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悪友(小学生編)
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それは俺が小学校高学年頃だったと思う
俺がいる教室に野崎が転校してきたのだ。
彼の周りには人集りができ、やれ「どこから来た」「兄弟はいるのか」「部活何入る」「どんなアニメゲームが好きか」聞かれまくっていた。
俺は教室の左奥。一番後ろの席だった。
彼は教室の右奥後方のドア付近。俺達の距離は近くない。だが皆が話してる内容は耳に入る。盗み聞きじゃない女子の声がデカイんだ
「東京から来た」「父母自分の3人暮らし」「部活は決めてない」「あまりやらないから分からない」だそうだ。
確かに地元民じゃない都会っ子な感じはする
背も少し高めだが、ウチのクラスで1番高い女子には負けてる
一週間経っても彼の周りには人が居た。
彼は頭も良く、運動も出来、男女関係なく気さくに声を掛けた。そりゃあ周りのウケがいい。
生徒だけでなく先生にも評判が良かったと思う。名指しでクラス委員長にされていた。
皆に慕われる野崎とボッチ気味の俺に進展は無かった。
ある夏、暑い日差しが窓から入り込み窓側の俺の視界が眩しすぎてろくに目も開けられない日があった。授業中はカーテンが全開で日差しが直接ノートや教科書に当たりレフ板みたいに目に刺さる
余りの光彩に耐えきれず目を抑えると
「先生!日差しが強いのでカーテン使っていいですか?」と野崎が手を上げ言った
「ああ、どうぞ…」
シャー、俺は席を立ち後ろのカーテンを引く
前の席の奴は座ったまんまだ。
(いや、引けよ!!お前の横列だけ日差しガンガン差し込んでるじゃねーか!!)
その横に座る女子を見る
(隣の男子にガンつけとる暇あるならカーテン引いてくれ!!)
意地でも動きたくないのか前の席の二人は不動だ。
しかたない…おれは席を立つ
シャッ
野崎が先に来てカーテンを引くが窓側のやつが邪魔で途中で止まる
「あっ!頂戴、俺やるよ!」
俺が後ろから手をのばす。
「お願い」
彼は苦笑してた。
それが初めて野崎とした会話だった。
帰りはいつも独りだ。
正確には何人かの集団で帰るから少し意味合いは違うが…
1番前を行く野崎と女子2人達、2番目は仲の良い男子2人、最後尾、俺のグループだ。
途中で1番の女子達と2番の男子達が離脱する。
すると野崎と距離をだいぶ開けた俺が残るが、直ぐに野崎が曲がる道に着くので俺は軽く挨拶してそのまま真っ直ぐ行けばもう家だから耐えられる。
ピタッと野崎が止まる、彼と俺の分岐路だ。
「じゃあ…ね」
ちょっとだけ手を上げて軽く振る
すると『また明日』と野崎が言って別れる。そんな毎日だ。
「…………あのさ…」
「え?」
『また明日』以外の台詞を野崎が言ったのに驚き固まる
「香坂君って兄弟…いるの?」
「え?ああ…いるよ。姉ちゃんと妹がいるよ?」
「そうなんだ……じゃあ…また明日。」
「うん…また、明日…」
今度こそ手を振って別れる
その日から野崎は俺と二人っきりになると去り際に質問してくる様になった。
「好きな物は何?」「アニメやゲームする?」「授業何が好き?」「苦手な教科ある?」等
毎回唐突に聞かれるからテンパっちゃって何て答えたか忘れた
「遊びに行っていい?」って聞かれたときはビックリして「ほ、本気で聞いてる?」って言ってしまい断られたと思った野崎は「ごめん急だったよね…」と謝ってきた。
取り敢えず「家に来るのは俺的にはOKだけど家族に聞いてから返事するね」と言って別れた。
そして仕事から帰ってきた母親に友達を呼んでいいか許可を取り、お菓子やジュースを買ってもらった。姉は特に気にしてないが妹は半目で俺を見てた。
「お兄ちゃん…たかられてんじゃないの?」と母親に聞いてたらしい。ひどくない?!
