純情Ωの願いごと

豆ちよこ

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第3話

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****

 「…え? な、七央が九条家に招待された?」

 そうなのよー、と七央の母である老舗旅館の女将さんは、頬を高揚させ喜びを隠し切れない様子でそう教えてくれた。

 そろそろヒートも明けた頃かと思い、姉が焼いたクッキーを持って、七央と一緒に食べようと久住家に遊びに来た。ついでにあのチクリの原因の事も七央に相談しようと思って訪ねたのに、当の本人は留守だったのだ。しかもオレの知らないところで九条家から招待されていたと聞き、ずっと会えないままなのも重なって何故だか胸がモヤモヤとする。

 二人に会えなくなってから、もう2週間が過ぎていた。おまけに連絡すら取れない。だからこうして会いに来たというのに…。


 旅館の離れ家がある裏山に、いつの間にか足を向けていたらしい。
 宿泊客の目を楽しませる為に造られた池の周りをトボトボと歩く。

 池の畔に置かれた竹のベンチにポツリと座って、ゆらゆら泳ぐ錦鯉を眺めながらクッキーを食べた。摘み食いした時はあんなに美味しかったのに、今は何だか味すらしない。
 七央と一緒に食べたかったな。姉ちゃん、ごめん。七央、留守だったから渡せなかったよ。いつ帰って来るのかも分からないんだって。

 今まで七央がオレに黙って何処かへ出掛けた事なんか一度もないのに…。大抵は事前に相談されるか一緒に行こうと誘われる。それが今回に限っては、誘われるどころか相談すらなかった。

 何で?七央。
 どうして何も教えてくれなかったの?

 チクリと、また針が刺さる。

 七央がオレに内緒で九条くんに会いに行った。

 ーーーチクリ、チクリ。

 九条くん、酷い。幾ら振られて気まずいからって、家を使って七央を呼び出すなんて。何処までヘタレだよ。あのポンコツアルファめっ!今度会ったらただじゃおかないぞっ! …って。今度なんか、あるのかな?

 ーーーーチクチクチクチク…

 も、もしかしたらこのまま…。七央を返してくれないんじゃないかな? 
 まさか…、七央。 
 今頃はもう九条くんと、つ、番に……。

 ーーーーーーズキン

 
 
 「うっ! ぃ、痛っ、…っ」

 ずっとチクリとしてたところが、急にギュッと握られたように痛み出す。
 こんなのは知らない。
 何? こんなに痛いの、初めてだ。

 どうしよう…。胸が苦しい…。
 息が上手く出来ない。空気を吸い込む度にズキズキと心臓を槍で刺された様な痛みがする。おまけに何だか凄く熱い。

 「はっ、はっ、はっ、……た、すけ、」

 短く息を吐きながら、誰か助けてとその場に蹲る。何だろう、これ。熱い…。熱でもあるのかな。やっぱり何処か具合が悪かったのかも…。

 苦しい…、熱い……、だれ、か………。

 「な、…なぉ …」

 お願い………、 助けて、

 「く、じょ…、くん たすけ、て…」

 頬に玉砂利の当たる冷たい感触。ずっと苦しい胸を押さえながら、何処かで誰かが叫ぶ声が聞こえた。

 「どうしたのっ!? しっかりして! ふ、双葉さんっ、き、救急車! 救急車を呼んでくださいっ!」

 だれ、ですか?
 ご親切に、感謝します。
 ご迷惑、おかけして…、すみません……

 「ーー…メガのヒートです! アルファの方は近寄らないでっ!」

 ーーー…ああ、なるほど。

 これが噂の、オメガの発情期ってやつか。
 


 他人事のようにそう思いながら、暗い闇の中へ意識を落とした。
 最後に脳裏に浮かんだのは…、あのヘタレポンコツアルファの顔だった。

 ねぇ九条くん。オレ、ベータじゃないんだよ。知らなかったでしょ。だってきみ、いつも七央しか見てなかったもんね…。

 バカは、どっちだよ。







 

 

 

 

 

 ****


 ーーーここは、どこだ?

