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傷心酒に溺れる

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夜風にあたりながらトボトボと足を進める
「あ゛~帰りたくねぇなぁ…………」

そうは言いながらも
明日も家の仕事があるし畑も見ないといけないし早く帰ってさっさと風呂に入らなきゃならないし…やることは山程ある

実家が自営業な俺は家以外に寄れる場所なんて無い
恋人でも作れば、そいつん家に転がり込むことが出来るがそんな予定はない。
「彼女か…………」
合コン…少し前はあんなに行ってたのにな
今はまったく気が乗らない

あのメイドに密着されても俺の心にはエデが居た
昔の俺だったら迷わず誘いに乗っかってただろう…

もしもこのままエデとこんな顔もろくに見れない関係が続くなら
「気持ちを切り替えるべきなのか?」
俺もエデも男同士、俺に比べりゃあエデは若い、今は同性といる時間が長くても彼は今後女性と関わる時間が増える来るだろう

寂しい…とても寂しいがしょうが無い事だ。
ましてや旅客、いつ宿を離れてもおかしくない

「こんなおっさんの事なんかいつか忘れちまうか」

へへっ
思ってたより情けない声が出でて自分で笑う

パン!
自分の手で顔を叩き気合を入れる
「っ!しっかりしろ!大人なんだから!!いい加減吹っ切れ!」
最近はエデと話がしたくて仕事の合間に探しまわっていたがもう辞めよう
向こうが会いたくないならしょうが無い
悲しいが諦めよう。諦めて次の恋を頑張ろう。

顔はまだ熱い。
宿はチェックインの時間を等に過ぎた為姉貴たちは下手すれば寝てる
起きてる時間に酒飲みに行ったとバレたら気まずいので遅めに帰ってきた。

受付ロビーも最低限の明かりしかついていない

「ただいま~お?!っと…」
ぐらり
小声で帰宅の挨拶をし、風呂に入ろうと廊下を進むが足がもつれて転びそうになる

咄嗟に壁に手をついた

「危ねえ…………意外と酔いがまわっちまったか…」
ちょっと暑い位かと思ってたがだいぶ酒が回ってきたらしい
風呂……やばいかな?
最悪風呂場で死亡したら洒落にならん…………が俺はどうしても今の自分をスッキリさせたくて風呂に入りたい。もう意地だ。
「あと少し…頑張れ俺」
壁から手を離し若干フラつきながら廊下を進む

「ランド…………兄ちゃん?」
後ろから声を掛けられる
「…………」
俺は久しぶりに聞いた彼の声に驚いて停止した
(会いたすぎてとうとう幻聴が?)

「ランド兄ちゃん?大丈夫?ふらふらしてるよ?」
トトト…
俺の横へやってきて背中に手を充てる
(幻聴でも幻覚でも無い本人だ…)
「うっ?!お酒臭い」
キュッとエデの顔が不快感を示す
「ワリィ…………バーで酒しこたま飲んできた」
エデの顔を見たあと視線を足元に落とす
「…………どこ行くの?部屋こっちじゃないでしょ?」
エデは心配そうに俺の顔を覗き込む
「風呂…………入りたくて」
「え?!お風呂?!やめたほうがいいよ!ふらふらしてんじゃん!もう寝なって!」
御尤も。
「でもな、どうしてもサッパリしたいんだよ。このままじゃ寝られ無いんだよ…」
「…………分かった。俺もついてくよ」
俺の情けない顔を見かねてか沈黙した後エデはそう言った。
「え?風呂に?ついてくるのか?」
言われた事が理解出来ずに聞き返す。
(だってお前ずーと俺のこと避けてたのに?!風呂だぞ?何で?!)
脳内は大混乱だ。
「うん。ランド兄ちゃん独りでお風呂は危険すぎるから、どうしても入りたいなら俺が介助するよ!」
そう言うとエデは何故か俺の腕の中に頭を突っ込んできた
「?何やってんだ?」
「肩…………貸そうと思ったんだけど…………」
エデは申し訳無さそうな顔をする
俺との体格差がありすぎてエデはただの俺の脇にスッポリハマってしまっている。
全然支えられていない、寧ろしがみついてるように見える
「ハハッ!ありがとなエデ!」
「重いっ!」
余りの可愛さにエデ側に少しだけ体重を掛けたら悲鳴が上がった
久しぶりの会話や体温全てが嬉しくて愛おしくて身体の血流が増すのを感じる。
(ああ、やっぱ駄目かも)


さっきから俺の視線がどうにもエデに行く。
俺の腕を肩に回したせいで浴衣が引っ張られ、胸元に隙間が出来ている
(んんっ!!見えてる!見えてる!可愛い乳首が!!)
歩くたびに乳首が浴衣の隙間からチラチラ見えてしまい目が離せない。
本人は俺を運ぶのに必死で前しか見ていない