次の日の帰りに俺は野崎に許可が出た事を伝えると野崎の顔がパァァァ!!ってなって目が爛々としていた。
「今日…行っても良い?」
「いいよ!大歓迎だよ!!」
野崎は嬉しそうに笑った後、一瞬右側の道路を見てから俺を見る。
「じゃあ今から行く!」
そう言った野崎を俺は家へと連れ帰った。
後は普通に俺の部屋でお菓子食べたりゲームしたり漫画読んだり、ついでに宿題も見てくれた。
短い時間だったが野崎は楽しそうにしていた。
「じゃあ、また明日」
「また明日」
今度は俺の家の前で手を振って別れる
そんな毎日が続いた。
名前も『香坂君』から『楓』呼びになったが野崎は野崎のままにした。
……………何か恥ずかしいから。
ある日俺と野崎は何気なくテレビをつけて、たまたまやっていた吹替版の洋画を見ていた。
アクションあり爆破ありの中々の熱い映画だった。ラストはお決まりのヒロインと主人公がキスをしてエンドロールが流れる
…家族で居間で見るラブロマンス並に気まずい空気が一瞬流れた。
「お、終わったね!他なにか見る?…ニュースしかないわ…」
慌ててチャンネルをザッピングするが面白そうなのは無い
「楓は…キスしたことある?」
「え?」
リモコンを握ったまま野崎を見る。彼はテレビを見ていた。
「キス……家族以外に誰かとした?」
まだテレビを向いている。そんなに気になるニュースでもあったんだろうか…
「えっ……………あるわけ無いじゃん…そういうのはもっと大人になってからじゃない?」
「そう?興味ない?」目だけが俺に向く
「…………無くはないけど…」
「じゃあ勝負しよ?俺が勝ったらキスしよ?」
「ええ…ヤダ」
「何で?」
「何で勝負するの?勉強も運動もゲームも勝てる気しないんだけど…」
「じゃあ勝負内容は楓に選ばせてあげる。だから俺が勝ったらキスしよ?ね?」
いいでしょ?としつこく粘る。
スッと握ってたリモコンを取られる。
「ね?楓が勝つ勝負を考えればいいさ。これは約束ね。」と勝手に小指を絡め取られる。
2回ほど動かした後離された。
「強引過ぎるだろ…」
奪い取ったリモコンでチャンネルを変えるがやはりニュースしかなかった。
そしてリビングに設置したダンボール秘密基地が占拠される事件が起きた
「丸見え弱々秘密基地」を軽くバカにされ頭に来ていた俺はココで勝負のカードを切ってしまった。
するとどうでしょう。馬鹿にはしていたが対して興味も無さそうだった彼が本気で立ち向かって来たのだ。亀のように身を丸めて籠城しようとしたが足を引き摺られ揉み合いになりながら我が城から数秒で放りだされてしまった。
秘密基地はボロボロの壊滅状態だ。
(嘘だろ?!軽く投げられたぞ?本気過ぎるだろ?!)
ハァハァと野崎も肩で息をしている
「楓。約束。するぞ。」
呼吸が浅く言葉を発するのも苦しそうな癖に床で伸びてる俺を二階の部屋に引っ張って行く
(元気すぎる…)俺は疲れ果てていたが腕を引っ張る野崎に続く。彼の顔も耳もまだ赤かった。
パタン
カチャッ
「鍵?」
「誰か入ってきたら困るだろ?」
あ、そっか。普段鍵掛けないから不思議な感じだ。密室。俺と野崎だけ…いつもと変わらないはずなのに…
「座って」
「うん」
いや、俺の家だが?野崎のペースに乗せられる
「じゃあ、いくよ?」
「ん、」男に二言はない!覚悟を決めろ俺!!
肩に乗せられた手が震えている
(野崎でも緊張とかすんのかな?)