 『理央…』

 ーーーあ、七央。帰ってきたの?

 『理央』

 ーーー九条くん。きみも一緒だったんだ 

 『僕達、番になったよ』
 『理央のお陰だよ』

 ーーーえ…、

 『もう理央とは一緒にいられないね』

 ーーーな、なんで?

 『だって、邪魔だよ』
 『俺は七央だけでいいんだ』

 ーーーそ、そんなっ、…待って! 

 『さよなら、理央』
 『じゃあな、理央』

 ーーー待って、待って! 嫌だよ!

 置いて行かないで!!





 「待ってよっ! やだっ、やだぁ!」

 「大丈夫っ、 落ち着いて」

 ガバっと起き上がったら、目の前に知らない綺麗な人がいた。

 「怖い夢でも見ちゃったのかな? でももう大丈夫だからね、」
 「……ゆ、…ゆめ? …夢、じゃ、ないよ」

 あれは夢じゃない。きっとこれから知る現実なんだ。
 七央と九条くんが番になる。そして、オレを邪魔だって、一緒にいられないって……。

 「うっ、うぅぅ…、ぅええぇぇん」
 「あ、そんなに泣かないで? ね?」

 やだやだっ、何で?どうして一緒じゃ駄目なの?邪魔なんかしないからっ。

 「いっしょ…、いたい、よぉ…、」
 「うんうん。そっか。いい子いい子。大丈夫だからね、心配しなくてもいいからね」

 優しいその人が、やんわりと肩を抱いて背中を擦ってくれる。
 子供みたいに、えんえんと泣くのはいつ振りだろう。でも止まらないんだ。悲しくて、寂しくて…、とても辛い。

 「ど、…どうして、 ひっ、」
 「あのね。きみは今、初めてのヒートに心が混乱しているんだよ。でも大丈夫。落ち着けばきっと気持ちも楽になるからね」

 そういえば、さっき胸が苦しくてオレ、あれからどうしたんだっけ? それにこの人は誰だろう。
 
 「少しは落ち着いたかな?」
 「ぐすっ、…あ、ああ、あああの、」
 「ゆっくり、ね?」

 優しいな、この人。オレの吃音をからかいもしない。それに凄く綺麗だなぁ。

 「あの、…す、すみ、すみ、すみま、」
 「ううん。いいんだよ、大丈夫」

 にっこり笑うともっと綺麗だ。

 「はい…。あの、あ、ありがと、ございます」
 「どういたしまして」

 ちょっと七央に似てる。なんかこう、雰囲気が、だけど。
 嫌な感じに高鳴っていた鼓動が漸く落ち着いてきた。

 「あの、もしかして。 あの時、声を掛けてくれた方ですか?」
 「あ。落ち着いたね。良かった。 はい。僕は中条秋といいます。びっくりしたよ、あんな所に倒れてたから」
 「あ、ありがとうございます。 松永理央といいます。 その、ご迷惑おかけしてしまい、すみませんでした」

 ううん、いいんだよ、とまた綺麗に笑う。
 わぁ…。こんな綺麗な人、見た事ないや。七央は可愛いけど、この人は何ていうか美人?だな。男の人、だよね?

 「僕がオメガで良かった。あんな状態のきみをアルファに見つからないで保護出来て、本当に良かった」
 「あ、オレ。 …そっか、ヒート」

 ちゃんと処置してもらったから大丈夫、と中条さんは教えてくれた。
 どうやらここは病院で、オレはヒートの緊急措置入院をしてるらしい。

 中条秋さんという親切で綺麗な人は、七央の旅館の宿泊客で、たまたま中庭を散策中にオレを見付けて助けてくれたそうだ。
 それからオメガの抑制剤についても色々と教えてくれて、担当医師がやって来た時には、もう薬についての説明はいらない程だった。
 どうやら秋さんは大きな製薬会社のご子息で、ご自身も薬学に精通しているんだとか。
 それから……。

 

