天使と言われている僕は公爵家のメイドになります。

こんぶ

文字の大きさ
上 下
7 / 23

助けてくれた子 sideウェン

しおりを挟む
僕は、騎士団長の息子だ。
でも、とても弱い。憧れの騎士になるため、日々鍛錬しているんだ。朝お父様や使用人よりも早く起きて、ランニングをしたり素振りをしたり……。
それでも、身につかない。僕は神に見捨てられたのか、そう思ってしまうほどだった。
しかし、頭は良いんだ。家庭教師から教えられたことはスルスルと頭に入っていく。
そんな僕だから、お父さんにも文官にでもなれと言われる始末。お兄様は騎士様に向いているほどの、団長にすらなれるほどの実力があるのに。僕はお兄様よりも多く体を動かしていると思う。なのになんでこんなにも差があるのだろう?



♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜



そして、王国祭。この日は、僕にとってとても大好きな日だ。
なぜなら、憧れの騎士様が沢山いるから。王族を守るため、辺りをキリッと見渡し、国民へのパフォーマンスも忘れない。とても、かっこいい。僕もこんな人になりたいけど、諦めた方がいいのかもしれない。そう思い始めていた。



……そんな僕は、お兄様とはぐれてしまったんだ。

さっきまでは一緒にいたのに、人混みに流されて気づいたら一人に。多分、護衛も僕を見失ったんだろう。
どうしよう、迷惑をかけてしまう。こんなんだから、騎士になれないんだと言われるんだよな……。



「……おい、そこの兄ちゃん?」
「……」
「おい?」
「……へっ?僕ですか」
「お前以外に誰がいるんだよ」
「いや、だって……」
「口答えなしだ!ちょっとこっち来い!」
「えぇ??」


そして連れていかれる。どこへ向かっているのだろう。僕はこの日豪華な服を着ていたから、お金目当てだったのだろう。

「……僕、お金もってないですよ?」
、だろ?親は沢山持ってるんだろうが」
「っ」
「ほら、図星だ」

僕の失態で僕が貴族だということがバレてしまった。いや、その前からもう気づいていたのかもしれないけど。

……こんなことになるなんて。もう、お父さんに見限られてしまうかもしれない。今だって呆れられているのに。


「ほら、はやくこい!!」
「いやっ!離して!!」


そう言っても聞いてくれるはずもなく、ついに僕は路地裏に連れてこられ、殴られそうになっていたその時だった──────。


「っぐぁ!!!」

潰れたような、男の声が響いた。怖くてつむっていた目を開けると、そこには僕と同じくらいの年齢であろう男の子がいた。

「大丈夫?」


そう言ってくれた優しい声、僕はその声に一目惚れした。いや、声だけじゃない。その子の容姿も、佇まいも、それに、僕を助けてくれたその強い心にも……。

そして、僕はその子と一緒に祭りをまわった。僕を助けてくれたときの凛々しくて美しかった表情とはうってかわり、とても愛らしい笑顔を綻ばす男の子。アルルというそうだ。そして、僕はと呼ぶことを許された。

アルとは、ここだけの関係で終わらせたくない。そう思って、友達になりたい、そう言ってみた。
すると、

「?もう友達じゃないの??」

と、心底不思議そうに言われた。そうだ、もう友達だな。そう言って、何とか手紙をやり取りする約束をすることが出来た。家同士の距離が遠くて身分も違う為、軽々しく会うことが難しい。僕は、初めてもっと辺境に近いところに住みたかったなと思った。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

目の前に色男が!早速ケツを狙ったら蹴られました。イイ……♡

ミクリ21
BL
色男に迫ったら蹴られた話。

家族になろうか

わこ
BL
金持ち若社長に可愛がられる少年の話。 かつて自サイトに載せていたお話です。 表紙画像はぱくたそ様(www.pakutaso.com)よりお借りしています。

陛下の失われしイチモツをみつけた者を妃とする!………え、ヤバいどうしよう!?

ミクリ21
BL
主人公がヤバいことしてしまいました。

匂いがいい俺の日常

とうふ
BL
高校1年になった俺の悩みは 匂いがいいこと。 今日も兄弟、同級生、先生etcに匂いを嗅がれて引っ付かれてしまう。やめろ。嗅ぐな。離れろ。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

処理中です...