ムニュッ
ぼんやり考えてたら口に変な感触が…
離れていく野崎
「ど、どう?」まだ手は震えている
「…………音…しないんだね」
「音?」
「チュッって音」
チュッ。口を窄めて少し開けて音を出す
野崎の顔が赤くなる
「あっ!……も、もう1回しよう!!今度はリップ音出るよう頑張るから!!」
「分かった。んっ!」
少し唇を付き出すようにする
ムグッ
「………………食べた?俺の口」
「…………ごめん。」
野崎は俺の肩に手を当てたまま頭を落とした。ガックシ…巧く出来なくてショックだったのか?何でも出来る彼にも苦手な事が有るとしって嬉しかった。
「へへっ!下手でも別に良いじゃん」
「良くない!下手…………やっぱ下手だと思ってたんだ…」
よりショックをうけた模様。
「下手かどうかはよく分からないけど…気持ち良くは無いかな……口食われてる感しかない。」
映画の様な『気持ち良さそうなキス』とは程遠い。もぐもぐキスだ。
「気持ち良く無い…………」
野崎はズルズルと下がり落ち俺の膝に頭が来る
「気にすんなって。今回は罰ゲームみたいなもんじゃん。好きな人だったら違うかもよっ?あぶね?!」
バタンッ!!
ガブッ!!
(齧り付かれたかと思った!!)
俺が言い終わるタイミングで野崎は口に突っ込んで来た。そのままの勢いで床に背中がつく。
ンニンニッムニムニアグアグッ
俺を押し倒し一生懸命唇をモゴモゴ動かす野崎。
その一生懸命さが何だか可愛く思えて少しだけ笑って俺も唇を動かした。
結局唇が痒くなるまでモゴモゴしたがリップ音は出なかった。
しかし、彼はとても執念深く優秀だった。
チュッ
「ね?」
「んんっ!!」
チュッ!!チュッ!!
「ん?」
「んー!」
ぷはっ!!
「わかった!もう分かったか…!!んっ?!」
んっ!!チュ!!チュパッ
「ちゃんと出来てる?」
「はぁ…でき…………てるぅ…」
仰向けで仰け反ってる俺の背中に手を入れ支える野崎は笑顔だ。
「本当?下手じゃない?」
またキスしようと顔を近付けてくる
「もっ!やだぁ!…下手じゃないからもうしなくていい!!」
野崎の口に手を被せ全力で拒否する
「巧くなったら止めるとは言ってませーん」
口に被せた手を片手で纏めて奪われる
「んっんん?!!!」
チィュウウウュ!!チュッ!アホみたいな吸引音がして最後に軽く吸われる
俺は両足をバタバタさせるが意味はなく
足の間に野崎が陣取っている為動けない
「性格…悪すぎぃ…」
最初の頃のお前何処行ったんよ。と言ったらアレは初回限定版だからって言われた。え?今通常版?お値段違うんですか?!と聞いたら
「違います。今はカスタムエディション(ハイグレード)版です」ですって。
「返品!!返品します!!!!コールセンター!!」
「お電話頂き有難う御座います。申し訳御座いませんが…当社営業時間外となっており…(略)………またお掛け直し下さい…ガチャ」
「最低?!!!せめて留守電に切り替われや!!」
ワーワー騒いだら『うるさい』とまたチューされた。
もはやキス位で何の反応も無くなるほど廃れた俺たが、野崎は更に上を行っていた。
今度は俺の部屋で開口一番こう言った
「楓って…………ちゃんと剥いてる?」と
流石の俺も開いた口が塞がらない。
「聞いてる?」
もがっ?!
(俺の空いた口にポテチを重ねて入れるな!!)
「見せ…」
「ヤダ」
「チョットだけ」
「絶対嫌」
「先っちょだけでいいから!ね?」
「嫌だ。じゃあ野崎は見せてくれんの?嫌だろ?!」
「え?良いけど?」
「いいのぉ?!何で?!見たくないよ!!」
「そう言うなよ。ちょっと待って…手洗ってくる」
「えっ?!」
そう言うと野崎は1階に降りてった
(嘘だろ?!てっきりお前のも見せろで引くと思ったのに!!メンタルミスリルで出来てんのかアイツ!!?!うう!絶対見られたくない!!)
