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助けてくれた子 sideウェン
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僕は、騎士団長の息子だ。
でも、とても弱い。憧れの騎士になるため、日々鍛錬しているんだ。朝お父様や使用人よりも早く起きて、ランニングをしたり素振りをしたり……。
それでも、身につかない。僕は神に見捨てられたのか、そう思ってしまうほどだった。
しかし、頭は良いんだ。家庭教師から教えられたことはスルスルと頭に入っていく。
そんな僕だから、お父さんにも文官にでもなれと言われる始末。お兄様は騎士様に向いているほどの、団長にすらなれるほどの実力があるのに。僕はお兄様よりも多く体を動かしていると思う。なのになんでこんなにも差があるのだろう?
♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜
そして、王国祭。この日は、僕にとってとても大好きな日だ。
なぜなら、憧れの騎士様が沢山いるから。王族を守るため、辺りをキリッと見渡し、国民へのパフォーマンスも忘れない。とても、かっこいい。僕もこんな人になりたいけど、諦めた方がいいのかもしれない。そう思い始めていた。
……そんな僕は、お兄様とはぐれてしまったんだ。
さっきまでは一緒にいたのに、人混みに流されて気づいたら一人に。多分、護衛も僕を見失ったんだろう。
どうしよう、迷惑をかけてしまう。こんなんだから、騎士になれないんだと言われるんだよな……。
「……おい、そこの兄ちゃん?」
「……」
「おい?」
「……へっ?僕ですか」
「お前以外に誰がいるんだよ」
「いや、だって……」
「口答えなしだ!ちょっとこっち来い!」
「えぇ??」
そして連れていかれる。どこへ向かっているのだろう。僕はこの日豪華な服を着ていたから、お金目当てだったのだろう。
「……僕、お金もってないですよ?」
「今、だろ?親は沢山持ってるんだろうが」
「っ」
「ほら、図星だ」
僕の失態で僕が貴族だということがバレてしまった。いや、その前からもう気づいていたのかもしれないけど。
……こんなことになるなんて。もう、お父さんに見限られてしまうかもしれない。今だって呆れられているのに。
「ほら、はやくこい!!」
「いやっ!離して!!」
そう言っても聞いてくれるはずもなく、ついに僕は路地裏に連れてこられ、殴られそうになっていたその時だった──────。
「っぐぁ!!!」
潰れたような、男の声が響いた。怖くてつむっていた目を開けると、そこには僕と同じくらいの年齢であろう男の子がいた。
「大丈夫?」
そう言ってくれた優しい声、僕はその声に一目惚れした。いや、声だけじゃない。その子の容姿も、佇まいも、それに、僕を助けてくれたその強い心にも……。
そして、僕はその子と一緒に祭りをまわった。僕を助けてくれたときの凛々しくて美しかった表情とはうってかわり、とても愛らしい笑顔を綻ばす男の子。アルルというそうだ。そして、僕はアルと呼ぶことを許された。
アルとは、ここだけの関係で終わらせたくない。そう思って、友達になりたい、そう言ってみた。
すると、
「?もう友達じゃないの??」
と、心底不思議そうに言われた。そうだ、もう友達だな。そう言って、何とか手紙をやり取りする約束をすることが出来た。家同士の距離が遠くて身分も違う為、軽々しく会うことが難しい。僕は、初めてもっと辺境に近いところに住みたかったなと思った。
でも、とても弱い。憧れの騎士になるため、日々鍛錬しているんだ。朝お父様や使用人よりも早く起きて、ランニングをしたり素振りをしたり……。
それでも、身につかない。僕は神に見捨てられたのか、そう思ってしまうほどだった。
しかし、頭は良いんだ。家庭教師から教えられたことはスルスルと頭に入っていく。
そんな僕だから、お父さんにも文官にでもなれと言われる始末。お兄様は騎士様に向いているほどの、団長にすらなれるほどの実力があるのに。僕はお兄様よりも多く体を動かしていると思う。なのになんでこんなにも差があるのだろう?
♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜
そして、王国祭。この日は、僕にとってとても大好きな日だ。
なぜなら、憧れの騎士様が沢山いるから。王族を守るため、辺りをキリッと見渡し、国民へのパフォーマンスも忘れない。とても、かっこいい。僕もこんな人になりたいけど、諦めた方がいいのかもしれない。そう思い始めていた。
……そんな僕は、お兄様とはぐれてしまったんだ。
さっきまでは一緒にいたのに、人混みに流されて気づいたら一人に。多分、護衛も僕を見失ったんだろう。
どうしよう、迷惑をかけてしまう。こんなんだから、騎士になれないんだと言われるんだよな……。
「……おい、そこの兄ちゃん?」
「……」
「おい?」
「……へっ?僕ですか」
「お前以外に誰がいるんだよ」
「いや、だって……」
「口答えなしだ!ちょっとこっち来い!」
「えぇ??」
そして連れていかれる。どこへ向かっているのだろう。僕はこの日豪華な服を着ていたから、お金目当てだったのだろう。
「……僕、お金もってないですよ?」
「今、だろ?親は沢山持ってるんだろうが」
「っ」
「ほら、図星だ」
僕の失態で僕が貴族だということがバレてしまった。いや、その前からもう気づいていたのかもしれないけど。
……こんなことになるなんて。もう、お父さんに見限られてしまうかもしれない。今だって呆れられているのに。
「ほら、はやくこい!!」
「いやっ!離して!!」
そう言っても聞いてくれるはずもなく、ついに僕は路地裏に連れてこられ、殴られそうになっていたその時だった──────。
「っぐぁ!!!」
潰れたような、男の声が響いた。怖くてつむっていた目を開けると、そこには僕と同じくらいの年齢であろう男の子がいた。
「大丈夫?」
そう言ってくれた優しい声、僕はその声に一目惚れした。いや、声だけじゃない。その子の容姿も、佇まいも、それに、僕を助けてくれたその強い心にも……。
そして、僕はその子と一緒に祭りをまわった。僕を助けてくれたときの凛々しくて美しかった表情とはうってかわり、とても愛らしい笑顔を綻ばす男の子。アルルというそうだ。そして、僕はアルと呼ぶことを許された。
アルとは、ここだけの関係で終わらせたくない。そう思って、友達になりたい、そう言ってみた。
すると、
「?もう友達じゃないの??」
と、心底不思議そうに言われた。そうだ、もう友達だな。そう言って、何とか手紙をやり取りする約束をすることが出来た。家同士の距離が遠くて身分も違う為、軽々しく会うことが難しい。僕は、初めてもっと辺境に近いところに住みたかったなと思った。
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