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5.逃走か闘争か
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壁を破って現れたのは……
“「ブガーッ!!」“
「うぉっ!?マ…マウントボア!?」
人の背丈ほどはありそうな獣だった。
「………」
何故こんな所にボアがいる?生息地は深い森の奥のはずだ。
“「(フシューッ…キョロキョロ)…ブギ?」“
しかし、何だか様子がおかしい。まるで、何かを探している様だ。
何はともあれ幸いだ。このまま刺激しなければ……
〈な…なん(ツルッ) あっ!?〉
突然の事態に気が動転したのか、司会者はマイクを落とした。
〈(ゴトッ…キーーーーーーーンッ)〉
「「「「キャーーーッ!!」」」」
“「プギッ!?」“
マイクからの耳に突き刺さる様な高音と、新入生達からの絹を裂く様な悲鳴が重なり、鼓膜に響いた。
そして……
“「プギィーッ!!」“
ハウリングと悲鳴でボアを刺激してしまった様だ。
まずいな、興奮状態になっている。
どうするかな?壇上からボアまでは大分距離があるし……
“「プギッ!」"
「…ん?」
“「プギィィィィッ(ドドドドドドッ)」“
「えっ!?ちょっ!?」
何かに気付いたのか、ボアが壇上へと一直線に向かって来た。
“「ブモォォォッ!!(ドドドドドドッ)」“
あっという間に距離を詰められた。
そして…
“「ブギ!!(ドッゴォンッ)」“
……ステージの下に…突っ込んだ。
“「プギッ?プギィッ!?」“
ステージ下は空洞になっている。どうやら、いきなり真っ暗になって戸惑っている様だ。
“「プギィ……」“
……ボアって、こんなに馬鹿だったかな?
少なくとも、故郷の奴らはもっと強かだった筈だ。
〈み…みなさん!!速やかに避難してください!!〉
「「「「「キャアアアアアアアァァァァァァァ(ドドドドッ)」」」」」
かなり遅れた避難勧告と共に、会場の連中が一目散に逃げる。
一方ボアは……
“「プギッ(ドドドドズッ)…プギィ……」“
まだ足下で暴れている様だ。
いや、そんな事はどうでも良い。それよりもこいつ……
「(ガシッ)おい!何ぼけっと突っ立ってんだ!俺たちも早く逃げるぞ!!」
「!?っあ…あぁ、ごめん。」
キールに声をかけられ、我に帰る。
とりあえず今は逃げた方が良さそうだな。
「よし、舞台袖から廊下に……」
「待て!」
「ん?」
「キール、念の為(スッ)俺が引率しても良いか?。」
「あ…あぁ、(ガシッ)頼む!」
「任せろ。(タタタッ)」
キールを引率して壇上から舞台袖を抜け、そのまま廊下へと出る。
「で?この後どうする?」
「そうだな。とりあえず…」
“「(ドッゴォンッ!!)プギーッ」“
ボアが、壁を破って飛び出して来た。
「逃げるぞ!」
「おう!!」
一目散に走り抜ける。
“「(ドドドドッ)ブギーッ!!」“
「(タタタッ)あいつっ!なん!でっ!ずっと!追って!くんだっ!?」
「(タタタッ)マウントボアは執念深いからな。」
“「(ドドドドッ)プギギィーッ!!」“
けど、微妙に狙いが俺たちじゃない気がするんだよなぁ。
「(タタタッ)おいキール、多分あいつの狙いは俺たちじゃない。」
「(タタタッ)なんっ!だとっ!?どうっ!…いうっ……」
「(タタタッ)多分、俺たちがあいつの興味を引く何かを身につけてんだと思う。」
「(タタタッ)きょう…みっ!?(タタタッ)なんだ!?そりゃあっ!?」
「(タタタッ)わからない。けど、多分匂いがするものだと思う。あいつら目が悪い分鼻が効くから。」
とは言っても、ここまで執着されたら俺たちの匂いも覚えちまってるだろうから手遅れだろうな。
「(ダダダッ)てか!お前!すごい!な!」
「(タタタッ)何がだ?」
「(ダダダッ)なん!でっ!しゃべ!れん!だよ!」
「(タタタッ)鍛えてるからな。走りながらしゃべるくらいは出来る。」
「(ダダダッ)まじ…か!」
けど、ここまで会話が成立するんだから、コイツも相当だと思う。
“「(ドドドドッ)ブギーッ!!」“
「(タタタッ)とりあえず、建物の中に入ってあいつを撒く。ちゃんと着いてこいよ?」
「(ダダダッ)お゛う゛っ!!」
キールの限界が近いみたいだ。早く何とかしないと。
ー10分後
「……何とか、撒いたようだな。」
「カヒューッカヒューッカヒューッカヒューッカヒューッ……ゔっ…ゲホッゴホゴホッ……」
「おい、大丈夫か?」
「(ハァ…ハァ…ハァ…)……あぁ、大丈夫だ。」
「本当か?」
「あぁ、問題ない。」
回復……早いな。
「それにしても……此処は何処だ?」
「知らね。」
結構メチャクチャに走ったからな。道中、見ちゃいけないものを色々見た気がする。
見た感じ、ここは資料室か?