俺は足を閉じて股を手でガードする。
「…………遅くない?」
1階に行った彼が全然戻って来ない
(帰ったか?いや鞄はまだある。何処へ行った?)
「楓。すまん開けてくれ」
何故?とは思いつつもドアを開ける
「何それ…」
「洗面器とタオル借りたー。」
「う、うん。別にそれは良いけど」
「鍵締めといてー」
よいしょっと洗面器を置く。中には水が入っている。何故。
「じゃあ脱いで」
「ふざけんな嫌だ。」
「ああ…俺が先に脱ぐな?」
「脱がんでいいっ?!」
バサッ何の躊躇いもなくズボンを降ろす
パンツも一緒に降ろしててブツが丸見えだ。
「履いて!!なんで脱いだの!!」
俺は恥ずかしくて目を隠す
(見えちゃった?!何あれ?!俺のと全然違う!!)
グッ
「へ?」
腰ら辺に違和感がある、次の瞬間
ズボッッ!!
下半身が一気に開放的になった
「なっ?!何して?!」
俺は目にあててた手を股間に移そうとしたが野崎の方が早かった。両手を押さえられベッドに背中から沈められる
「やめっ!やめろよ?!」
片手で俺の両手を掴み直し太腿の上に野崎の折り畳んだ足を乗せられ、びくともしない
野崎は開いてる手で俺のちんこを触る
「やっぱり、まだ剥けてないね」
羞恥で顔に血液が集まる
「少しずつ剥いてこ?手伝うからさ。ね?」
(ね?じゃねーよ!!)キッと野崎を睨む
ピタッ
何かが素肌に当たりくっつく
ビクッ
「?!」
「ああごめん。俺の。当たっちゃったみたい」
俺のとは違う形が目に入る
(俺も剥いたらこんなになるのかな…)
俺も男だった。デカイ方がカッコいいと思ってしまうお年頃だ。
それに正直最近ムズムズするがどうしたらいいか分からなくて困っていたのもある。
そして俺は
「剥いて…くれるの?」
と悪魔の取引に応えてしまったのだ。
俺がいる教室に野崎が転校してきたのだ。
彼の周りには人集りができ、やれ「どこから来た」「兄弟はいるのか」「部活何入る」「どんなアニメゲームが好きか」聞かれまくっていた。
俺は教室の左奥。一番後ろの席だった。
彼は教室の右奥後方のドア付近。俺達の距離は近くない。だが皆が話してる内容は耳に入る。盗み聞きじゃない女子の声がデカイんだ
「東京から来た」「父母自分の3人暮らし」「部活は決めてない」「あまりやらないから分からない」だそうだ。
確かに地元民じゃない都会っ子な感じはする
背も少し高めだが、ウチのクラスで1番高い女子には負けてる
一週間経っても彼の周りには人が居た。
彼は頭も良く、運動も出来、男女関係なく気さくに声を掛けた。そりゃあ周りのウケがいい。
生徒だけでなく先生にも評判が良かったと思う。名指しでクラス委員長にされていた。
皆に慕われる野崎とボッチ気味の俺に進展は無かった。
ある夏、暑い日差しが窓から入り込み窓側の俺の視界が眩しすぎてろくに目も開けられない日があった。授業中はカーテンが全開で日差しが直接ノートや教科書に当たりレフ板みたいに目に刺さる
余りの光彩に耐えきれず目を抑えると
「先生!日差しが強いのでカーテン使っていいですか?」と野崎が手を上げ言った
「ああ、どうぞ…」
シャー、俺は席を立ち後ろのカーテンを引く
前の席の奴は座ったまんまだ。
(いや、引けよ!!お前の横列だけ日差しガンガン差し込んでるじゃねーか!!)
その横に座る女子を見る
(隣の男子にガンつけとる暇あるならカーテン引いてくれ!!)
