愛しい番はいつも僕の傍に居たらしい

こんぶ

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プロローグ

神様は過保護 sideシルビー

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俺の大好きな人、佐藤大輝はとても無防備だ。俺が、大輝の祖父に『あいつは危なっかしいから守ってやってくれ』と言われるくらいには。

大輝は、男に性的な目で見られている事に気がついていない。ツヤツヤな髪の毛に大きな瞳。見てしまえば一瞬で男達を虜にする笑顔。俺も虜にされた男のうちの一人だ。が、大輝の祖父に『大輝の護衛』として大輝のそばにいる事を許されているのだ。

大輝は性行為を知らない為、性的に襲われても過度なスキンシップとしか捉えない。だから、俺が守ってやるんだ、どんな奴からも、どんな事からも…

そう思っていた矢先に、事件は起きた。
高校の入学式後、大輝と歩いていた時のこと。大輝の百面相が可愛くて見入ってしまい、こちらへ向かってきている車に気付くのが遅くなり、大輝と共に轢かれた。

と思ったら、白い空間にいた。
そこには大輝の祖父がいて、とても呆れたような顔をしていた。

「大輝を守るという約束、破ってしまい申し訳ございませんでした」

俺が土下座をしながらそう言うと、ため息が聞こえ顔を上げる。

「もうよい」

呆れた声。なんとか挽回したいが、もう術はない。

「いや、あるぞ」
「へ」
「私はあらゆる世界の創造主でな、お前を転生させることになっているんだ」
「…」
「それでな、もう一度お前に機会を与え、大輝のそばに転生させる事にした。大輝の命は断たれても魂が壊れたわけではないからそこに関してはあまり怒っていない。しかし、お前は大輝に好意を抱いていると言うのに当の本人には全く気づかれず…とても不憫だったからな」
「俺が大輝に好意を抱いていた事…気づいていたのですか」
「ああ。勿論、大樹の護衛は継続だぞ?それでな、大輝をより守れるように加護を与えることにしたのだ。大輝にも勿論与えるつもりではあるが、心配だからな」
「有難うございます」
「大輝の転生先は第四王子のティーニー。ゲームの中では悪役で嫌われ者ではあるが、まあ、大輝の性格ならみんなに嫌われる事はないだろう。誰よりも人の悪意を知らない奴だからな。大輝は、お前よりも7年後に転生してくる。それまでに鍛えてな」
「はい!!」

俺が転生した先は伯爵家の五男、シルビーだった。よく大輝の姉に『シルビーに似てる』と言われ絵を見せられていたので、すぐに分かった。
大輝の転生するティーニーの三人の兄達は、それぞれ1歳差ずつでティーニーだけ大分年が離れていると言う感じだ。第三皇子が俺と同い年だ。

俺の生まれた伯爵家は大騎士一族と呼ばれ、男は皆騎士に、女も騎士関連の職業についている。強制ではないのに、何故か皆そうなるらしい。
そんなところに生まれた俺は王族との交流が多く、ティーニーを守るのに最適なところに生まれたんだなと思った。王宮騎士とか、護衛騎士とかがいるし。神がそう仕向けてくれたんだろう。
ティーニーの兄達は目が死んでいて、これからこの国は、大輝は大丈夫なのか心配になったが、大輝が生まれると目に光が宿り安心した。しかし、近親婚&同性婚が許されているこの国ではティーニーは兄達からも襲われる可能性は十分にある為、逆に不安材料が増えたようにも感じた。







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