アキは、ハルをテントに入れる前にいつも自分がやってるように身体を綺麗にする魔法《ウォッシュ》を自分とハルに掛けた。

「ほんとに、アキちゃんすごいね!」
〔私がすごいんじゃなくてヴィオ様がすごいんだよ。〕
「ヴィオ様…?」
〔うん。その話しもするからとりあえず、ベットの上に座って。横になってもいいよ。そこのクッションとか使っていいから。あ、テーブルに果実水出しとくから喉乾いたら飲んで。〕
「ありがとう…。」
〔ん?まだなんか欲しいのあった?〕
「ううん!いや、至れり尽くせりだなって思って。」
〔そう?ヴィオ様の影響はあるだろうね。〕
「ヴィオ様って誰?」
〔とりあえず、長時間になるから座るなりしてくれ。〕
「あ、はい。」

ハルは色々聞きたいことが山ほどあるのか、テントに入ってからその場に突っ立ったままでいた。
アキがなんとかベットに座らせた。

「うわぁ、すっごい、ふわふわ!」
〔すごいでしょ。〕
「これは、すごい!」

初めてベットに乗った時のアキと同じ反応をしてベットに座った。

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