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レオンハルトside
2話
しおりを挟むぼくは、持ってる中で1番汚れてなくて綺麗な服を選んで呼び出された謁見の間に向かった。
(謁見の間ってぼくはやっぱり家族じゃないんだな…。)
「ねえ、見てよあれ、スラム街に居る子供より酷いんじゃない。クスクス。」
「ほんと、あれでよく王宮に来ようと思ったわねー。クスクス。」
「陛下もなんであんな乞食みたいの呼んだのよ。あれが歩いたあとの掃除をする私達の気持ちにもなってもらいたいものだわ。アハハハハ!」
「クスクス」
「クスクス」
「クスクス」
「はあ……」
謁見の間に行くまでかなりの貴族や侍女侍従から好奇な視線を浴びた。
謁見の間
「宰相さん、ありがとうございました。」
「いえ…、」
ぼくは、離れから謁見の間まで案内してくれた宰相さんにお礼を言って、1人謁見の間に入っていった。
コンコン
「入れ」
「失礼します。」
入った先には、父である国王陛下、母である王妃殿下、兄である王太子殿下、第二王子殿下、姉である第一王女殿下、第二王女殿下がいた。
今までに彼らとお会いしたことは無いし、名前も知らないし、教えていただいた事もない。構成はさすがに乳母に教えてもらったけど…。
「はじめまして、レオンハルトと申します。お呼びいただきありがとうございました。」
ぼくは臣下の礼をして彼らに挨拶をした。
「ああ、確認するためにお前を呼んだ。
魔法は使えるようになったのか?」
陛下は、ぼくを睨み付けながら聞いてきた。
「いえ、使えていません……。」
「ぶはっ、くくくっ、まじか!ありえねー!アハハハハ!」
「ふふっ、お兄様、笑ってしまってはいけませんわ。クスクス。」
「父様、こんなクズ殺してしまいましょうよ。てか、なんで産まれてすぐ殺さなかったんですか?」
「お前を産んで、私は周りの者に笑われたのよ、なんとかしようと努力しなかったの!!?」
「勉強はしました。離れにあった本は全て読みました。ですが、使えるようにはなりませんでした。
申し訳ありませんでした…。」
陛下の質問に答えたら、王子殿下、王女殿下達に笑われ、王妃様には怒鳴られた。
ぼくは俯いて謝るしか出来なかった…。
「もうよい。お前を除籍する。」
「っ、待ってください。必ず使えるようになってみせますから!」
「もう待った。10年もな。」
「っ、(ぼくは、12歳です…っ、)」
「もう二度とワシらの前に姿を現すな。お前はもうワシの子ではない。この国から出て平民として生きていけ。」
「あなた!やっとなのですね!嬉しいです!」
「父様、優しすぎですよ。平民にするなんて。使えないクズなんだから殺しちゃえばいいじゃん。なんで殺さないの?」
「お前は、いつもそうだな。」
「兄様。だって、使えないのはいらないでしょ?」
「まあ、そうだな。だが考えてもみろ。
こいつを殺して、もし外にその情報が漏れたら俺らは家族殺しって言われるんだぞ。
だったら、除籍して国追い出した方が俺たちに損は無い。国を出てから死んだ場合はこっちの責任にならないからな。」
「なるほど、兄様はさすがですね。
父様、では追い出すのは魔の森がいいんではないですか?」
「何故だ?」
「秘密裏に追い出せるし、もし死んでも、魔物に襲われたってこっちが言えるから。それに、母様の事ずっと苦しめてたのに、
『平民として幸せに暮らしました。』はイライラする。」
「そうだな。衛兵!」
「「は!」」
「こいつを魔の森に捨ててこい。」
「かしこまりました。」
「………。」
ぼくは、ずっと俯いて元家族の話を聞いていた。
衛兵に囲まれて、逃げられないようにか、両腕を捕まれ罪人のように謁見の間を連れ出された。
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