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再び会う sideウェン
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その10年後。俺は、十八歳になった。案の定、アルも同い年だった。手紙を通して、どんどんアルへの想いが強くなっていった。少し幼い見た目をしているから、年下だったらどうしよう、気軽に手が出せないなと思っていたから、そうわかった時はすごく嬉しかった。
俺は、騎士団に無事入り、そして、団長にもなることが出来た。騎士団に入ることすら難しいだろうと思っていたから、合格だった時は珍しく泣いてしまったな。
騎士になることが出来たのは、アルのおかげだと思ってる。あの日、自分の危険よりも俺の助けを優先してくれて、大人に立ち向かってくれた姿。それを見て、俺がどうして騎士になりたかったのか再確認されられたんだ。
本当に感謝してる。それからは、今までよりもっと鍛錬に集中することが出来た。隙あらば素振りをする。勉強の休憩時間には特にやった。その甲斐があってか、お兄様にも勝負で勝てるようになった。
それを知ったお父様は、俺を騎士団に推薦してくれた。お兄様も、騎士にならずに、公爵家の後継として頑張りたかったようで、めっちゃ応援してくれた。正直、ライバルだと思ってたから、嬉しかった。
♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜
そして王国祭の日が来た。俺は王族の護衛ではなく祭りの警備に回っている。そんなことは無いが、アルがいたらと思うと気が気でなくて。
俺が騎士になった時、手紙上でも分かるほど驚き、嬉しそうにしてくれて嬉しかったのを覚えている。
王族の相手をしていて祭りの警備の位置に遅れてしまい、急いで走っていた。実は、王太子……グレーとの話が長引いてしまったのだ。しかも、アルの可愛さについて長らく語ってきたこともあってアルに興味津々なのだ。
ようやく警備場所に着きそうだ思ったその時、アルの声と思われる叫び声が聞こえてきた。10年間ずっとあっていなかったけど、分かる。
あの路地裏だろうか。俺の愛しいアルに何をするんだ。
走って路地裏に向かうと、そこにはキスされそうになっているアルの姿が。
久しぶりに会えたのは嬉しいので舞い上がりたいのだが、今はそのときでは無い。
アルにキスしようとしていたチャラ男は軽く殴り、アルに向き合ったのだが、俺が誰だかわかっていないようだった。
「っ大丈夫か?!」
「ーーーっああ!どうもありがとうございます!」
「うん、よかった。それより、怪我はないか?」
「特には……あっあの、僕用事あるので、これで失礼します!本当にありがとうございました!」
「はっ?用事ってなんだ?」
「えっ……えっとぉ、……(ウェンを見に来たとは言いづらいな。なんかストーカーみたいだし)……騎士様を見に来ました。」
「そうか……」
嘘をついているのがわかる。昔も今も、嘘をつく時に相手の顔を伺うようにする癖は治っていないようだ。そして俺のことがわかっていない。少し寂しいが、これはまたとないチャンスだ。「泣き虫のウェン」ではなく、「騎士団長のサブ」として、アルを惚れさせてみたい。
「騎士をみて、どう思った?」
「えっと、素直にかっこよくて素敵だと思います。そういえば、お名前はなんというのですか?」
「……サブと呼んでほしい。それと、敬語も無しがいい」
「わかりました……じゃなくて、わかった!」
「ありがとう」
首を傾げてこっちを見上げる姿が愛おしい。俺よりもだいぶ小さい(20センチ位差がある)から、自然と上目遣いになるのが良い。
しかも、昔も可愛かったけど……こう、なんて言うんだろう……。色気がついたというか。エロい。スラっと伸びる手足は艶めかしく、素で赤く染っている頬。タレ目でとろんとしている瞳や、プルンとしているピンク色の唇は、閨を想像してしまう。それに、アルは綺麗なタマゴ肌だ。モチモチ触りたくなってしまう。