(あ゛~手っこんで捻り上げたい!)
酒が回っているからなのかシラフでもそうなのか分からなくなる程俺の頭の中は思春期のガキ並になる

(やべっ!エデに会うのが久々過ぎたからかこんな事で勃ってきた…)

俺達はヨタヨタしながら男湯の脱衣所に着いた。

「そう言えば何でこんな時間にあんな所にいたんだ?」
「ランド兄ちゃんを待ってた。」
「俺を?」
「うん。避けちゃってたから…謝りたくて。ごめんなさい。」
一瞬心がモヤッとする
「ん。…………いいさ。またこうやって話せるなら…結構キツかったけどな。ハハッ」
「…………ごめんなさい」
エデは頭を下げた。

あんなに俺が必死になったり、みっともなく落ち込んだりしたのに…
こんなに意外とあっさり仲直り出来るもんなのか

若干腑に落ちない気はしたがこれ以上また避けられたくなくてこの話は終わりにした




ぷちぷち
エデは今、俺の上着のボタンを外してくれてる。酔のせいか手が覚束ない俺を見かねて俺がやる!と言ってくれた
正直とても良い。アングル超イイ。
まるで新婚さんみたいだ…なんて、
「はい。出来た」
「おお、ありがとな」
バサッ
カゴに上着とエデに見られぬ様一瞬で脱いだズボンを入れる。腰にはタオルをつけて。
ちょっと盛り上がってはいるがまだ大丈夫だろう。
「んじゃ、行ってくる。」
そのまま風呂場に行く
今の時間風呂は入浴禁止時間なので入るのは従業員である家族位なので誰も居ない。

「よっと」
椅子を取出し腰掛ける

お湯を出そうとノブに手を掛けようとした時…

カラカラカラ
「?…………エデ?!」
腰に布を巻いただけのエデが入ってきた
?!???
驚いてエデをマジマジと見る
ペタペタ……足音を立ててこっちに来る
「な…何で?お前もう風呂入ったろ?」
「うん。でもランド兄ちゃん独りだと中でなんかあったら怖いから来た。」
そう言うと俺の前に入りお湯のノブを捻る。
ウチのは赤と青のノブを回して湯温を調節しないといけないのでエデは自分の手に掛けながらノブを回して温度を確かめている

「はい。お湯掛けていい?温度熱かったり低かったりしたら言ってね」
「お、おう。頼む」
「目潰って」
「ん」
ジャアアアアア
湯を掛けられ「熱くない?」とか「大丈夫?」と聞いてくる
多分意識して無いんだろうけど髪の毛を濡らすため掻き分けられたりするとゾワゾワ…ムラムラしてしまう
(いかん!エデは善意でやってくれてるんだから!反応するな俺!)
「あらかた濡れたから洗うね」
「ああ…………え?」
(洗うね?え?洗ってくれるの?!)
エデはまた俺の前に来てシャンプーの液を手に出した。そして軽く泡立てると俺の後ろに立ってワシャワシャ頭を洗い出した。
「痒いところは御座いませんかー」
「あっ無いです…」
(気持ちよくて寝そう…)
「流すね目と口閉じてて」
「ん」
ジャアアアアア
頭を掻き分けられながらお湯を流される
「次はコンディショナーつけるね」
「んー」
俺はされるがままだ。
この時間が一生続けばいいと思った。


普段石鹸で全身洗っているからか自分の頭からいい匂いがして不思議な感じがする
「じゃあ身体行くね」
「え?ちょっとそれは自分でやる!」
思わずタオルに石鹸をつけてるエデを止める
「そう?じゃあ俺背中やるよ」
「あ…ならいっか」
背中なら大丈夫かと思っていたが…………大丈夫じゃなかった

背中をタオルで洗う感覚と肩に添えられた手の感触でもう限界だった
バシャバシャ
俺は顔を滅茶苦茶に洗い
前もササッと滑らすように洗って頭から湯をかぶり叫んだ
「うわっ?!」
後ろにいたエデが驚く
「終わりだ!終わり!!さ!上がるぞ!!」
俺は立ち上がると脱衣所へ一歩踏み出す

「ちょっと!待って!!流しきれてないし、ちゃんと洗った?!早くない?!」
エデは俺の前に立ち塞がる
「洗った!!」
「嘘!!」
「洗ったって…退けよ」
「でも!」
「うっせぇなぁあ!!?!」
ビクッ
突然の大声にエデが大きく肩を揺らし驚く
(あー声響いてっかも…………まあイイヤ)

