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魔の森
3話
しおりを挟むアキが異世界に来てから3ヶ月が経った。
猫の身体がどのくらい動くのか試して、魔法を一通りやってみて、沢山の魔物を倒した。
(うーんー。はあー。)
朝になり、テントから出てきて伸びをした。
いつもキラキラな笑顔で過ごしていたが、最近は少し顔が曇っている。
(ふう、もうこっちに来て3ヶ月…。そろそろ出ないとかな…。いつまでも引きこもってたらヴィオ様に示しがつかないなぁ…。
でも、うーん、いや、………行ってみよう。
いつもより少し遠くに、街の方に…。
此処はまだこのままで、怖かったらすぐに戻ってこよ。
よし!うん!)
1ヶ月ほどかなり迷い、心と葛藤し、ついに神域から少し離れる事を決意した。
お昼頃まで神域でゆっくりしてから森に入った。
魔物を倒しながら森の中を街の方に向かって進んでいく。
(ふぃー。森の外に向かうと魔物は弱めなんだなー。これならもう少し行って、夜はどっかの木の上で休もうかなー。)
日が沈んでいき、森の中は暗くなってきた。
(なんだろ、急に森がザワザワし始めてる。
なにか、あった…?)
クン
(っ、血の匂いっ!
でも、獣臭くないから魔物じゃない。
ってことは、人っ!)
アキは、スピードを上げ、全速力で血の匂いがする場所に向かった。
(っ!いたっ!え、子供…?)
カサッ
「「「「ワオーン!!」」」」
(っ!マズイ!)
「くぅっ、動けぇ、!たあ、ダメだ…。」
(間に合えっ!)
「グルルル、ガオッ!」
「っ、」
ザッ
「にゃー!(犬ども死ねー!)」
ドカーン!!
「「「「ガ、ガゥ…」」」」
ウルフが少年を狙ってたが、アキがなんとか間に合い、魔法で仕留めた。
「っ、た、助かった……?」
「にゃー(結界張っとこ。)」
「ねこちゃん…?」
「にゃう」
「そっか、助けてくれて、ありがとう。」
「にゃー」
「ねこちゃん、どこから来たのかな?ぼくの血の匂いでここまで来ちゃったのかな?」
「うにゃー」
「ねこちゃん、ほんとにありがとうね。」
アキは、少年にお礼を言われて嬉しそうにしながら少年の周りに結界を張った。
「ねこちゃんは、誰かに飼われてるのかな?誰かとこの森に入ったのなら、少し手を貸してもらえるかな…?」
「にゃ?」
「わかんないよね、ごめん。
助けてくれて、ありがとう。此処は危ないから、もうご主人様の所に戻っていいよ。」
「にゃう」
アキは、少年の言葉に耳を貸さずに、傷だらけの少年の膝の上に優しく乗った。
「え、ねこちゃん、ぼく血だらけだから、ねこちゃんの綺麗な毛真っ赤になっちゃうよ!」
「にゃん」
「い、いの…?」
「にゃう」
「ありがとう…。
わ、あ、さらさらだぁ。あ、赤くなっちゃった、ごめん…。もういいよ…。」
「にゃうー」
アキは、もっとと良いだけに頭を少年のお腹に擦り付けた。
「っ、あ、あり、がと…っ、ぐすっ…」
ずっと我慢していたのか、少年は泣き始めた。
(泣けてよかった。なにがあったか知らないけど、いい子そうだし、家族になってくれないかな…。
あとで話しかけてみよ。)
自分から少年に歩み寄ったからなのかアキが少年に心を少し開いた。
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