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9-2.黒獣
しおりを挟む「(タタッ)……あいつか。」
“「グァ……」“
目標の数十メートル手前で止まって、対象をよく観察する。
あれは……イノシシか?随分デカいな。しかも、真っ黒だ。
目測で3メートルぐらいか?
距離は大分あるな。けど、いつ襲って来るかわからない。
"「プギッ?」"
「?」
“「ブモォォォォォッ!!(ドドドドッ)」"
イノシシがこちらに向かって来る。どうやら、気付かれた様だ。
"「(バキッ!グシャッ!!バッキャァァンッ!)」"
周囲の遮蔽物を薙ぎ倒しながら突進して来る。
「(スッ)」
何故気付かれたかはさておき、取り敢えず押し止めるか。両手を突き出し衝撃に備える。
"「ブギャァァァッ!(ゴッ)」"
「っ…(ゴキッゴキゴキゴキッ)」
流石に、キツイな。身体中の骨が鳴りまくってる。これ絶対クラッキングの音じゃないよな。
「ごふっ…(ポタポタポタ……)」
どうやら、さっきので内臓も破裂したっぽい。
"「プギッ!(グッ…ググッ)」"
しかもコイツ、いまだに物凄く押して来る。……どうしたものか。
“「プギィッ!!(グググググッ)」"
よし、突き飛ばして後ろのあの木に叩きつけてやるか。
「……(スゥッ)」
そう思って力を込めた。
「(グッ)」
やや強めに。
“「(ゴキッ)…プギャ……」"
「……へ?」
なんの音…
“「ブ…グ……(ブチッブチブチッ)」"
「は?」
首が裂け…えっ……?
"「(ブッシュゥゥゥッ!!)」"
「んぶっ…(ゴボゴボゴボ……)」
恐らく、やや上に押し上げる様にしてしまったからだろう。イノシシの首が上にひしゃげて首の皮膚の裂け目から吹き出した血で溺れた。さながら鯖折……猪だけど。
我ながら酷い構文だな。内容も構成も。
“「……ギ……ブ……(ドサッ)」"
「…ゲホッ…ゴホッゴホッ………(…ボタッ…ボタボタ……)」
結構飲んでしまった気がする。本当は無傷で捕獲しようと思ったんだけどな。猪を鯖折したなんて聞いたことない。
まぁ、撃退は出来たんだし結果オーライ……って、言えるかなぁ……これ。
〈ビチャッ…ベチャベチャッボトボトッ〉
支えを無くして倒れたイノシシの首からは相変わらず血と臓物が溢れかえっている。
やばいな。相当グロい。
けど、まぁ……向かって来たのはこいつの方だし、これについては血抜きが手早く出来たと考える事にしよう。
そうしよう。
「………」
それにしても…あの薬、相変わらずエグい効力だな。絶対人に向けて使えない。
「………(ポタポタ)」
最近ちょくちょく感じている気配はこいつで間違いないだろう。だが、こいつ一体だけとも限らない。最近になって、森の治安が悪化している様に感じる。
定期的にこうなるものなのだろうか?それとも、これまで例を見ない異常なのだろうか?
まぁ、いつも通り被害を受けた動物達の治療を……
“「…グルゥグ………」“
「ん?」
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