意地でも動きたくないのか前の席の二人は不動だ。
しかたない…おれは席を立つ
シャッ
野崎が先に来てカーテンを引くが窓側のやつが邪魔で途中で止まる
「あっ!頂戴、俺やるよ!」
俺が後ろから手をのばす。
「お願い」
彼は苦笑してた。
それが初めて野崎とした会話だった。
帰りはいつも独りだ。
正確には何人かの集団で帰るから少し意味合いは違うが…
1番前を行く野崎と女子2人達、2番目は仲の良い男子2人、最後尾、俺のグループだ。
途中で1番の女子達と2番の男子達が離脱する。
すると野崎と距離をだいぶ開けた俺が残るが、直ぐに野崎が曲がる道に着くので俺は軽く挨拶してそのまま真っ直ぐ行けばもう家だから耐えられる。
ピタッと野崎が止まる、彼と俺の分岐路だ。
「じゃあ…ね」
ちょっとだけ手を上げて軽く振る
すると『また明日』と野崎が言って別れる。そんな毎日だ。
「…………あのさ…」
「え?」
『また明日』以外の台詞を野崎が言ったのに驚き固まる
「香坂君って兄弟…いるの?」
「え?ああ…いるよ。姉ちゃんと妹がいるよ?」
「そうなんだ……じゃあ…また明日。」
「うん…また、明日…」
今度こそ手を振って別れる
その日から野崎は俺と二人っきりになると去り際に質問してくる様になった。
「好きな物は何?」「アニメやゲームする?」「授業何が好き?」「苦手な教科ある?」等
毎回唐突に聞かれるからテンパっちゃって何て答えたか忘れた
「遊びに行っていい?」って聞かれたときはビックリして「ほ、本気で聞いてる?」って言ってしまい断られたと思った野崎は「ごめん急だったよね…」と謝ってきた。
取り敢えず「家に来るのは俺的にはOKだけど家族に聞いてから返事するね」と言って別れた。
そして仕事から帰ってきた母親に友達を呼んでいいか許可を取り、お菓子やジュースを買ってもらった。姉は特に気にしてないが妹は半目で俺を見てた。
「お兄ちゃん…たかられてんじゃないの?」と母親に聞いてたらしい。ひどくない?!
次の日の帰りに俺は野崎に許可が出た事を伝えると野崎の顔がパァァァ!!ってなって目が爛々としていた。
「今日…行っても良い?」
「いいよ!大歓迎だよ!!」
野崎は嬉しそうに笑った後、一瞬右側の道路を見てから俺を見る。
「じゃあ今から行く!」
そう言った野崎を俺は家へと連れ帰った。
後は普通に俺の部屋でお菓子食べたりゲームしたり漫画読んだり、ついでに宿題も見てくれた。
短い時間だったが野崎は楽しそうにしていた。
「じゃあ、また明日」
「また明日」
今度は俺の家の前で手を振って別れる
そんな毎日が続いた。
名前も『香坂君』から『楓』呼びになったが野崎は野崎のままにした。
……………何か恥ずかしいから。
ある日俺と野崎は何気なくテレビをつけて、たまたまやっていた吹替版の洋画を見ていた。
アクションあり爆破ありの中々の熱い映画だった。ラストはお決まりのヒロインと主人公がキスをしてエンドロールが流れる
…家族で居間で見るラブロマンス並に気まずい空気が一瞬流れた。
「お、終わったね!他なにか見る?…ニュースしかないわ…」
慌ててチャンネルをザッピングするが面白そうなのは無い
「楓は…キスしたことある?」
「え?」
リモコンを握ったまま野崎を見る。彼はテレビを見ていた。
「キス……家族以外に誰かとした?」
まだテレビを向いている。そんなに気になるニュースでもあったんだろうか…
「えっ……………あるわけ無いじゃん…そういうのはもっと大人になってからじゃない?」
「そう?興味ない?」目だけが俺に向く
「…………無くはないけど…」
「じゃあ勝負しよ?俺が勝ったらキスしよ?」
「ええ…ヤダ」
「何で?」
「何で勝負するの?勉強も運動もゲームも勝てる気しないんだけど…」
「じゃあ勝負内容は楓に選ばせてあげる。だから俺が勝ったらキスしよ?ね?」
いいでしょ?としつこく粘る。
スッと握ってたリモコンを取られる。
「ね?楓が勝つ勝負を考えればいいさ。これは約束ね。」と勝手に小指を絡め取られる。
2回ほど動かした後離された。
「強引過ぎるだろ…」
奪い取ったリモコンでチャンネルを変えるがやはりニュースしかなかった。
そしてリビングに設置したダンボール秘密基地が占拠される事件が起きた
「丸見え弱々秘密基地」を軽くバカにされ頭に来ていた俺はココで勝負のカードを切ってしまった。
するとどうでしょう。馬鹿にはしていたが対して興味も無さそうだった彼が本気で立ち向かって来たのだ。亀のように身を丸めて籠城しようとしたが足を引き摺られ揉み合いになりながら我が城から数秒で放りだされてしまった。
秘密基地はボロボロの壊滅状態だ。
(嘘だろ?!軽く投げられたぞ?本気過ぎるだろ?!)
