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オオカミさんの正体
しおりを挟む「…というわけで、ソウと番になることにしたんだ。母さん、父さん」
「あらあらまあまあ!ぜひよろしくお願いしますっていうか、本当にこの子で良かったの?王子様」
「へ?母さん。いくらソウがかっこいいからって、王子様は違うでしょ」
「あら?リタはこの国の王子様の顔を知らないの?というか、5歳の時にお会いしているじゃないの。面識ならあるわよ?」
「………へ?」
僕は驚きすぎて、一瞬意識が飛んだかと思った。
「えぇっ!!ソウって、王子様だったの?!」
「あぁ…そうだな。私はこの国の王子、ソウルダット・ガルシアだ。名乗るのが遅くなってしまったな」
「本名そんな王子様っぽい名前だったの?!」
「ぽいっていうか…本物だね」
「あはは…」
ソウの正体に驚き、疑問は尽きない。
「あ、そういえば。5歳のとき僕たち会った時って言ってたけど、いつの話?」
「それはね、この国の5歳児が一斉に集まるお祭り、【桜まつり】での事よ」
「あ~!お祭りかぁ。たしかに、平民と王子様が顔を合わせる機会っていったら、その位だよね」
「そうねぇ。その時に、王子様がハンカチを落として拾ったのがリタ、あなただったのよ」
「?ハンカチなんかで、どうして僕を…」
その日を思い出してくすぐったく微笑むと、ソウは言った。
「…それは、内緒だ。」
「内緒!?なんで?!」
「それも内緒だ」
「えぇ!内緒ばっかりじゃん。僕たち、番になるのにな~」
「っそれを引き合いに出してくるのはずるいだろう!」
「あはは…へ?」
笑っていたら急にソウが真剣な顔をしてこちらを向いたので、間抜けな声が出てしまった。
「リタ。私と共に学園に通ってはくれまいか」
「なんで?」
「王妃となるため人脈を得ておく必要があるのだ。」
「あぁ~。父さん、母さん、いい?」
「あぁ、いいわよ」
「いいぞ」
軽~く学園に通うことを決定してしまった家族に何を思ったのか、ソウは少し固まった。
「……。いいのですか。」
「ええ。いいわよ!それに、なんやかんや言ってたけど、ソウルダット様はリタを皆に見せびらかしたいのでしょう?たくさん牽制しておきなさいっ!」
「バレていたのですね。さすがはルージュ様」
「そんなの、お手のもんよ?なんでもお見通しだわ」
「……え、ルージュ、さま?」
なんで王子が母さんに様付け??
「あれ?ルージュ様、伝えてないのですか?」
「ええ、出来るだけ大変な思いはさせたくないからね~。でも、ソウルダット様と再会したし、学校にも通うようだからどうせ伝わっちゃうかしら?」
「え?大変な思いってどういうこと?」
「……リタ。私実は、隣国の王妹なの。今まで騙しててごめんね」
「っえぇ!!母さんが?!」
ってことは僕は王に血の繋がってる子供?!
母さんがいうには、今まで家を空けることが沢山あったのは、隣国の実家に帰省してお仕事のお手伝いをしていたからなんだって。しかも僕がお買い物に行く時はこっそりと護衛がついていたのだとか。なんで気づかなかったんだろ。不思議。
そして結局、それからいくら聞いても、なぜハンカチが僕とソウの運命の糸になったのかは教えてくれなかったものの、ソウは終始幸せそうだった。
♡♡♡♡♡♡
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