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噂の村 sideウェン
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アルの住んでいる村に着いた。薄々勘づいてはいたが、本当にこの村に住んでいたなんて。
この村は、国で、いや世界で一番強いとされている村だ。大昔、神の右腕とされている天使が舞い降りていちばん強い村に加護を付けるといい、優勝したのがこの村だったのだとか。そういう噂が絶えないのがこの村である。同じ国のものとしてとても誇らしい。
♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜
村でいちばん強いというおじいさんが出てきた。腰が曲がりすぎて顔が地に着こうとしている。どれだけ曲がっているのだろうか。
「この人は今年で丁度二百歳だ」
「にっ?!?!」
は?そんなの有り得ない。いや、有り得るのか?この村では。この世界での平均寿命は百歳だ。しかし、加護を持っているこの村では違うのか?
そう思っている間にはじまりの合図が出された。
っ速い!
どう考えても200の者が出す速さではない。しかし、遅れを取っている訳には行かない。あ、もちろん真剣ではない。当たったら大怪我では済まないしな。
足を踏み出し、おじいさんの懐に入る。おじいさんの隙ができ、今だ!そう思った瞬間。
剣がいきなり降ってきた。隠れているところで仕掛けたのだろう。とても速くて、避けても鼻を少し掠った。どうしてこんなに強いんだ?
侮っていた?この国では俺に負ける者はほとんど居ないほどに強くなった自信があった。しかし初心を忘れて、いい気になっていたのか。
初心を思い出させてくれてありがとう。でも、アルにカッコ悪いところを見せる訳には行かないよ。そう思ったら、自然と力が湧いてきた。
もう少し戦っていたら危なかったが、ようやく勝つことが出来た。本当になんなんだこの村は。凄すぎる……。
♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜
試合が終わり、アルと村の老人たちが戯れている間にアルのお母様にこの村について聞いてみた。
「この村での最強はアルだよ」
「ではなんで私はあのおじいさんと戦ったのですか……?あのおじいさんは一番では無いのですか?」
「アルが認めないからさ。この村で加護を引き継いだのはアルだ。加護は一人にしか付けられず、他の人はアルの放つ影響で強くなったり長生きになったりするんだよ。アル以外はほとんど同じ強さ。だから、一番年齢のいっている、即ち一番アルの加護の影響を受けている者がいちばん強いものにしようとなったのだ」
「それで……じゃあ、私がアルと戦ったら……?」
「間違いなく負けるね。だって、あの爺さんにいい勝負だったでは無いか。」
そうなのか。アルは……強いのか。凄いな、あの子はいつも想像の上を行く。
♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜
sideアルの母
あの子は、とんでもない人を連れてきた。あのおじいさんと同じレベルの強さとなると……隣の帝国ぐらい軽く吹き飛ばせるぐらいの強さだ。
この村の人達はそのくらいの強さがある。そしてアル。加護者は、本気を出せば世界だって滅ぼせてしまうのだ。だから、加護はいつだってそんな事をしない、心の優しき者に与えられた。心の穢れている者が継承したら、危うく魔王になってしまうから。
そしてアルは顔がいい。毎回、加護がつくと顔も可愛くなると決まっている。それは神様が可愛い子好きなのかもしれないと思っている。
前回の加護者が誘拐され、凌辱されかけたことがあったのだ。それ以来、村のものは互いに力をつけあい剣術を習得した。
そんなこともあって、アルがいつ誘拐されてしまうかとかで、人知れず夜な夜な泣いてしまうことがあり、パパに慰めてもらうことがよくあったのだ。
だから、騎士様がアルを迎えに来てくれたのがとても嬉しい。アルを守ってくれる王子様が現れてくれて嬉しい。あの騎士様のアルを見る目は……絶対に恋している目だ。
アルの騎士様を見る目も、いつもベタベタくっついていたお兄ちゃんを見る目とは違う、恋する乙女みたいな目だ。
アルは鈍感だからくっつくのは遅いかもしれないけど、お母さん応援してるから。村のみんなはそんなこと知ったら戦いを挑もうとしてくるかもしれないけど、まあ、頑張って欲しい。神様、あの二人をどうか見守ってあげてくださいな。
この村は、国で、いや世界で一番強いとされている村だ。大昔、神の右腕とされている天使が舞い降りていちばん強い村に加護を付けるといい、優勝したのがこの村だったのだとか。そういう噂が絶えないのがこの村である。同じ国のものとしてとても誇らしい。
♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜
村でいちばん強いというおじいさんが出てきた。腰が曲がりすぎて顔が地に着こうとしている。どれだけ曲がっているのだろうか。
「この人は今年で丁度二百歳だ」
「にっ?!?!」
は?そんなの有り得ない。いや、有り得るのか?この村では。この世界での平均寿命は百歳だ。しかし、加護を持っているこの村では違うのか?
