名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。〜気付いたら、王都の闇も暴いてました。〜

1章.薬師の名門ブレルスクに入学した私は…

1.トラブルが解決するまで対処します。

　さて、入学式当日だ。

　当然、貴族だらけだから参加するつもりはなかった。下手に正体がバレる様な真似はしたくない。

　けど、物事の始まりにはちゃんと参加すべきかと思って行くことに決めた……んだけど…………

“「ブモォォォォッ！」"
「キャァァァァッ！！」
「ヴァァァァァァァッ！？！？！？」
「バカ！こっちに来んじゃねぇっ！！」

　周囲のそこらから、人々の悲鳴が響いて来る。

　まさしく、阿鼻叫喚していた。

　……どういう状況？

“「「「「「「ブモォォォォッ！！」」」」」」“

　あれは……マウントボア？何でこんな所に？

“「ブモ？」“

　どうやら、マウントボアが街の人々を襲っている様だ。出所は……樹海しかないだろうな。

“「ブモッ！！(ドドドドッ)」"

　こういう事は王都では日常茶飯事なのだろうか？

"「ブモォッ！！(ドドドドドドッ)」"

　そりゃあそうか。あんな深い樹海に囲まれてりゃ、魔物の1匹や2匹……

"「ブモモォォォッ！！(ドドドドドドドドッ)」"
「(ヒュッ)」
“「ブモッ！？(ヒュゥゥゥゥゥッ)」"

　だからって、この数はおかしいな。スタンピードレベルじゃないか。

“「(ズシャァァンッ)…ブ…モ………」"

　これが王都の日常か。とんでもないな。

　ともかく、目を付けられる前に出発……

"「「「「「(ザッ)」」」」」"
「……ですよねぇ。」

　さっきので、ボア達に目を付けられた様だ。

　面倒だ。実に面倒だ。

"「「「「ブモォォォォッ！！(ドドドドドドドドッ！！)」」」」"

　群れで襲って来た。

「よっ！(シュッ)ほっ！(スルッ)はっ！(ズトンッ)とう！！(メキッ)」
“「「「「プギャァァァァァァッ」」」」"

　襲って来るボアを片っ端からさばいていく。

　故郷で森番してた時から、マウントボアの対処方は諸々身に付いてる。

　それにしても、困った事になった。

“「(ドドドドドドドドッ)ブモォォッ！！！！」“

　このままだと、入学式に遅れてしまう。

「そこじゃねぇだろ！！(ズドンッ)」
"「ブモォッ！？！？！？」"
「………あ…」

　しまっ……力み過ぎた。

　あまりにも非常識な考えにセルフツッコミしたら、ボアに直撃してしまった。

　……すまん、ボアよ。

　ほんと、最近常識が欠如してきているな。気をつけないと。

「さて……あれ？」

　さっきのボアが最後だったのか。思ったより早く片付いた。

　今からだと……ギリギリ始業式には間に合うかな。さっさと出発……

「誰かっ！誰か来てくれ！！怪我人が……」
「ポーションありったけ持って来い！」
「ダメだ！在庫が足りない！！」
「お゛か゛ぁじゃぁぁぁーんっ！！」

　……出来ねぇよなぁ。


＊＊＊


「………完全に、遅刻だ。」

　あの方法を使ったが、流石に間に合わなかったか。

　最近、乱用し過ぎてる気がするし、自重しなければ。

　まぁ、何はともあれ会場の前まで着いた。

　昨日、会場の場所を教えてもらってて良かったな。

　正直、途中参加するくらいなら帰っても良かったが……

「………？」

　やけに静かだな。とっくに入学式は始まってる………筈だよな。

　せっかくここまで来たから入学式の様子を外から聞いてようと思ったんだけど。

「(キィ…チラッ)」

　ドアの隙間から中を覗き込む。

「…？(ギィィ)………ここだよな？会場。」

　扉を開けると、それらしき彩飾の施された空間があった。だが、随分と荒れてるみたいだ。

　そう、ちょうど獣が乱入して暴れた跡の様な……

“「ブモォォォォッ！！」"
「「「「キャァァァァッ！！」」」」
「………」

　外の方から、ボアの嘶きと生徒の悲鳴が聞こえる。なるほど、どうやらこの学園にも1匹逃げ込んでたみたいだ。

「…………」

　これも、日常茶飯事なのだろうか？だとしたら警備が杜撰の一言に尽きる。街中ならともかく、学生の居る学園内へ魔物の侵入を許すのはどうかと思う。

　それとも私が呪われてるのかな？行先がことごとく修羅場と化す的な……いや、今更か。

　何はともあれ、早いところ行った方が良さそうだな。

「(タッタッタッタッ)……」

　マウントボアは故郷じゃよく見かける魔物だが、以前は死傷者も出ていたくらい危険な魔物だ。

　最近は被害報告を聞かないが、今朝の惨状から危険性は充分にあると言えるだろう。

　例え日常茶飯事だとしても…………

〈(ズシーンッ)〉

　凄い地鳴りだ。こういう予感は外れて欲しい所だが。