10年はとても長かった。手紙でしかやり取りできず、とても、ヤキモキしていたのだ。
だから、いま伝えてみる。
「アル、今仕事に就いていないのだったら、俺の使用人になってみないか?」
「へ?」
俺は、騎士団に無事入り、そして、団長にもなることが出来た。騎士団に入ることすら難しいだろうと思っていたから、合格だった時は珍しく泣いてしまったな。
騎士になることが出来たのは、アルのおかげだと思ってる。あの日、自分の危険よりも俺の助けを優先してくれて、大人に立ち向かってくれた姿。それを見て、俺がどうして騎士になりたかったのか再確認されられたんだ。
本当に感謝してる。それからは、今までよりもっと鍛錬に集中することが出来た。隙あらば素振りをする。勉強の休憩時間には特にやった。その甲斐があってか、お兄様にも勝負で勝てるようになった。
それを知ったお父様は、俺を騎士団に推薦してくれた。お兄様も、騎士にならずに、公爵家の後継として頑張りたかったようで、めっちゃ応援してくれた。正直、ライバルだと思ってたから、嬉しかった。
♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜
そして王国祭の日が来た。俺は王族の護衛ではなく祭りの警備に回っている。そんなことは無いが、アルがいたらと思うと気が気でなくて。
俺が騎士になった時、手紙上でも分かるほど驚き、嬉しそうにしてくれて嬉しかったのを覚えている。
王族の相手をしていて祭りの警備の位置に遅れてしまい、急いで走っていた。実は、王太子……グレーとの話が長引いてしまったのだ。しかも、アルの可愛さについて長らく語ってきたこともあってアルに興味津々なのだ。
ようやく警備場所に着きそうだ思ったその時、アルの声と思われる叫び声が聞こえてきた。10年間ずっとあっていなかったけど、分かる。
あの路地裏だろうか。俺の愛しいアルに何をするんだ。
走って路地裏に向かうと、そこにはキスされそうになっているアルの姿が。
久しぶりに会えたのは嬉しいので舞い上がりたいのだが、今はそのときでは無い。
アルにキスしようとしていたチャラ男は軽く殴り、アルに向き合ったのだが、俺が誰だかわかっていないようだった。
「っ大丈夫か?!」
「ーーーっああ!どうもありがとうございます!」
「うん、よかった。それより、怪我はないか?」
「特には……あっあの、僕用事あるので、これで失礼します!本当にありがとうございました!」
「はっ?用事ってなんだ?」
「えっ……えっとぉ、……(ウェンを見に来たとは言いづらいな。なんかストーカーみたいだし)……騎士様を見に来ました。」
「そうか……」
嘘をついているのがわかる。昔も今も、嘘をつく時に相手の顔を伺うようにする癖は治っていないようだ。そして俺のことがわかっていない。少し寂しいが、これはまたとないチャンスだ。「泣き虫のウェン」ではなく、「騎士団長のサブ」として、アルを惚れさせてみたい。
「騎士をみて、どう思った?」
「えっと、素直にかっこよくて素敵だと思います。そういえば、お名前はなんというのですか?」
「……サブと呼んでほしい。それと、敬語も無しがいい」
「わかりました……じゃなくて、わかった!」
「ありがとう」
首を傾げてこっちを見上げる姿が愛おしい。俺よりもだいぶ小さい(20センチ位差がある)から、自然と上目遣いになるのが良い。
しかも、昔も可愛かったけど……こう、なんて言うんだろう……。色気がついたというか。エロい。スラっと伸びる手足は艶めかしく、素で赤く染っている頬。タレ目でとろんとしている瞳や、プルンとしているピンク色の唇は、閨を想像してしまう。それに、アルは綺麗なタマゴ肌だ。モチモチ触りたくなってしまう。
10年はとても長かった。手紙でしかやり取りできず、とても、ヤキモキしていたのだ。
だから、いま伝えてみる。
「アル、今仕事に就いていないのだったら、俺の使用人になってみないか?」
「へ?」
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