そう思っている間にはじまりの合図が出された。
っ速い!
どう考えても200の者が出す速さではない。しかし、遅れを取っている訳には行かない。あ、もちろん真剣ではない。当たったら大怪我では済まないしな。
足を踏み出し、おじいさんの懐に入る。おじいさんの隙ができ、今だ!そう思った瞬間。
剣がいきなり降ってきた。隠れているところで仕掛けたのだろう。とても速くて、避けても鼻を少し掠った。どうしてこんなに強いんだ?
侮っていた?この国では俺に負ける者はほとんど居ないほどに強くなった自信があった。しかし初心を忘れて、いい気になっていたのか。
初心を思い出させてくれてありがとう。でも、アルにカッコ悪いところを見せる訳には行かないよ。そう思ったら、自然と力が湧いてきた。
もう少し戦っていたら危なかったが、ようやく勝つことが出来た。本当になんなんだこの村は。凄すぎる……。
♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜
試合が終わり、アルと村の老人たちが戯れている間にアルのお母様にこの村について聞いてみた。
「この村での最強はアルだよ」
「ではなんで私はあのおじいさんと戦ったのですか……?あのおじいさんは一番では無いのですか?」
「アルが認めないからさ。この村で加護を引き継いだのはアルだ。加護は一人にしか付けられず、他の人はアルの放つ影響で強くなったり長生きになったりするんだよ。アル以外はほとんど同じ強さ。だから、一番年齢のいっている、即ち一番アルの加護の影響を受けている者がいちばん強いものにしようとなったのだ」
「それで……じゃあ、私がアルと戦ったら……?」
「間違いなく負けるね。だって、あの爺さんにいい勝負だったでは無いか。」
そうなのか。アルは……強いのか。凄いな、あの子はいつも想像の上を行く。
♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜
sideアルの母
あの子は、とんでもない人を連れてきた。あのおじいさんと同じレベルの強さとなると……隣の帝国ぐらい軽く吹き飛ばせるぐらいの強さだ。
この村の人達はそのくらいの強さがある。そしてアル。加護者は、本気を出せば世界だって滅ぼせてしまうのだ。だから、加護はいつだってそんな事をしない、心の優しき者に与えられた。心の穢れている者が継承したら、危うく魔王になってしまうから。
そしてアルは顔がいい。毎回、加護がつくと顔も可愛くなると決まっている。それは神様が可愛い子好きなのかもしれないと思っている。
前回の加護者が誘拐され、凌辱されかけたことがあったのだ。それ以来、村のものは互いに力をつけあい剣術を習得した。
そんなこともあって、アルがいつ誘拐されてしまうかとかで、人知れず夜な夜な泣いてしまうことがあり、パパに慰めてもらうことがよくあったのだ。
だから、騎士様がアルを迎えに来てくれたのがとても嬉しい。アルを守ってくれる王子様が現れてくれて嬉しい。あの騎士様のアルを見る目は……絶対に恋している目だ。
アルの騎士様を見る目も、いつもベタベタくっついていたお兄ちゃんを見る目とは違う、恋する乙女みたいな目だ。
アルは鈍感だからくっつくのは遅いかもしれないけど、お母さん応援してるから。村のみんなはそんなこと知ったら戦いを挑もうとしてくるかもしれないけど、まあ、頑張って欲しい。神様、あの二人をどうか見守ってあげてくださいな。
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