天使と言われている僕は公爵家のメイドになります。

こんぶ

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頭皮が弱いのか?* sideウェン

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屋敷の風呂で髪を洗っていた時、扉が開く音がした。
一瞬侵入者かと疑ったが、声をかけると直ぐに誰なのかわかった。

「なぜここにいるんだ?」
「それは……ベンさんに風呂に入ってって言われたから」
「そういう事か……(ベン、俺たちは付き合ってもないのだがな……。気を使ってくれたのだと思うが)」
「?そういうことって?」
「いや、なんでもない。」
「あ!僕邪魔なら出てるから!」

俺に良い人がいないことをいつも心配していたベン。それはありがたいことなのだが、如何せんその心配が行過ぎることがある。まだ恋人でないのに、好きな人と風呂を共にするなど、どんな拷問か。
そんな考えから少し渋い顔をしていたら、それをアルは勘違いしたようで。つい、大声を上げてしまった。

「待って!!」
「?!」
「すまん、一緒に入ろう」
「うん!」

よかった、共に入ってくれるみたいだ。


♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜


アルには使用人だと伝えてあるが、アルは使用人の扱いを受けない。俺はアルが使用人と少し話している隙に、マスクエルに伝えておいたのだ。「アルは、婚約者として扱うように」と。その時に「まだ付き合っていない」とも言っておいたのだがな…。勿論、アルの気持ちを優先させるため無理強いはしない。諦めるつもりもないが。

アルが隣の椅子に座る。もしかして、シャンプーの出し方がわからないのか?焦っているのか、わちゃわちゃしているのが可愛い。たしか、平民は石鹸を使うらしいから、無理もない。説明不足だったな。

「サブ、これ、どうすれば出てくるの?」
「ああ、村と違ったりするのか」
「うん、教えてください!」
「勿論だ」

アルの背後に行き、抱き込むようにボトルに手を伸ばした。一挙一動に反応するアルがとても可愛い。石鹸の出し方がわかった時の顔の輝き、可愛すぎて誰にも見せたくないな。

アルは照れくさいのか、赤くなる顔を俯けている。

頭を洗うため、シャンプーを泡立てる。それをアルがこっそり見てて、堂々とみていいのにと思う。けれど、泡立てているところを見てから、蕩けた顔をして目をそらすのは反則だと思う。そんな反応されたら、こっちまで意識してしまうでは無いか、今まで頑張って意識を向けないようにしてきたのに……。

そう思い始めたら、泡立てる音でさえ卑猥に聞こえてしまうのだから仕方がない。

「ん……」
「っ」

アルの繊細な髪に触れるため、優しく手を置く。それに反応したのか、アルが少し声を出した。風呂では声が反響するので、頭によく響く。なんて愛らしい声なんだ。不意に漏れる声でさえ天使のようだ。

「あっ、そこ、きもちぃ……////」
「っ!ん、それは良かった」

こんなこと言ってくるものだから、動揺してしまった。鏡越しにわかるが、アルの蕩けた目は犯罪級にえろい。誰でも、一目見たら襲いかかってしまうだろう。俺も臨戦状態だ。

声が出るのが恥ずかしいのか、下唇を甘く噛み耐えている。涙目で可愛い。咄嗟に身をよじったアルの姿は、とてもそそる。

「ん、んぅ……」
「気持ちいいのか?」
「ぅん……もっとしてぇ」

髪を洗っているだけなのに、好きな子は裸だし、いやらしい声を出しているので、脳が勘違いしてしまいそうになる。そんな時、鏡越しに見ていたアルが急に後ろを振り向くものだから、近くで見たとろけ顔に困惑してしまった。意識していることがバレただろうか?しかも、今も変わらず臨戦状態なを見せないように手など使って必死に隠す。
隠しきれてはいないのだが、アルは気にしていないようだったのでいいのだろうか。それはそれで複雑な思いがあるが。
そう思いながら、頭の泡を洗い流し、アルの体を洗い終える。



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