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1章.薬師の名門ブレルスクに入学した私は…
10.教員が怒鳴るまで煽ります。
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想定外の事態が起こった。死んだ魚の様な目をして虚な返事ばかりだったオーディエンスのウケが、思ったより良い。
ここから退学コースはちょっと無理があるのではないだろうか?
「(トストストストス)…………ふ、ふむ………どうやら、礼儀知らずではあっても、無知では無かった様だな。」
教員は、複雑な表情に冷や汗を浮かべて教卓まで歩み寄って来た。
「教科書だけでなく、図書館の本もしっかりと読み込み、毎日の予習復習も欠かさなかった様だ。……私の狙い通りに。」
そして、相変わらず恩着せがましい物言いだ。
「だがきみ、目上の者への口の聞き方は家で学ばなかったのかね?そんな態度では出世出来ないよ?」
挙句、この後に及んで負け惜しみを………だが、丁度良い。利用させて貰うとしよう。
「あぁ、知ってるとも。敬意を向けるべき相手には使うさ。」
「………そうか。しかしそれでは、私が尊敬に値しないという意味に捉えられるのだが?」
「おいおい、せっかく包んだオブラートを剥がすなよな?私の優しさを無駄にしないでくれ。」
「(プチブチッ)」
何かの切れる音がした。もう一息か?
「そもそも、授業で負けた僻みが幼稚過ぎだとは思わないのか?都人なら、もっと気の利いたセリフの一つも言ってくれないと困るなぁ?」
「(パァンッ)」
「………」
おもいっきりビンタを喰らった。言うに事欠いてこれかよ。
「黙れ青二才がっ!!そもそも、若輩である筈の貴様が、何故ベテランたる私にそんな口を聞けるのだ!!」
唐突にブチギレて、捲し立ててくる。
「もっと目上を敬う事から学ぶべきではなかったのかね!!!?」
よしよし、良い兆候だ。
「アッハッハッハッ!!」
「な…何がおかしい!!」
「いやいや、おかしいでしょ。ベテラン?目上?笑わせるなよ。その若輩の青二才に指摘されてんのはどこのどいつだ?」
「…きさま……まだ減らず口を…」
「どうだよ?10年前の自分の過ちを掘り起こされた気分はよぉ?」
「なっ…………何の話だ?」
「まさか、気付かれてないとでも思ってたのか?この10年前に著作した馬鹿ってのは、お前だろ?」
「ぅぐっ!?な…何故……」
「図星かよ。カマかけ煽りに簡単に騙されてやんの。せめて隠し通して見せろよ。」
「ぅぐぐっ!?」
「あんたの言うベテランは、ただそこに居た事を威張り散らす老害の事か?それとも、自分の失敗を誰にもバレない様に誤魔化し続ける嘘吐きか?ベテランってのは、威張り散らすばかりで見聞を広めようとも、見識を深めようとも、ましてや自分の間違いを認めようともせず自堕落にそこにしがみ付く愚か者につけられる称号か何かなのか?」
「…うぐっ……ぐぐっ……」
「そもそも、自分の間違いに気付けもしなかった奴に、間違いや口の聞き方を説教される謂れはねぇよ。公演で威張る暇があったら、教科書でも見返してこいよ。そうすれば防げた事態だろ?」
「……貴様、自分の立場がわかっているのか?……貴様を退学にするくらい………容易いのだぞ?」
そう言って、教員は見下ろすようにして言った。
「謝罪せよ。頭を地に擦り付け、見上げる様にして物乞いの如く許しを乞うのだ。さすればまだ……」
「退学は免れるってか?だったら、はなから答えは決まっている。(ダンッ)」
教卓に飛び乗る。
そして、天井を仰ぐ様に、教員を見下す様にして言い放った。
「望む所だ。寧ろ有難い話だね。路地裏で暮らす方がずっとマシだ。恥知らずで無能なあんたの授業を黙って受け続けたっていう一生拭い去れない黒歴史を背負い続ける事に比べればな!!」
「っ…!!っ……っ……!!(グッ)」
「ぉお?またビンタか?(スタッ)よっしゃ、来い!お前の醜態をここにいるみんなにももっと見てもらえよ!!」
「……っ!………!!(ギリッ)」
「(スッ)どうした?早くやれよ??」
「……………」
どうやら、ぐぅの音すらも出なくなった様だ。さっきの授業は、多少好評だったかもしれない。けど、これだけボロクソに言い負かせば、この教員の独断で退学させられる事だろう。
「可哀想にな?生徒の手本にも教科書にも鑑にもなれず、それどころか自ら誤解を蔓延らせるなんて惨めなもんだ。お前のいる意味ってなんなんだ?教えてくれよ?先生?」
怒りは思考能力を奪う。
「それと、私は出世には興味がないんだ。お前みたいな無能は上にも下にも付けたくないもんでなぁ。」
煽って冷静な判断を無くす事で、より強く激しく端的な選択を選ばせ、より退学にされやすくなるだろう。
「わかったら、さっさと席に座りな。私の居た席を貸してやる。仕方ないから、退学されるまでの間、不甲斐ないあんたに教育し直してやるよ。」
念の為、もう少し煽っておこう。決して、個人的な事情とかは無い。決して無い。
「今度こそ、ちゃんと学べよ?元教員殿?