 「それじゃ、理央くん。またね」
 「退院したら遊びにおいで」

 「はい。 あの、秋さん双葉さん。色々とありがとうございました。 絶対伺うんで、オレのこと忘れないでくださいね」
 「勿論だよ。理央くんこそ、うっかり忘れたりしちゃ嫌だよ?僕達もう、お友達なんだからね」

 素敵な番のご夫婦だった。
 寄り添って帰って行く後ろ姿も仲睦まじく、オレはすっかりお二人のファンになってしまった。
 しかもあの、中条家の方だったなんて…。
 上流階級の方々って、本当に品が良いんだな。九条くんもそうだけど、アルファだとかオメガだとか、そんなのまったく関係ないみたいに接してくれる。
 
 「七央も、あの一族の仲間入りかぁ。…凄いなぁ。さすが、オレの幼なじみだな。うん、次会ったら絶対に、おめでとうっ、て、…」

 あ、あれ?

 「おめでと…って、 …言って、」

 何でだろう。
 何でこんなに悲しいのかな…。

 またポロポロと涙が溢れて止まらなくなる。

 七央が九条家の番になったら、絶対に幸せになれる。そう思うのに…。
 七央には幸せになって欲しい。それは間違いないんだ。でも、でも…。


 でもそれは、本当に九条くんじゃなきゃ、駄目なの?

 七央なら、他にもきっと幸せにしてくれるアルファがいるんじゃないの?
 今はまだ出会ってないかもしれないけど、いつか九条くんじゃないアルファとだって、幸せになれるんじゃないかな?

 「どうして…、九条くんは七央じゃないと駄目なの? オ、オレじゃ、…駄目、かなぁ」

 今になって漸く分かった。オレは本当に馬鹿だ。こんなに…。こんなにも九条くんを好きになっちゃってた。
 七央ばっかり見てる九条くんに胸がチクリとしたのも、オレに親切にしてくれて擽ったく感じたのも、全部全部、九条くんが好きだからだ。
 七央に彼と会っちゃダメって言われて本当は凄く嫌だった。どうしてって。なんでって。
 だって本当は、オレが九条くんに会いたかったんだ。
 ベータだと誤解されたままなのも嫌だった。オレだってオメガなのに。七央ばっかり見てないでオレの事も見て欲しかった。
 離れていても匂いが分かるなんてズルいって思った。それをうっとりしながら話す九条くんが憎たらしかった。
 オレだって、オレの方が、…きみの事、好きなのに、って。

 お医者さんが言ってた。ヒートの期間中は心が落ち着かなくて色々考えちゃうんだって。だからなるべくいい事だけを考えなさいって。
 いい事って何だろう。あ、そうだ。さっきのあの仲睦まじい番のご夫婦。オレもいつかあんな素敵な番が出来たらいいな。そしたらきっと九条くんの事もいい思い出に出来るかな? あ、また九条くんの事考えちゃった。

 「もう…、いやだ …うぅっ、ひっく、」

 何をどう考えようと、最後は必ず九条くんが出てきてしまう。

 「ぁ…、会いたいよ。、九条くんに、会いたい…」

 会いたい、会いたい、会いたい。
 九条くんに、会いたいよ。
 今すぐにここに来て欲しい。あの大きな手で頭を撫でて欲しい。理央といると楽しいってまた言って貰いたい。それから思いっきり抱き締めて、理央の匂いはいい匂いだよって言われたいよ。

 「九条くん…、九条くん…、」

 初めてだった。
 七央以外の人をこんなに恋しく感じるのも、側にいて欲しいと思ったのも。
 それから、初めて七央が羨ましくて妬ましかったのも…。


 
 「り、流星くんっ、…流星くん」

 その夜は大好きな人の名前を呟きながら、病院の冷たいベッドの中で一晩中泣き明かした。
 このまま朝なんか来ないんじゃないかと思うくらい、永い永い夜だった。





 








 ****

 
 医学の進歩とは目覚ましいものだ。
 それにオレは薬のよく効く体質らしい。秋さんにおすすめされた抑制剤も頗る調子がいいし。
 はぁ…。あの悶々としたヒートから開放されて良かった。