ハァハァと野崎も肩で息をしている
「楓。約束。するぞ。」
呼吸が浅く言葉を発するのも苦しそうな癖に床で伸びてる俺を二階の部屋に引っ張って行く
(元気すぎる…)俺は疲れ果てていたが腕を引っ張る野崎に続く。彼の顔も耳もまだ赤かった。
パタン
カチャッ
「鍵?」
「誰か入ってきたら困るだろ?」
あ、そっか。普段鍵掛けないから不思議な感じだ。密室。俺と野崎だけ…いつもと変わらないはずなのに…
「座って」
「うん」
いや、俺の家だが?野崎のペースに乗せられる
「じゃあ、いくよ?」
「ん、」男に二言はない!覚悟を決めろ俺!!
肩に乗せられた手が震えている
(野崎でも緊張とかすんのかな?)
ムニュッ
ぼんやり考えてたら口に変な感触が…
離れていく野崎
「ど、どう?」まだ手は震えている
「…………音…しないんだね」
「音?」
「チュッって音」
チュッ。口を窄めて少し開けて音を出す
野崎の顔が赤くなる
「あっ!……も、もう1回しよう!!今度はリップ音出るよう頑張るから!!」
「分かった。んっ!」
少し唇を付き出すようにする
ムグッ
「………………食べた?俺の口」
「…………ごめん。」
野崎は俺の肩に手を当てたまま頭を落とした。ガックシ…巧く出来なくてショックだったのか?何でも出来る彼にも苦手な事が有るとしって嬉しかった。
「へへっ!下手でも別に良いじゃん」
「良くない!下手…………やっぱ下手だと思ってたんだ…」
よりショックをうけた模様。
「下手かどうかはよく分からないけど…気持ち良くは無いかな……口食われてる感しかない。」
映画の様な『気持ち良さそうなキス』とは程遠い。もぐもぐキスだ。
「気持ち良く無い…………」
野崎はズルズルと下がり落ち俺の膝に頭が来る
「気にすんなって。今回は罰ゲームみたいなもんじゃん。好きな人だったら違うかもよっ?あぶね?!」
バタンッ!!
ガブッ!!
(齧り付かれたかと思った!!)
俺が言い終わるタイミングで野崎は口に突っ込んで来た。そのままの勢いで床に背中がつく。
ンニンニッムニムニアグアグッ
俺を押し倒し一生懸命唇をモゴモゴ動かす野崎。
その一生懸命さが何だか可愛く思えて少しだけ笑って俺も唇を動かした。
結局唇が痒くなるまでモゴモゴしたがリップ音は出なかった。
しかし、彼はとても執念深く優秀だった。
チュッ
「ね?」
「んんっ!!」
チュッ!!チュッ!!
「ん?」
「んー!」
ぷはっ!!
