上 下
19 / 23

サブの幼なじみ

しおりを挟む


お兄ちゃんたちと(強引に)別れて少し経ってから。

視線を多く感じ少し恥ずかしくなってきたので手を離そうとすると強く握られた。


「ふぇ?」
「まだ、繋いでいよう…」
「なんで?」
「…何かあるといけないから」
「わかった!」

多分、僕を心配してくれているのだろう。優しいな。


そこからまたしばらく歩き、たくさんの人に声がかけられる中、一際目立つドアが見えてきた。

「あそこだ」
「へぇ!すごい豪華だね」
「そうか?」

そういうサブは少し照れていて可愛い。  

ドアの前に、誰か立っていた。騎士の人たちとはオーラが違う。誰だろう?

「遅かったな」
「すまん、沢山声をかけられてな」
「…ああ、その子がいたからかな?いつもは声掛けられないもんな」
「そ、そんなこと…ないぞ」

目を泳がせている。可愛い。と思っていたら、キラキラしている、サブとは違う系統のイケメンがこちらを向いた。

「こんにちは、僕は王太子のグレー。サブレッドからはグレーって呼ばれてるから、君もそう呼んでくれると嬉しいな」


ーーーーぇぇええええ!!


僕に会わせたい人って…まさかの王子様?!

そんなの予想だにしていなかった僕は、失礼だけど焦ってついサブに隠れてしまった。

「あらあら、警戒されてるねぇ」
「グレーが胡散臭いからだろう」
「なにそれ酷くない?!」


そしてグレー様に、まさしく友達見たく喋るサブは心が強い。僕だったら、そんなことしたら、緊張とかその他諸々で失神してしまいそう。

「アル、コイツは胡散臭いけど良い奴なんだ」
「えと、こんにちは…ぐれー様」
「へぇ!声かわいい!それにサブレッドってこういう子がタイプだったんだね!」
「…そうだが」
「意外だなぁ~。だって昔は、一目惚れした人がかっこよかったって報告してきたくせに~」
「それは関係ないだろう」
「またまた~」

僕はこの会話を聞いて胸が苦しくなった。僕が知らないサブのことを知っているんだなとか、サブはかっこいい人がタイプなのかとか考えたら…泣きそうになる。


それを隠して、頑張って抑えた。


「そういえばアルくんってライリーっていう子と知り合いだったよね?」
「幼なじみです、お兄ちゃんがどうしましたか?」
「実は、僕の弟はお兄ちゃんの恋人なんだよ」
「っええええええ?!」

まさかの爆弾。今日1番驚いたかもしれない。しかも、グレー様の弟と言ったら…この国の第二王子?!
どこに接点があったの?!

「びっくりだよね、アイツに恋人ができたなんて知って、僕も驚いたよ。あ、僕の弟はイリスって言うんだけど。ライリーと出会うまで何にも興味がなくて、いつもつまらなそうだった。だから、感謝してもしきれないんだよね」
「お兄ちゃんが…そんな大役を」

そんな大役をお兄ちゃんがしていたとは!今度問いたださなくてはいけなくなっちゃった。

「教えてくれてありがとうございます!」

全力の笑顔で感謝を伝える。すると、顔に影ができた。見ると、サブの手だとわかった。 

「えっ」
「見るな」
「めっちゃ可愛いんだけど!何その天使みたいな笑顔!アルくん、王城にいつでも来ていいからね、ていうか来てね。多分ライリーもいると思うから。」 
「え?お兄ちゃんはあの王都の家に住んでるんじゃ…」
「イリスは独占欲が強いから、明日からライリーを王城に住ませると言っていたんだ。王都だと遠いし、寮だと、他の男たちもいるから嫌なんだって」
「へぇ!お兄ちゃんそんなに凄いことになってたんだ…」
「そう、だから、お兄ちゃんに会うためにも是非来てね」 
「よろこんで!」
「その時は俺も行くからな」 
「えぇっー!」
「なんだその反応」
「っへへ」
「っまた笑った!かわいいよぉ」
「キモイぞお前」

そこからなんやかんやあって、サブの家へと戻った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

愛され悪役令息のセクハラ日記

ミクリ21 (新)
BL
皆に愛されている悪役令息が、主人公や攻略対象達にセクハラする日記の話。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

大学生はバックヤードで

リリーブルー
BL
大学生がクラブのバックヤードにつれこまれ初体験にあえぐ。

王太子が護衛に組み敷かれるのは日常

ミクリ21 (新)
BL
王太子が護衛に抱かれる話。

王道にはしたくないので

八瑠璃
BL
国中殆どの金持ちの子息のみが通う、小中高一貫の超名門マンモス校〈朱鷺学園〉 幼少の頃からそこに通い、能力を高め他を率いてきた生徒会長こと鷹官 仁。前世知識から得た何れ来るとも知れぬ転校生に、平穏な日々と将来を潰されない為に日々努力を怠らず理想の会長となるべく努めてきた仁だったが、少々やり過ぎなせいでいつの間にか大変なことになっていた_____。 これは、やりすぎちまった超絶カリスマ生徒会長とそんな彼の周囲のお話である。

パパの雄っぱいが大好き過ぎて23歳息子は未だに乳離れできません!父だけに!

ミクリ21
BL
乳と父をかけてます。

愛され末っ子

西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。 リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。 (お知らせは本編で行います。) ******** 上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます! 上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、 上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。 上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的 上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン 上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。 てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。 (特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。 琉架の従者 遼(はる)琉架の10歳上 理斗の従者 蘭(らん)理斗の10歳上 その他の従者は後々出します。 虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。 前半、BL要素少なめです。 この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。 できないな、と悟ったらこの文は消します。 ※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。 皆様にとって最高の作品になりますように。 ※作者の近況状況欄は要チェックです! 西条ネア

処理中です...