天使と言われている僕は公爵家のメイドになります。

こんぶ

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悪い人たちの目的は……

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「……ほら、はやく金出せよ。こっちも穏便に済ませたいんだよ。な?」
「そーだそーだ!早く出さねぇとどうなるか分かってんのか?!」 
「や、やめて……ください!」

2つ目の、「分かってんのか?!」というセリフ辺りで男の子の腕を掴んだ悪い人。掴まれた少年は涙目になっている。怖いんだろう。早く助けないと!

でも、思うように足が動いてくれない。僕は何をしているんだ!なんのために今まで剣を教えて貰っていたんだ!

「おい!早く出せって言ってんのが聞こえねぇのかよ?!」
「っ」

ついに気を切らした悪い人が腕を上げた。少年は殴られると思ったのか目を瞑り俯いた。

理不尽な暴力は許せない!

「っなんだよ?!おまえ?!」
「ぼっ!暴力はダメです!」
「はぁ?!」
 
男が振り上げた腕を掴んだ。突然現れた僕に、当然のように首を傾げた男。まあ、そうだよね。こんな弱っちそうな体してる僕なんて警戒する余地もないもんね。
でもここでひるんじゃダメだ!

「そこの男の子離さないと……怒りますよ!」
「っぶは!なんだコイツ、全然覇気ねぇじゃねぇか!しかも……結構可愛い顔してるなぁ」
「そうだなぁ……おいお前、俺らに着いてくるんならコイツは離してやんよ、どうだ?」
「それなら、まぁ……なんて言うかバカヤローっ!」
「?!」
「僕のこと連れてって何をする気なのかは知んないけど犯罪はダメだ!!絶対犯罪起こしそうな気がするっ!!!」
「いや偏見っ!ってかコイツ生意気だなぁ!」

そう叫んだ男は僕に向かって腕を振るいあげた。
僕は護身用の短刀を懐から取り出した。お兄ちゃんに持っておいてって言われてたのがこんな所で役に立つなんて。

「うおっコイツ、ナイフ持ってやがるっ」
「危ねぇなっ!」
「こっちのセリフだっつうの!」

短刀に怯んだ男たちは手を止めた。その隙に裏に周り脱いだ上着を腕に絡ませた。二人は動けなくなる。

ついでに首を突いて気絶させた。

「あ、あの、ありがとう!名前なんて言うの?」
「僕はアルルっていいます!!」
「そうなんだ、僕のことはウェンって呼んで!」
「よろしくね、ウェン!」
「うん!助けてくれたお礼に何か奢るよ」
「えぇっ?!いいよ!そういう大事なものは大切にしないと。僕もさっきの人達みたいにたかるかもしれないからね。それなら、一緒にお祭り回ろうよ!」
「っ!うん!」

少し涙目の男の子は、嬉しそうに頷いた。悪い人たちのことを近くにいた騎士さんに伝えた後、彼の手を取りお兄ちゃんの元へ駆け出した。


♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜



「お兄ちゃん~!!ごめんね!どっか行っちゃって!」
「アルルっ!」
「おーアルルちゃん!どこいってたんだよ」 
「どこって……この子の所!」

悪い人を退治していたなんて言ったら、お兄ちゃん心配するだろうから言わない。

「ん?……どこかで見たことあるような…?」
「気のせいですって!…それより、騎士様ですか?」
「ああ、そうだよ。」
「かっこいいです!僕も、将来は騎士になろうと思ってて!」
「えぇ!そうなの?!頑張ってね!」

そう、この国で騎士になろうとしたらものすごい努力がいるんだ。なんてったって騎士団長が厳しいのだとか。

「えへへ、ありがとう。僕才能ないけど、お父さんが騎士だから」
「へぇー!ちなみに名前はなんて言うんだ?」
「オーウェン……サブレット、です」
「「!!!!!」」 
「サブレットって騎士団長の息子じゃないか!」
「えっ!そうなの?!」
「……うん、実はそうなんだ。騎士団長の息子がこんな弱くて、本当に情けないよ。お父様からも騎士になるのはやめて文官になれって言われてるし」
「はぁっ?!ダメだよ!将来の夢は誰かが決めていいものじゃない!」

しかも、さっきウェンが騎士になりたいって言った時の目、凄く輝いてた。騎士に憧れてるんだなって思ったんだ。
なのにお父さんの指図で辞めたりしたらだめだ!

「ウェン!人に言われて夢を変えられるほど軽い気持ちじゃないでしょう?だってさっき騎士になりたいって言った時の目凄く輝いてたもん!」
「うん、うん、そうだよね。夢は簡単に変えちゃダメなんだ!気づかせてくれてありがとう。さっきも思ったけど、アルルは強いね!あんなに大きくて怖そうな大人に立ち向かうなんて」
「ん?……?アルル本当はどこに行ってたんだ!!嘘をついただろう!」
「ひぃっ!」


そして先程倒した男たちは騎士に確保され、ついでに僕はきっちりと怒られたのだった。




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