「わかった!もう分かったか…!!んっ?!」
んっ!!チュ!!チュパッ
「ちゃんと出来てる?」
「はぁ…でき…………てるぅ…」
仰向けで仰け反ってる俺の背中に手を入れ支える野崎は笑顔だ。
「本当?下手じゃない?」
またキスしようと顔を近付けてくる
「もっ!やだぁ!…下手じゃないからもうしなくていい!!」
野崎の口に手を被せ全力で拒否する
「巧くなったら止めるとは言ってませーん」
口に被せた手を片手で纏めて奪われる
「んっんん?!!!」
チィュウウウュ!!チュッ!アホみたいな吸引音がして最後に軽く吸われる
俺は両足をバタバタさせるが意味はなく
足の間に野崎が陣取っている為動けない
「性格…悪すぎぃ…」
最初の頃のお前何処行ったんよ。と言ったらアレは初回限定版だからって言われた。え?今通常版?お値段違うんですか?!と聞いたら
「違います。今はカスタムエディション(ハイグレード)版です」ですって。
「返品!!返品します!!!!コールセンター!!」
「お電話頂き有難う御座います。申し訳御座いませんが…当社営業時間外となっており…(略)………またお掛け直し下さい…ガチャ」
「最低?!!!せめて留守電に切り替われや!!」
ワーワー騒いだら『うるさい』とまたチューされた。
もはやキス位で何の反応も無くなるほど廃れた俺たが、野崎は更に上を行っていた。
今度は俺の部屋で開口一番こう言った
「楓って…………ちゃんと剥いてる?」と
流石の俺も開いた口が塞がらない。
「聞いてる?」
もがっ?!
(俺の空いた口にポテチを重ねて入れるな!!)
「見せ…」
「ヤダ」
「チョットだけ」
「絶対嫌」
「先っちょだけでいいから!ね?」
「嫌だ。じゃあ野崎は見せてくれんの?嫌だろ?!」
「え?良いけど?」
「いいのぉ?!何で?!見たくないよ!!」
「そう言うなよ。ちょっと待って…手洗ってくる」
「えっ?!」
そう言うと野崎は1階に降りてった
(嘘だろ?!てっきりお前のも見せろで引くと思ったのに!!メンタルミスリルで出来てんのかアイツ!!?!うう!絶対見られたくない!!)
俺は足を閉じて股を手でガードする。
「…………遅くない?」
1階に行った彼が全然戻って来ない
(帰ったか?いや鞄はまだある。何処へ行った?)
「楓。すまん開けてくれ」
何故?とは思いつつもドアを開ける
「何それ…」
「洗面器とタオル借りたー。」
「う、うん。別にそれは良いけど」
「鍵締めといてー」
よいしょっと洗面器を置く。中には水が入っている。何故。
「じゃあ脱いで」
「ふざけんな嫌だ。」
「ああ…俺が先に脱ぐな?」
「脱がんでいいっ?!」
バサッ何の躊躇いもなくズボンを降ろす
パンツも一緒に降ろしててブツが丸見えだ。
「履いて!!なんで脱いだの!!」
俺は恥ずかしくて目を隠す
(見えちゃった?!何あれ?!俺のと全然違う!!)
グッ
「へ?」
腰ら辺に違和感がある、次の瞬間
ズボッッ!!
下半身が一気に開放的になった
「なっ?!何して?!」
俺は目にあててた手を股間に移そうとしたが野崎の方が早かった。両手を押さえられベッドに背中から沈められる
「やめっ!やめろよ?!」
片手で俺の両手を掴み直し太腿の上に野崎の折り畳んだ足を乗せられ、びくともしない
野崎は開いてる手で俺のちんこを触る
「やっぱり、まだ剥けてないね」
羞恥で顔に血液が集まる
「少しずつ剥いてこ?手伝うからさ。ね?」
(ね?じゃねーよ!!)キッと野崎を睨む
ピタッ
何かが素肌に当たりくっつく
ビクッ
「?!」
「ああごめん。俺の。当たっちゃったみたい」
俺のとは違う形が目に入る
(俺も剥いたらこんなになるのかな…)
俺も男だった。デカイ方がカッコいいと思ってしまうお年頃だ。
それに正直最近ムズムズするがどうしたらいいか分からなくて困っていたのもある。
そして俺は
「剥いて…くれるの?」
と悪魔の取引に応えてしまったのだ。
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