 2日の措置入院が終わり、それから4日間の自宅療養をしてからオレは学校に復帰した。

 「理央っ! もう、大丈夫なの?」

 七央はあれから何度か家を訪ねてくれたけど、オレは会うのを断っていた。何故か家族もその方がいいと承諾してくれて、決して七央を部屋には通さずにいてくれた。だから今日、3週間振りにこうして顔を合わせてる。

 「うん。 もう、すっかり元通りだよ。ごめんね、心配かけて」
 「ううん。 でも良かった。理央が親切な人に助けられて。 僕こそごめんね。せっかく会いに来てくれたのに留守にしちゃってて」

 あ、そうだった。七央はあの日、九条家に招かれて出掛けていたんだっけ。

 「そんなの気にしないで。 それより、七央。オレに何か報告する事ないのかな?」
 「報告? …どうしてそんな事聞くの?」

 まだ隠す気なのかな? もう、早く教えて欲しいのに。
 発情期の間ずっと七央と九条くんの事を考えた。どうせ何を考えても結局最後はこの問題に行き着くなら、とことん考えて自分なりの答えをみつけよう。そう思って過ごした。

 そうしてみつけた答はこうだ。

 「あのね、七央。オレこの一週間凄くたくさん考えたんだ」
 「うん? 何を?」

 聞いてくれる?

 「オレは七央が大好き!」
 「本当? ふふ、嬉しい。ありがと理央」

 うん。もうこれは絶対揺るがない!オレの世界はずっと七央だったし、それはこれからも変わらないんだ。

 「それからオレ。 九条くんも、好き」
 「……そう。 そっか」

 これもしょうがないよ。だってあの日嫌って程思い知った。翌日看護師さんがびっくりする程泣き腫らした顔は、自分でもドン引きものだった。

 「だから。大好きな七央と九条くんが、番になってくれたらオレ嬉しい」
 「は、はぁ?」

 うん。そうなんだ。結局それが一番しっくりくるんだ。大好きな人達が幸せになるんだもん。そんなの喜びしかないじゃないか。

 「でも仲間外れは嫌だよ?」
 「ち、ちょっと待って理央。それ、」

 「オレね。いい薬教えて貰ったの。ヒートの抑制剤。このままずっと発情期なんか来なくていいし番もいらない。だから、七央と九条くんが番になって結婚したら、二人の赤ちゃんのお世話係になりたいです!」

 そう。オレはどうしたって二人と一緒にいたいんだ。それにはこれが一番いいと思った。もうこれしか方法が見付からない。

 「り、理央っ! だからちょっと待って!何、それ。 どうして僕とアイツが番なんかになると思ってるのっ!?」

 「え…。どうして、って。 だって七央。この前九条家にお呼ばれしたんでしょ?」

 七央のヒートの直前まで顔を合わせていた二人。その期間明けに九条家からの招待。
 それは正式な婚約とか、そういう事を話し合って来たんじゃないの?
 
 「確かに九条家には行ったよ。でもそれは別の用事で、あのポンコツなんかに会いに行った訳じゃないよ」
 「…え。 そ、そうなの?」

 「もぅ…。心臓に悪い事言わないでよ。僕は何がどう間違えても、あのアルファと番なんかにならないし、なれる訳も無いんだよ」
 「え…っと。 そ、それじゃ…」

 あれあれ? も、もしかして、オレはまた飛んだ誤解をしていたのか?

 「それから理央。 お前に話さなきゃならない事があるんだ。 落ち着いて聞いて欲しいんだけど、実はね…ーーー」




 「ーーーー…え? う、嘘でしょ?」

 「ううん。嘘じゃない。本当なんだ」

 今まで隠しててごめんね、って…、七央。そんなの急に言われても、どうしていいのか分からないよ。
 だってだって。七央が、あのオメガの中のオメガみたいな七央が……、う、嘘だ。












 ーーー『本当は僕、アルファなんだよ』




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