俺はとうとうキレてしまった。

胸のモヤモヤが一気に溢れる
何故自分はこんなにも彼を思っているのに…
俺のことを何とも思ってない彼に激怒した。

「人の事散々無視しといて今更世話役んじゃねーよ!!お前俺がどんな気持ちだったか分かるか?!急に避けられて話しようとすれば逃げるし!!お前はいつだってそうだ!人の心に勝手に入ってきてグチャグチャにしたくせに自分は知らん顔だ!人攫いにあった時だってどれ程心配したか!!お前は!!俺のこと何てどうでもいいもんなっ!!」
一気に捲し立てる
エデはビックリした顔をして脳が反応出来てないらしく口が半開きだ
俺は肩で息をする様に上下に動く
息が上がって若干苦しいがすぐに落ち着くだろう
今は目の前で目を見開きながら硬直するエデに思いの丈をぶつけるので精一杯だ。
「あっ…………ごめ、ごめんなさい…」
一瞬ピクッと身体が動いて瞳が揺れる
次には身体全体がブルブル震えだした。
怖がっている。そりゃそうだろう急に怒鳴られたんだ誰だってそうなる。
だけど俺は怒りがまだ燻っていた
「そんなに洗ったか気になるなら…………」

俺が口を開く
エデは俺の言葉にビクッと大げさに肩を跳ね震えながら不安げに俺の顔を見上げる
(顔色が悪いな…………ま、俺のセイか…)
健康的な肌の色が血の気が引いて少しだけ薄くなった気がする

「じゃあ、エデ…お前が洗ってくれよ」

エデの潤んだ瞳には目が座って冷酷に相手を見下ろす俺が映っていた
「あっ……えっ…………」
エデは俺の発言に狼狽えて視線をキョロキョロさせていた。顔色も少しだけ血色が戻り頬が桃色に染まってくる

狼狽えてばかりで何も出来無い彼に痺れを切らし少しだけ歩を進める
「あっ!」
キュッと手を掴まれる
「なんだよ。出来ないんなら出るぞ。」
「あっ…う…」エデはまだ迷ってる
「はぁ…………もういいさ、今度合コンで適当に女の子引っ掛けるわ。お前とは今まで通りとはいかないが…暇になったら遊んでやるよ」
「待って!」
また一歩進めた足がか弱い腕に引かれ止まる
「…………」
俺はゆっくり後ろを振り返り俯いてプルプル震えながら俺の手を掴むエデを見る。髪から見える耳が赤い。
「…………する。洗うから…………行かないで…」
消え入りそうな声だったが俺は聞き逃さなかった
「そっか。じゃあ…………頼むわ。」
俺はエデに向き直りタオルを取った


ふわふわ…コシコシ…
「んっ…………っ」
自分でするなら荒いタオルに石鹸をつけてガシガシ力いっぱい擦って終わりだが、今はふわふわの泡を纏ったタオルに身体を擦られている。正直少し力が物足りないが目と鼻の先に居るエデの一生懸命に首筋や胸板、腕、腹と下に向かって洗う姿とたまに出る小さな吐息に酔いしれてしまう。
俺は一生懸命洗ってくれてるエデを立って見下ろす。エデも立って洗ってたが性器付近に下がってくると一瞬動きが止まってその場所を飛ばし足を洗うため床のタイルに肘をついて洗い始めた。
(絶景だな…………)
俺の性器近くにエデの頭が来る。
(しかし、薄いなぁ……)
上から色素の薄い可愛らしく少しだけぷっくりとした桃色の乳首がず~と見えてる、先程のチラチラ見えた浴衣の比じゃない。
そこらの女よりだいぶ色が淡くて可愛らしい
「ランド兄ちゃん…足…」
「ん?どうした。」
「あ、足…洗いたいから足上げられる?」
「ああ、こうか?」
俺は左足の膝を曲げ少し上げた
「うん。ありがと」
ゴシゴシ
足の平、足の裏、足先は指の間を丁寧に一本ずつ洗ってくれる
「逆も…」
「あいよ」
ゴシゴシ…同じ様に洗われる。
ペタッ…洗い終わった足が床のタイルに置かれる
「あっ…と…………後ろ!後ろも洗うね」
ペタペタとエデが俺の後ろに回り背中、足と洗い出す…そして
「お尻…………洗っていい?」
本人も戸惑っているんだろう、控えめに聞いてくる
「ああ、全部洗ってくれよ」
「全部……………うん…分かった。さ、触るね」
ホワッと俺の硬い尻に泡が乗る
コシコシと円を描くように洗われる
(こりゃ…中々の背徳感だな…)
「ランド兄ちゃん…………全部洗うんだよね…」
尻にエデの息が当たる
「ああ。何度も言わすな」
「あっ、ごめんなさい!」
萎縮した声がして尻にあたってた手が震える
そしてその手がゆっくりと尻の割れ目を行き来した。
「エデ…後ろはもういい。」
「あっ…うん。」
「残ってる場所…………頼むわ」
「あっ………………はい。」

俺はエデを前に来させる。
そして膝立ちにし顔は赤く色付き目を潤ませ泡立ったタオルを震えながら握る可愛らしいその姿を目に焼き付けていた


















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