「……そこらにある、ガラス瓶詰めのって……」
「知らね。てか、知りたくねぇ。」
いよいよやばいな、この学校。……精神衛生上、深く考えない方が良いな。
よし、見なかった事にしよう。
「……あんまり長居したくないな。」
「じゃあ……ひとまず、会場に戻るか。」
「戻るって…ここが何処かもわからないのにか?」
「とりあえず、進めば着くだろ。」
「……まぁ、そうだな。」
楽観的だが、悪くない。
「道中、例のボアに見つからず戻れると思うか?」
「だと良いがな。(ガチャッ)さっさと戻るぞ?(キィィ)」
「……この扉の先がさっきの会場だったら……」
「えっ?」
「いや、言ってみただけだ。」
流石に有り得ないか。
「(バタンッ)…!…!?…?!…!?」
「あらら。」
扉を越えると、さっきの始業式会場に戻ってた。
「えっ!?ぇえっ!?」
「良かったな。戻れたぞ?」
「キール!?落ち着きすぎじゃないか!?」
「……まぁ、いつものことだからな。」
これがいつもって……マジでワープしてんのか?
「「「「キャアアアアアァァァッ!!」」」」
外から悲鳴が響く。
「アオバ、ここで待ってろ。(ダダダッ)」
「えっ?ちょ……おい!?」
あっと言う間に走り去ってしまった。
てか、この展開ならまた後ろから突っ込んで…
「(キョロキョロ)……あれ?」
突っ込んで……来ない?
“「ブガーッ!!」“
「うぉっ!?マ…マウントボア!?」
人の背丈ほどはありそうな獣だった。
「………」
何故こんな所にボアがいる?生息地は深い森の奥のはずだ。
“「(フシューッ…キョロキョロ)…ブギ?」“
しかし、何だか様子がおかしい。まるで、何かを探している様だ。
何はともあれ幸いだ。このまま刺激しなければ……
〈な…なん(ツルッ) あっ!?〉
突然の事態に気が動転したのか、司会者はマイクを落とした。
〈(ゴトッ…キーーーーーーーンッ)〉
「「「「キャーーーッ!!」」」」
“「プギッ!?」“
マイクからの耳に突き刺さる様な高音と、新入生達からの絹を裂く様な悲鳴が重なり、鼓膜に響いた。
そして……
“「プギィーッ!!」“
ハウリングと悲鳴でボアを刺激してしまった様だ。
まずいな、興奮状態になっている。
どうするかな?壇上からボアまでは大分距離があるし……
“「プギッ!」"
「…ん?」
“「プギィィィィッ(ドドドドドドッ)」“
「えっ!?ちょっ!?」
何かに気付いたのか、ボアが壇上へと一直線に向かって来た。
“「ブモォォォッ!!(ドドドドドドッ)」“
あっという間に距離を詰められた。
そして…
“「ブギ!!(ドッゴォンッ)」“
……ステージの下に…突っ込んだ。
“「プギッ?プギィッ!?」“
ステージ下は空洞になっている。どうやら、いきなり真っ暗になって戸惑っている様だ。
“「プギィ……」“
……ボアって、こんなに馬鹿だったかな?