「(キッ)き…きさまぁ……!!」
睨んでくる。さぁ、退学にしろ。言え、『出て行け!』と。
ここから退学コースはちょっと無理があるのではないだろうか?
「(トストストストス)…………ふ、ふむ………どうやら、礼儀知らずではあっても、無知では無かった様だな。」
教員は、複雑な表情に冷や汗を浮かべて教卓まで歩み寄って来た。
「教科書だけでなく、図書館の本もしっかりと読み込み、毎日の予習復習も欠かさなかった様だ。……私の狙い通りに。」
そして、相変わらず恩着せがましい物言いだ。
「だがきみ、目上の者への口の聞き方は家で学ばなかったのかね?そんな態度では出世出来ないよ?」
挙句、この後に及んで負け惜しみを………だが、丁度良い。利用させて貰うとしよう。
「あぁ、知ってるとも。敬意を向けるべき相手には使うさ。」
「………そうか。しかしそれでは、私が尊敬に値しないという意味に捉えられるのだが?」
「おいおい、せっかく包んだオブラートを剥がすなよな?私の優しさを無駄にしないでくれ。」
「(プチブチッ)」
何かの切れる音がした。もう一息か?
「そもそも、授業で負けた僻みが幼稚過ぎだとは思わないのか?都人なら、もっと気の利いたセリフの一つも言ってくれないと困るなぁ?」
「(パァンッ)」
「………」
おもいっきりビンタを喰らった。言うに事欠いてこれかよ。
「黙れ青二才がっ!!そもそも、若輩である筈の貴様が、何故ベテランたる私にそんな口を聞けるのだ!!」
唐突にブチギレて、捲し立ててくる。
「もっと目上を敬う事から学ぶべきではなかったのかね!!!?」
よしよし、良い兆候だ。
「アッハッハッハッ!!」
「な…何がおかしい!!」
「いやいや、おかしいでしょ。ベテラン?目上?笑わせるなよ。その若輩の青二才に指摘されてんのはどこのどいつだ?」
「…きさま……まだ減らず口を…」
「どうだよ?10年前の自分の過ちを掘り起こされた気分はよぉ?」
「なっ…………何の話だ?」
「まさか、気付かれてないとでも思ってたのか?この10年前に著作した馬鹿ってのは、お前だろ?」
「ぅぐっ!?な…何故……」
「図星かよ。カマかけ煽りに簡単に騙されてやんの。せめて隠し通して見せろよ。」
「ぅぐぐっ!?」
「あんたの言うベテランは、ただそこに居た事を威張り散らす老害の事か?それとも、自分の失敗を誰にもバレない様に誤魔化し続ける嘘吐きか?ベテランってのは、威張り散らすばかりで見聞を広めようとも、見識を深めようとも、ましてや自分の間違いを認めようともせず自堕落にそこにしがみ付く愚か者につけられる称号か何かなのか?」
「…うぐっ……ぐぐっ……」
「そもそも、自分の間違いに気付けもしなかった奴に、間違いや口の聞き方を説教される謂れはねぇよ。公演で威張る暇があったら、教科書でも見返してこいよ。そうすれば防げた事態だろ?」
「……貴様、自分の立場がわかっているのか?……貴様を退学にするくらい………容易いのだぞ?」
そう言って、教員は見下ろすようにして言った。
「謝罪せよ。頭を地に擦り付け、見上げる様にして物乞いの如く許しを乞うのだ。さすればまだ……」
「退学は免れるってか?だったら、はなから答えは決まっている。(ダンッ)」
教卓に飛び乗る。
そして、天井を仰ぐ様に、教員を見下す様にして言い放った。
「望む所だ。寧ろ有難い話だね。路地裏で暮らす方がずっとマシだ。恥知らずで無能なあんたの授業を黙って受け続けたっていう一生拭い去れない黒歴史を背負い続ける事に比べればな!!」
「っ…!!っ……っ……!!(グッ)」
「ぉお?またビンタか?(スタッ)よっしゃ、来い!お前の醜態をここにいるみんなにももっと見てもらえよ!!」
「……っ!………!!(ギリッ)」
「(スッ)どうした?早くやれよ??」
「……………」
どうやら、ぐぅの音すらも出なくなった様だ。さっきの授業は、多少好評だったかもしれない。けど、これだけボロクソに言い負かせば、この教員の独断で退学させられる事だろう。
「可哀想にな?生徒の手本にも教科書にも鑑にもなれず、それどころか自ら誤解を蔓延らせるなんて惨めなもんだ。お前のいる意味ってなんなんだ?教えてくれよ?先生?」
怒りは思考能力を奪う。
「それと、私は出世には興味がないんだ。お前みたいな無能は上にも下にも付けたくないもんでなぁ。」
煽って冷静な判断を無くす事で、より強く激しく端的な選択を選ばせ、より退学にされやすくなるだろう。
「わかったら、さっさと席に座りな。私の居た席を貸してやる。仕方ないから、退学されるまでの間、不甲斐ないあんたに教育し直してやるよ。」
念の為、もう少し煽っておこう。決して、個人的な事情とかは無い。決して無い。
「今度こそ、ちゃんと学べよ?元教員殿?
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