少なくとも、故郷の奴らはもっと強かだった筈だ。
〈み…みなさん!!速やかに避難してください!!〉
「「「「「キャアアアアアアアァァァァァァァ(ドドドドッ)」」」」」
かなり遅れた避難勧告と共に、会場の連中が一目散に逃げる。
一方ボアは……
“「プギッ(ドドドドズッ)…プギィ……」“
まだ足下で暴れている様だ。
いや、そんな事はどうでも良い。それよりもこいつ……
「(ガシッ)おい!何ぼけっと突っ立ってんだ!俺たちも早く逃げるぞ!!」
「!?っあ…あぁ、ごめん。」
キールに声をかけられ、我に帰る。
とりあえず今は逃げた方が良さそうだな。
「よし、舞台袖から廊下に……」
「待て!」
「ん?」
「キール、念の為(スッ)俺が引率しても良いか?。」
「あ…あぁ、(ガシッ)頼む!」
「任せろ。(タタタッ)」
キールを引率して壇上から舞台袖を抜け、そのまま廊下へと出る。
「で?この後どうする?」
「そうだな。とりあえず…」
“「(ドッゴォンッ!!)プギーッ」“
ボアが、壁を破って飛び出して来た。
「逃げるぞ!」
「おう!!」
一目散に走り抜ける。
“「(ドドドドッ)ブギーッ!!」“
「(タタタッ)あいつっ!なん!でっ!ずっと!追って!くんだっ!?」
「(タタタッ)マウントボアは執念深いからな。」
“「(ドドドドッ)プギギィーッ!!」“
けど、微妙に狙いが俺たちじゃない気がするんだよなぁ。
「(タタタッ)おいキール、多分あいつの狙いは俺たちじゃない。」
「(タタタッ)なんっ!だとっ!?どうっ!…いうっ……」
「(タタタッ)多分、俺たちがあいつの興味を引く何かを身につけてんだと思う。」
「(タタタッ)きょう…みっ!?(タタタッ)なんだ!?そりゃあっ!?」
「(タタタッ)わからない。けど、多分匂いがするものだと思う。あいつら目が悪い分鼻が効くから。」
とは言っても、ここまで執着されたら俺たちの匂いも覚えちまってるだろうから手遅れだろうな。
「(ダダダッ)てか!お前!すごい!な!」
「(タタタッ)何がだ?」
「(ダダダッ)なん!でっ!しゃべ!れん!だよ!」
「(タタタッ)鍛えてるからな。走りながらしゃべるくらいは出来る。」
「(ダダダッ)まじ…か!」
けど、ここまで会話が成立するんだから、コイツも相当だと思う。
“「(ドドドドッ)ブギーッ!!」“
「(タタタッ)とりあえず、建物の中に入ってあいつを撒く。ちゃんと着いてこいよ?」
「(ダダダッ)お゛う゛っ!!」
キールの限界が近いみたいだ。早く何とかしないと。
ー10分後
「……何とか、撒いたようだな。」
「カヒューッカヒューッカヒューッカヒューッカヒューッ……ゔっ…ゲホッゴホゴホッ……」
「おい、大丈夫か?」
「(ハァ…ハァ…ハァ…)……あぁ、大丈夫だ。」
「本当か?」
「あぁ、問題ない。」
回復……早いな。
「それにしても……此処は何処だ?」
「知らね。」
結構メチャクチャに走ったからな。道中、見ちゃいけないものを色々見た気がする。
見た感じ、ここは資料室か?
「……そこらにある、ガラス瓶詰めのって……」
「知らね。てか、知りたくねぇ。」
いよいよやばいな、この学校。……精神衛生上、深く考えない方が良いな。
よし、見なかった事にしよう。
「……あんまり長居したくないな。」
「じゃあ……ひとまず、会場に戻るか。」
「戻るって…ここが何処かもわからないのにか?」
「とりあえず、進めば着くだろ。」
「……まぁ、そうだな。」
楽観的だが、悪くない。
「道中、例のボアに見つからず戻れると思うか?」
「だと良いがな。(ガチャッ)さっさと戻るぞ?(キィィ)」
「……この扉の先がさっきの会場だったら……」
「えっ?」
「いや、言ってみただけだ。」
流石に有り得ないか。
「(バタンッ)…!…!?…?!…!?」
「あらら。」
扉を越えると、さっきの始業式会場に戻ってた。
「えっ!?ぇえっ!?」
「良かったな。戻れたぞ?」
「キール!?落ち着きすぎじゃないか!?」
「……まぁ、いつものことだからな。」
これがいつもって……マジでワープしてんのか?
「「「「キャアアアアアァァァッ!!」」」」
外から悲鳴が響く。
「アオバ、ここで待ってろ。(ダダダッ)」
「えっ?ちょ……おい!?」
あっと言う間に走り去ってしまった。
てか、この展開ならまた後ろから突っ込んで…
「(キョロキョロ)……あれ?」
突っ込んで……来ない?
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